英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語の一つに,Bona fideがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常「善意」という意味です。
このbona fideはラテン語です。英文契約書用語にはラテン語が多く使われていますが,bona fideもそのうちの一つです。
「善意」は,法律用語としては,「不知,知らない」と同義です。
「善良な意思」「善良な行為」というような表現をするときの「善い」というニュアンスを含む意味ではありませんので誤解しないようにして下さい。
ある事実について「知らない・不知」という状態でないと認められない救済(remedy)が法律には少なからず定められています。
つまり,ある事実について知っている(悪意)場合には,救済されないということです。
善意(知らない)か悪意(知っている)のほか,無過失(不注意がない)か有過失(不注意がある)かというのも法律で定められた救済を受けられるかどうかの分水嶺になったりします。
無過失であれば救済されるが,有過失の場合は救済されないといった具合です。
「過失」は英語ではnegligenceと表現されますが,この過失の中にも,通常の過失よりも程度が大きい過失として,「重過失」があります。
これを英語ではgross negligenceと表現します。
債務不履行をした当事者に重過失(gross negligence)が認められると,英文契約書に損害賠償責任などの免責規定があっても,その免責の効果を得られなくなったりしますので,注意が必要です。
故意や重過失が認められるような当事者の責任を免除するのはあまりにも公平性を欠くため,法律や判例により,免責の効果が否定されることがあるのです。
そのため,特に国際取引では,準拠法によって,契約書に免責と書いても法律や判例で修正を受ける可能性が高まりますので,注意しましょう。