イギリスの不動産購入の目的としては,大きく分けて投資目的と自己使用目的に分けられるでしょう。
投資については,購入した物件を賃貸に出して家賃収入を継続的に得る場合,または,物件を購入した後に価格が上昇するのを待って売却し,売却益を得る場合などが考えられます。前者はリスクヘッジ的な資産運用,後者は投機的な資産運用と言えるでしょう。
イギリスの場合,不動産価格は日本ほどの変動を見せず,比較的安定していると言えます。そのため,預金や投資信託以外のリスクヘッジの手段としてイギリスにおいて賃貸をし,家賃収入を得る方がいらっしゃいます。
また,投機的な投資としてイギリスで人気があるのは,古い居住用建物を購入し,これをリフォーム(renovation)して,高額で売却し売却差益を得るという方法です。イギリスでは,日本と異なり新築物件ほど価値が高いということはありません。建物を保護する観点から容易に取り壊しが認められませんし,歴史ある建物の需要が高く却って高額であるということがあります。
そのため,リフォーム後に転売して利益を出す方法が人気を集めているのだと言えます。本来,物件を購入・売却し転売差益を生じた場合,これについて譲渡所得税(Capital Gains Tax)(CGT)がかかります。しかし,日本在住の日本人の方がイギリスの物件を購入し,転売により利益を上げたとしても,この転売益にCGTはかかりません。そのため,税務上有利だと言えます。(ただし,家賃収入には所得税(Income Tax)がかかりますのでご注意下さい。)
余談ですが,イギリスのBBCが放送しているTV番組に「Homes Under the Hammer」という番組があります。これは,一般人が不動産をオークションで購入し,リフォームを行い,購入価格よりも高額で売却するという過程をドキュメンタリーとして放送するものです。
かなり長い間放送されている人気番組で,毎回異なる購入希望者が登場し,異なる目的と価格帯の物件を購入します。リフォームの仕方も様々です。リフォーム後はプロのサーベイヤーに売却見込み価格を査定して貰います。リフォームもアドバイスを受けながら行いますから,ほとんどの場合価格は上がりますが,上り幅が様々なので視聴していて面白いです。
購入したい物件の条件を決定します。購入目的に応じて適切な物件の種類を選びます。
例えば,一軒家なのかアパート(イギリスではフラットと言います。)なのかなどです。また,立地についても目星をつける必要があります。ロンドンと一口に言っても広域ですし,北の方や南の方では住民の人種構成が異なったりします。日本人が多く住む地域なども存在します。
当然高級住宅街もあれば,そうでない地域も存在します。物件もビジネス街のモダンなものから,ロンドン郊外の歴史ある住宅など種類は豊富です。賃貸に出す場合,借り手をどのような層の人にしたいのか(日本人,学生など)なども立地に絡んできますので,決定する必要があります。
これらの決定事項については,ご希望の大まかな条件をおっしゃって頂ければ,その内容を私と業務提携関係にあるロンドンの弁護士(ソリシター)に伝えます。そして,同弁護士から複数の不動産業者に連絡をさせ,ご希望に沿う物件を探索,リスト化してお知らせ致しますので,わからない点があってもご安心ください。
関連して,イギリスに関する情報も多く仕入れられると良いでしょう。
ご自身の居住用とするならもちろん,投資用の場合も投資の目的を効果的に達成するには物件およびその周辺事情に精通することが重要です。私も3年ほどイギリスに居住し,土地勘はありますので,お気軽にご相談頂ければと思います。
物件購入に適切な時期としては言うまでもないことですが価格が低い時でしょう。
日本での投資であればインフレまたはデフレによる実質的な金銭価値の問題はあれども,基本的には不動産の価格を見れば足りることになります。
しかし,外国の物件を購入するとなれば,当然のことながら為替を考えなければなりません。つまり,不動産の価格のみならず,為替が円高の時が購入するのに有利な時期と言えるでしょう。
この点,イギリス(ロンドン)の不動産価格は,ここ数年での比較において,低廉です。したがって,不動産の価格としては購入時期として有利だと言えるでしょう。
また,昨今はご存じのとおり長期的に対イギリスポンドで相当の円高が続いています。2007年には1ポンド=約250円を記録したのに対し,2012年現在では120円から130円くらいで動いていますから,差は歴然としています。
私が英国に居住していた2009年以降でも1ポンド=160円を記録した時期がありますので,これに比べても現在は円高・ポンド安と言えるでしょう。したがって,為替の点でもイギリス不動産の購入として良いタイミングだと考えられる方が多いです。
イギリスでの不動産購入を検討されている方の多くは,資産にある程度の余裕がある方だと存じます。
目的が自己使用のセカンドハウスの購入や,資産運用・投資の一環である場合が多いためです。そのため,物件の購入資金に充てるための余裕資金を相当程度保有されていると思います。
しかし,購入資金の全部を一括で準備することが難しいというような事情がある場合,イギリスにおける日系の銀行からの融資の相談が可能です。日本所在の日本の銀行は抵当権(モーゲージ)をイギリス物件に付けて融資するということは原則していません。
そのため,ローンを組む必要がある場合には,ご相談頂ければ,現地のソリシターに連絡し,モーゲージ・アドバイザーの紹介を受け,相談することが可能です。当然私も間に入り,協力・サポートさせて頂きます。
物件の探索は,上述のとおり,条件をお伝え頂ければ,条件に合う不動産のリストを現地の不動産会社から取り寄せます。
それ以外にもインターネットを利用して,イギリスのサイトからご自身で調査もできますので,そのような方法をとられても良いでしょう。Google UKを使い,検索ワードを例えば「property for sale」などとすると,数多くの関連サイトがヒットします。
イギリスの不動産市場は春から夏にかけて活発化します。このころには多くの物件が動きますので,チェックすると良いでしょう。
目星をつけたら,実際に現地の物件を見学する(ビューイング)と良いでしょう。ビューイングの段取りもこちらでアレンジすることが可能です。
ビューイングの際には,日本の物件同様,細かいところまで入念にチェックしてください。イギリスの物件で特に注意を要するのは,窓の構造(一重窓で古い物件は冬に非常に寒くなることがあります。),水回り,暖房施設,水漏れの有無などが上げられます。
イギリスの法律では,物件の機能的な問題について売主が積極的に開示する必要はないとされていますので,買主側のチェックは極めて重要です。
そのため,申し込みをして契約書を交わす前にはもちろんプロの調査士(サーベイヤー)を入れて物件に問題がないか調査をします。この調査の手配もアレンジしますので,ご安心ください。
他にも当該物件にリフォームに関する制限がないか,第三者の権利が設定されていないか,いるとすれば問題のない権利か,周辺の環境事情はどのようなものかなどについても調査が必要ですが,これらはソリシターが代行するのが通常ですのでご安心下さい。
自己資金以外に融資を受ける必要がある場合は,銀行にローンの申し込みをします。
銀行側が独自にソリシターを任命することもありますし,買主側の弁護士が買主と銀行の両方を代理することもあります。
問題がなければ,融資契約が成立し,購入不動産に抵当権(Mortgage)を設定する手配が進められます。
目当ての物件が決まったら,ソリシターや不動産エージェントに購入希望の意思を伝えます。
ここでは,およその物件価格が決まります。ただし,実際の購入価格については,契約段階(Exchange of Contract)までは決定されません。契約段階では,物件調査などの結果などを踏まえて最終的に売主・買主の合意により決定されます。
購入価格については,売主の希望価格よりも減額して決定されることもあります。したがって,交渉することが重要です。
減額される場合は様々ですが,例えば,調査した結果物件に問題が見つかった,説明と異なる個所が発見された,不動産と一緒に購入する家具等の値段が不当に高い,設備が正常に機能しないなどが考えられます。
このような場合は必ず売主側に伝えて,価格交渉するのが賢明でしょう。
前述したとおり,契約前に物件の状態をチェックすることは非常に重要です。
ご自身で建物内外を実際に見る(Inspection)ことも必要ですし,プロの調査士(サーベイヤー)を手配し,調査することも重要です。調査の内容は,物件の規模や築年数などによっていくつか用意されています。
どのレベルの調査を手配する必要があるかなどについてはソリシターなどからアドバイスを受けられますのでご安心下さい。
調査終了後,調査士からレポートが送られてきます。その内容をチェックして,価格交渉に活かせるような点はないか,またはそもそも購入希望を撤回すべきような不都合はないかなどを判断します。
契約前ですから,購入を取りやめることは全く問題ありませんし,それについての罰則もありません。もちろん,これらについてもソリシターや私がアドバイス致します。
買主のソリシターは,物件の権利関係について問題がないか調査します。
日本同様,イギリスにも登記建物と未登記建物があり,それぞれ権利関係の調査の仕方が異なります。(因みにイギリスでは土地と建物は一個の不動産で日本のように別れていません。)所有権に問題がないか,第三者の権利が設定されていないか,いるとして問題はないか,どのような権利かなどを調査します。
また,物件に所有者以外の居住者がいるような場合は,これを退去させるための条項(Undertakings)を作成する必要もあります。
他方,投資用物件で既に賃借人がいる物件を購入する場合,賃貸借契約の内容や条件(家賃の額,家賃の支払い期日,支払い方法,契約更新の条件,更新時の家賃値上げの条件等)をチェックします。
売主が不動産に抵当権を設定している場合には,不動産売却後,売却代金をもって当該負債を完済し,抵当権を抹消することを売主のソリシターを通じて保証させます(Undertakings)。
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