英文契約書の相談・質問集345 請負契約の工期に遅れた場合のペナルティはどう定めればよいですか。

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「請負契約の工期に遅れた場合のペナルティはどう定めればよいですか。」というものがあります。

 建築請負契約(Construction Contract)などで,請負人が工期までに工事を完了できない場合に,どのようなペナルティを課すのが妥当かという問題です。

 ちなみに,余談ですが「契約」はAgreementで表すことが多いと思いますが,請負契約に関してはAgreementではなく,Contractという用語を使うのが通常です。

 建築請負契約において納期は重要ですが,人員不足や天候不順など様々な理由で予定していた工期より建物の完成などが遅れるということが起こります。

 この場合,注文者としては,請負人に対して損害賠償請求などをすることを検討することになりますが,損害額の算定と立証が容易ではないという事情があります。

 そのため,建築請負契約(Construction Contract)などにおいては,予め工期に遅れた場合の損害金を取り決めておくということがよく行われています。

 このように,損害賠償の金額を予め決めておくことを「損害賠償の予定: Liquidated Damages」と呼んでいます。

 例えば,「工期が予定より1日遅れるごとに請負代金の年利10%の割合に相当する金員を損害賠償の予定として支払う」などと契約書で取り決められることになります。

  例えば,1日あたり0.1%の遅延損害金を定めるときは,"If the Contractor fails to complete the Work by the Completion Date, the Contractor shall pay liquidated damages to the Client at the rate of zero point one percent (0.1%) against the Contract Amount for each day from the Completion Date up to the actual date of completion. "などと記載することになります。

 損害賠償の予定を定めなかった場合には,工期の遅れにより実際に注文者が被った損害の賠償請求をすることになりますが,その場合の損害額の算定は現実的には難しい面があるので,上記のような定めを置くのが良いかと思います。

 こうした定めを置くことにより,請負人が工期までに仕事を完成させるモチベーションが高まり,工期が守られる可能性が高まるという効果も得られます。

 具体的な賠償額が定まっていないと,実際に注文主が損害賠償をしてくるのか,してきたとして損害額を立証できるのかが不明なので,プレッシャーが弱いという側面があります。

 なお,英米法では,損害賠償の予定=Liquidated Damagesの定めは有効ですが,この定めが違約罰=Penaltyとみなされると無効になる可能性があります。

 そのため,損害賠償の予定=Liquidated Damagesとして妥当な金額を定め,不当に高額な違約罰=Penaltyと解釈されないように注意する必要があります。

 損害賠償の予定=Liquidated Damagesと,違約罰=Penaltyの違いについてはこちらの記事もご覧下さい。

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