インドの法制度
日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してインドに進出する際,以下のようなインドの法制度に注意したほうが良いでしょう。
① 販売店(代理店)保護法
インドはイギリスの影響を受けたコモン・ロー(判例法)の法体系に属する国の一つです。
インドには,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された法律は存在していません。
したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある
①中途解約条項,
②債務不履行解除条項,
③契約期間の満了による終了条項(更新拒絶条項)
なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。
また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は認められない旨を契約書に記載することも多いですが,この点に関してもこれを禁止するような法律の内容はないと考えて良いでしょう。
もっとも,インドの契約法では,契約期間終了後も競業避止義務を課す条項については原則として無効としているので,注意が必要です。
例えば,サプライヤーが販売代理店に対し,自社製品と競合する製品の取り扱いを禁止する条項を入れた場合,契約期間中は有効でも,契約期間後の競合品の取り扱い禁止は無効になる可能性があります。
② 登録制度
インドでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。
そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。
③ 言語
販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)の言語を特に制限する法律はないので,英語などの外国語のみでも契約書を作成することが可能です。
④ 準拠法・紛争解決
インドでは,準拠法をインド法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。
ちなみに,インドは連邦制を採用しているため連邦法と州法が存在します。
なお,インドはニューヨーク条約加盟国です。
そのため,日本企業とインドの企業との間の販売店契約の場合,紛争解決については,強制執行の便宜を考え,裁判ではなく仲裁(Arbitration)を選択することが多いです。
以上が,日本企業がインド企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。
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