Goods(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Goodsがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「商品」という意味で使用されます。
目に見えないサービスや権利などは含まず,目に見える商品を指します。
同義語には,productsがあります。英文契約書で使用される用語としては,productsのほうが使用頻度が高いと思います。
販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement),売買契約(Sales Agreement)や製造委託契約(Manufacturing and Supply Agreement)などで,このgoodsという用語が使用されます。
当然ですが,goods(商品)は,契約の目的物そのものである場合が多いので,goodsに関する契約条項は非常に重要です。
例えば,goodsの品質,納期,危険性などについては,事前に十分に検証し,これらに関連して生じうるトラブルを予め予測して英文契約書で規定しておかなければなりません。
品質であれば,メーカーは,どのレベルで品質保証をするのか,保証期間はいつまでにするのかなどを交渉し,契約書に記載します。
また,納期は,特に海外取引では,メーカーとしては納期の保証をすることが難しいということもありますので,リードタイムや納期をどうするのか,納期遅延の場合の責任はどうするのかについても十分に審査し,契約書に定めます。
さらに,商品の危険性についても考えておく必要があります。
その商品に何らかの欠陥があった場合,人の生命や身体に危険が及ぶという性質を持っている商品だとすると,メーカーが製造物責任法(PL法)上の責任を負う危険性が高まります。
例えば,医療機器,自動車などの乗り物の部品,電化製品,玩具などがこれに該当します。
こうした製造物責任については,通常,法律で定められており,メーカーが最終的な責任を回避するのは難しいですが,リコールなどに備えて,顧客からクレームが来た場合の対処方法などについて,契約書で規定します。
また,契約当事者間で,製造物責任が生じた場合に,どちらの当事者がどのような責任を負担するのかという取り決めをすることもあります。
なお,goodsの売買を行う場合は,ウィーン売買条約(UN Convention on Contracts for the International Sale of Goods)(CISG)という条約が適用されることがありますので,この点にも注意が必要です。
日本もCISGの加盟国ですので,海外取引でgoodsを売買する場合は,このCISGをどうするかについて検討し,契約書で定めておく必要があります。
CISGは,契約書で定めておけば,適用も排除できます。知らずにCISGが適用されることになっていたということがないように注意する必要があります。
CISGについてはこちらの記事で解説しています。
このように,goodsはまさに契約の目的そのものであることが多いですから,goodsを巡って様々な問題を生じえます。
Goodsに関してどのような問題が将来起こりうるかを想像して,契約書で事前に手当しておくことが大切です。