英文契約書の相談・質問集57 ウィーン売買条約(CISG)はどう対応すれば良いでしょうか。

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「ウィーン売買条約(CISG)はどう対応すれば良いでしょうか。」というものがあります。

 

 ウィーン売買条約とは,正式名称を「国際物品売買契約に関する国連条約」といいます。

 

 英名は「United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods」(CISG)といいます。

 

 このウィーン売買条約についての解説記事はこちらでご覧頂けます。また,条約の和文テキストや英文テキストは外務省のこちらのページでご覧頂けます。

 

 では,ウィーン売買条約はどのようなときに適用されるのでしょうか。

 

 一つ目の場面は,当事者の所在する国がいずれもウィーン売買条約締約国である場合です。

 

 二つ目の場面は,両方の当事者の所在する国がウィーン売買条約を締結しているわけではないけれども,当事者の一方が所在する国がウィーン売買条約締結国というパターンの場合です。

 

 この場合,どの国の法律が適用されるかという準拠法の問題(国際私法の問題といわれます)で,準拠法が、ウィーン売買条約締約国の法を適用するとされた場合です。この場合もウィーン売買条約が適用されます。

 

 例えば,日本では,「法の適用に関する通則法」(通則法)という法律が国際私法の問題について定めています。

 

 この法律には,法律行為について特徴的給付を当事者の一方のみが行うときは,その給付を行う当事者の常居所地法が密接関係地法として推定し,その地の法律が適用されると定められています。

 

 これによると,例えば,販売店契約で,日本のメーカーが海外に商品を販売しているとすると,商品の給付を日本企業が行っているので,特徴的給付を日本企業がしていることとなり,準拠法が日本法とされ,CISGが適用されるということになりえます。

 

 ただ,このウィーン売買条約は,当事者の合意により適用を排除できます。当事者がウィーン売買条約は適用しないと合意して英文契約書に記載すれば,適用されません。

 

 ウィーン売買条約の中身についてここで詳しくは書きませんが,基本的にウィーン売買条約は,国際売買取引に適用されます。

 

 そして,日本の商法や民法と異なる定めがたくさんあるのですが,その内容は,売主に有利だったり,買主に有利だったりとまちまちです。

 

 ウィーン売買条約全体を理解して,日本の法律や判例,または,相手国の法律や判例よりを選択するよりウィーン売買条約に従って考えたほうが良いと判断されるのであれば,ウィーン売買条約を適用するということで良いかもしれません。

 

 しかしながら,ウィーン売買条約全体を正しく理解すること自体難しいでしょうし,ウィーン売買条約の裁判例なども数多くあるわけではありませんし,その内容も透明性が高いとはいえないでしょう。

 

 そうなると,よくわからない点が多い条約の適用を選択して,本当に安全かと考えるのは普通のことだと思います。

 

 このような不安があるのであれば,慣れ親しんだ日本法や,きちんとした法制度があり,知り合いの弁護士もいる国の法律を完全に適用した方がもしもの場合に安全かもしれません。

 

 こう考える場合には,英文契約書においてウィーン売買条約については適用しない旨を記載しておくのが良いということになります。

 

 また,根本的に重要なのは,英文契約書であいまいな点を残したり,決めていないことを残したりして,あとで,法律で結論が決まるという余地をできるだけ残さないことです。

 

 できるだけ当事者間で話し合い,このときはこうしようと合意しておけば,基本的に合意どおりになる可能性が高いのですから,あいまいな点を残したり,話し合わずに進めて,後に問題を生じ,英文契約書に書いてないので,法律に頼るということ自体がリスクと考えなければなりません。

 

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