Individual Contract(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Individual Contractがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「個別契約」を意味します。
基本売買契約書(Basic Sales Transaction Agreement)や販売店契約書(Distributorship Agreement)などの,継続的な契約関係に関する英文契約書を作成する際にこのIndividual Contractはよく登場します。
基本売買契約書や販売店契約書は,売主と買主が継続的に何度も商品の売買をしていくことを想定しています。
その際,取引のたびに売買契約書を交わしたり,条件を取り決めたりするのが不合理です。
そのため,売主と買主の間でこれから売買をしていく際,すべての売買に適用する条件を取り決めようというのが基本売買契約書や販売店契約書です。
この基本売買契約書や販売店契約書を先に締結しておいて,これらが適用される前提で,買主が注文書を出し,売主が注文請書を出して,個別の売買契約を成立させます。
この個別の売買契約を指して,Individual Contract(個別契約)と呼んでいます。
このIndividual Contractにおいて,基本売買契約書や販売店契約書と異なる内容・条件を取り決めることももちろん可能です。
ただ,その場合,Individual Contractの内容と,基本売買契約書や販売店契約書の内容とが矛盾する場合がでてきます。
そのような場合に,どちらの内容が優先するのかについても誤解がないように,基本売買契約書や販売店契約書を締結する際に事前に決めておき,英文基本売買契約書や販売店契約書に記載しておく必要があります。
また,基本売買契約書や販売店契約書が終了した場合に,まだ商品引渡しや代金支払いが済んでいないIndividual Contract(個別契約)の効力をどのようにするのかについても,英文基本売買契約書や販売店契約書に記載しておいたほうが安全でしょう。