Tenure(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Tenureがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「在職(期間)」という意味で使用されます。
例えば,退職時の合意書や誓約書で,退職する従業員や役員が,会社に在籍していた期間中に知り得た秘密情報を,退職後に第三者に開示したり,自ら利用したりしないということを約束することがあります。
この際の「在職中」ということを表す用語として,tenureという用語を使用することがあります。
最近は,転職が盛んになっているので,従業員などが会社を退職した後に,その会社で得た情報を不正利用したりするケースも増えています。
このようなことを防止するために,退職時に合意書や誓約書を取り付けるケースも増えています。
ただ,合意書や誓約書で約束を取り付けても,破る人は破るので,そもそも雇う時点でこのようなことをする人物を雇わないですとか,むやみに従業員に機密情報にアクセスさせないですとか,根本的な対策のほうが重要であることも事実です。
在職中に知りうる秘密情報が少なければ,それだけ会社の秘密情報が不正利用されたり,漏洩されたりするリスクが減るということになります。
現実には難しい面があるとは思いますが,なるべく秘密情報へのアクセスは制限して,信頼できる人間にしかアクセスさせず,その上で秘密情報の取扱いについて合意書や誓約書を取り付けるという考えが正しいでしょう。
約束をしさえすれば安全だという考え方はあまりにナイーブですので,そのような考えを持たないように注意しましょう。