Misuse(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Misuseがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「誤用する」という意味で使用されます。
よくこの用語が問題になるのは,製造物責任(Product Liability)に関連する場面においてです。
例えば,売買契約書(Sales Agreement)や販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,商品に欠陥(Defect/Deficiency)があり,それが原因で人が怪我をしたり死亡したり,または,他の物が壊れたりした場合に,メーカーである売主が責任を負うというルールがあります。
これが製造物責任(Product Liability: PL)です。
もっとも,この製造物責任が生じるのは,上述のとおり製品に欠陥があり,その欠陥が原因となり損害が生じた場合に限定されます。
つまり,ユーザーが製品を本来の使い方に従わずに,misuse=「誤用」した場合には,製造物責任は生じないのです。
ただし,商品の使用についてメーカーが十分に注意喚起したり,使用法を指示したりしなかったがゆえに使用者に誤用が起こった場合は,なお製造物責任が生じる可能性があるので注意して下さい。
メーカーとしては,きちんと使える欠陥のない製品を世の中に売り出して終わりではなく,実際にその商品をユーザーが使用する際に,どのように使用すれば安全に使えるのかまでサポートしてはじめて責任を果たしたことになるということです。
欠陥のない製品を作ることがゴールではなく,ユーザーに安全に使用させるところまでがゴールですので注意しましょう。
あくまで,メーカーとしてはmisuseが起きないように配慮を十分にしていたにもかかわらず,ユーザーがmisuseをし,それが原因となって怪我をしたというような場合にメーカーが責任を免れるということだと理解して下さい。