| 代金が回収できない・製品が届かない——国際取引の二大リスク
海外との売買取引で最も深刻なトラブルは,製品を出荷したのに代金が払われない(輸出側)と,代金を払ったのに製品が届かない・使えない(輸入側)の二つです。いずれも英文契約書の支払い条件・検収条項・納期条項の不備が原因です。具体的な事例と対策を解説します。 このページでわかること ✔ 輸出側(売り手)が直面する代金回収リスクの典型事例と契約上の対策 ⚠ なぜ代金・納品トラブルが後を絶たないのか
代金回収リスク(輸出・販売する側) 製品を出荷・納品したのに代金が払われない,または減額・支払い拒絶を要求されるケースです。
納品リスク(輸入・購入する側) 代金を払ったのに製品が届かない,届いても使えない,または生産計画を狂わせる遅延が生じるケースです。
⚠ 契約書に盛り込むべき5つのポイント
よくある質問(Q&A) Q. 海外取引で代金未払いリスクを防ぐ最善策は何ですか? A. 最も確実なのは信用状(L/C)決済です。銀行が支払いを保証するため,契約書上の書類要件を満たせば代金回収が担保されます。L/Cが困難な場合は,①発注時前払い+残額検収後払いの分割払い,②貿易保険(NEXI)の活用,③契約書への延滞損害金・担保条項の明記を組み合わせることがリスク軽減の基本です。 Q. 「検収合格後払い」という条件は危険ですか? A. 検収期間・合格基準・みなし合格条項のいずれかが欠けると危険です。「合格するまで払わない」という条項は,相手方に無限の支払い引き延ばし権限を与えることになりかねません。検収期間(例:納品後14日以内)と「期間内に通知がない場合は合格とみなす」みなし条項を必ず設けてください。 Q. 出荷後に代金が払われません。今からできることはありますか? A. まず契約書・発注書・出荷書類・通関書類・メール記録を保全してください。その上で,①弁護士名義での支払い催告書の送付,②交渉・和解,③仲裁・訴訟(準拠法・仲裁地条項による),④現地弁護士との連携の順で対応を検討します。代金未払いでも,証拠が揃っていれば相当程度の回収が期待できるケースがあります。早期の相談が回収率に直結します。 Q. 全額前払いしたのに製品が届きません。取り返せますか? A. 回収の可否は,相手方の財産状況・所在国の法制度・証拠の有無によって大きく異なります。電信送金記録・発注書・契約書があれば法的手段(仲裁・訴訟)の根拠になります。一方,契約書がなく相手方が所在不明の場合は困難です。いずれにせよ早期に弁護士に相談し,相手方が資産を隠匿する前に仮差押え等の保全手続きを検討することが重要です。 Q. 納期遅延で損害が出ました。賠償請求できますか? A. 契約書に確定期日と遅延損害金(Liquidated Damages)条項があれば請求できます。「納期:○月予定」とのみ記載されている場合,「予定」は確定的義務ではないと主張されるリスクがあります。損害の立証(販売機会損失・代替調達費用等)も必要になるため,証拠の保全と弁護士への早期相談をお勧めします。 Q. 輸入した製品が仕様と違います。返品・賠償を請求できますか? A. 契約書に品質基準(QC Spec)と不合格品の処理方法(返品・作り直し・代金減額)が明記されていれば請求できます。「業界標準に適合」とだけ記載されている場合,相手方が「標準は満たしている」と反論する余地が生じます。クレーム期限内(契約書の規定または準拠法の瑕疵担保期間内)に書面で通知することが必須です。まず手元の契約書と納品書類を確認の上,弁護士にご相談ください。
【注意事項】本ページの事例は一般的な解説を目的とした模式的なものであり,特定の実在する案件・当事者を示すものではありません。個別案件の法的判断は準拠法・事実関係によって異なります。実際にトラブルが発生している場合は,早期に弁護士へご相談ください。
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