Minimum guarantee(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Minimum guaranteeがあります。
Minimum guaranteee(ミニマムギャランティ)は,英文契約書で使用される場合,通常,「最低保証」という意味で使用されます。
特に,ライセンス契約(Lisence Agreement)などでよく見られる英文契約書用語です。エムジー(MG)と略称で呼ばれることも多いです。
ライセンス契約では,必ずと言って良いほど,ライセンシーがライセンサーに対し,知的財産権を使用する対価として,ロイヤリティを支払うと定められます。
ロイヤリティの定め方はさまざまですが,例えば,使用許諾された知的財産権を使用して製作した商品の売上に比例して,ランニングロイヤリティを払うという契約があった場合に,売上とは無関係に,これだけは最低ロイヤリティとして払わなければならないという文脈で,このMinimum guaranteeが定められることがあります。
一般的に,MGは,ロイヤリティの前払い的性質を持っているので,ライセンシーは,販売した商品などの売上げの割合で決められているロイヤリティをMG金額から相殺します。
要するに,発生したロイヤリティの総額がMGの金額を超過するまでは,ライセンシーはライセンサーに対し,MGの他にロイヤリティを支払う必要はないということになります。
例えば,MGが100万円だったとすると,100万円は最低保証額として,ライセンシーがラインセンサーに支払うことが確定します。
そして,ライセンス商品の販売で上がるロイヤリティが50万円であれば,100万円が最低保証額なので,ライセンサーがその100万円を受け取り,ライセンシーは返金などは受けられないことになります。
これに対し,ロイヤリティが150万円であれば,100万円を超えてロイヤリティが発生しているので,ライセンシーはライセンサーに対し50万円をさらに支払うということになるわけです。
Distribution Agreement(販売店契約)などでも,特にexclusive(独占)のDistributorshipの場合,Minimum purchase quantityなどといって,販売店がサプライヤーから最低これだけ商品を購入しなければならないというノルマが定められることがよくあります。
供給者側が,権利を付与するのであるから,その分の対価として最低限これだけはという意味で使用される点では,両者は共通しています。
ライセンサーや販売店側としては,このような条項があれば,その条件を達成できるのか,できなかった場合にどのような制裁が課されるのかを吟味して,ライセンサーやサプライヤーと交渉することになります。