英文契約書の相談・質問集347 MOQとは何ですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「MOQとは何ですか。」というものがあります。
MOQとは,英文契約書で使用される場合は,Minimum Order Quantityの略で「最低発注数量」を意味します。
販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)や基本売買契約(Basic Sales Transaction Agreement)などの継続的な発注を予定している取引でよく使用されます。
サプライヤーとしては,一定の数量以上の注文を受けないと,製造コストに照らして販売利益が出ないということがよくあります。
このような場合に,1回の注文あたりの最低ロットを定めることがあります。これがMOQです。
このMOQと似て非なる概念として,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)があります。
こちらは,販売店などが一定の期間中に最低注文しなければならない注文数量や注文金額を定めたもので,ノルマを意味しています。
契約書によっては,MOQと最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)の両方が定められていることがあります。
その場合は,販売店は1回の注文でMOQに定められた量以上の注文を出さなければならず,かつ,例えば1年間の注文量の注文合計が最低購入数量に定められた量以上になっていなければならないということを意味します。
このように,MOQや最低購入数量というものは,販売店にとっては一種の足かせともいえますが,反対にサプライヤーにとっては利益を出すために非常に重要な条項になります。
MOQを契約書に定めていないと,販売店が少なすぎる数量の発注をしてきたときでも,発注数が少ないことを理由に注文を拒絶した場合,トラブルに発展することがありえます。
契約書に定めずに,契約書外においてメールなどで取り決めておくこともよくあります。
その場合,契約書にEntire Agreement(完全合意)条項があるかどうかを確認して下さい。
もし,Entire Agreement(完全合意)条項が契約書に記載されていると,契約書外でのMOQは効力を有さないということになってしまうことがあります。
そのため,万一販売店がメールでのMOQの合意の効力を否定する主張をすると,サプライヤーは小さい注文に応じなければならない可能性が出てきますので,注意が必要です。
MOQや最低購入数量はビジネスの重要部分に関する大切な条項ですので,これらについてはよく内容を吟味して契約書に記載するようにしましょう。
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