Reduction(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Reductionがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「減額」という意味で使用されます。
販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)や売買契約(Sales Agreement)では,サプライヤーや売主が販売店(Distributor)や買主(Buyer)に対して商品を卸します。
この商品に欠陥(Defect)があった場合,通常,売主は買主に対して品質保証(Warranty)をしていますので,買主はこれに基づき何らかの救済措置(Remedy)を求めます。
この救済措置の一つとしてよく契約書に書かれているのが,このreduction(代金減額)措置です。
返金(Refund)ではなく,減額(Deduction)なので,代金全部を返すという意味ではなく,欠陥相当額を正規代金から差し引くということを意味しています。
つまり,商品自体は返品せずそのまま使用し続ける前提で,まともな商品ではなかったのですから,その分値引きをするということになるのです。
減額を受けた分で,第三者に補修を発注したり,自社で修理したり,欠陥の程度によってはそのまま使用したりするということになります。
他によく選択される救済措置としては,①商品の交換(Replacement)や②補修(Repair)があります。
これらの救済措置は,一般的には,売主側が自らの裁量により(at its sole discretion)選択できると定められることになります。
もちろん,当事者が合意すれば,買主がこれらの救済措置のどれを選ぶかの決定権を持つことも可能です。
一般的には,買主が救済措置を選択できるとすると,売主側のその際の都合や状況を無視して,商品の交換,修理,返金,代金減額などを一方的に決定されてしまうという不都合があるので,売主側が選択すると定めることが多いと思います。
当然ですが,商品の品質などに問題があったときに,どのように売主が対処するのかは,買主にとって重大な問題です。
Reductionは,こうした品質保証に関する救済措置の一つとして書かれていることが多いので,この用語が登場した場合は,他の救済措置とともに,製品保証の内容が十分であるかを確認する必要があるでしょう。