Remunerative(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Remunerativeがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「利益が上がる」という意味で使用されます。
例えば,remunerative saleで「利益が上がる販売」という意味になります。
ニュアンスとしては「採算が取れる」というような意味になります。
英文契約書では,ビジネスの企画段階でNDAやMOUなどを締結して可能性を探るというような場面で契約書内に登場することがあります。
利益が上がりそうな場合は正式契約(definitive agreement)を作成し正式にビジネスとしてスタートさせるが,それまでは様々な角度から検証を行うというような場合にremunerativeという用語が使われることがあります。
当然ですが,remunerativeという表現だけでは,具体的な数値などがありませんので,いったいどの程度の売上や利益をもってremunerativeと言えるのかが曖昧でわかりません。
このままですと,当事者の主観的な判断が入る余地があります。
そのため,利益が上がる販売だと言えるためにはどの程度の利益額や利益率を達成する必要があるのか,remunerativeと言えるかどうかを誰がどのような基準で判断するのかなど,契約書に記載できる範囲のことは記載するとよいでしょう。
ビジネスの検討段階であまり細かい数字などを契約書に入れられないという事情もあると思いますので,これという数字を入れるのは無理でも,幅をもたせるとか,大体の指標を入れるなどの方法でも良いかと思います。
海外企業との取引では,政治・経済情勢,為替変動,関税など国内取引よりも様々なイレギュラー要素が絡んでくるため,利益を確保するのが難しいです。
そのため,良い話だと思っても安易に契約書を作成して拘束力のある状態で飛びつかず,段階を設けて徐々にビジネスとして成立させていくということも時には重要になります。
Remunerativeという用語はこうした考え方を思い出させてくれるものとも言えます。