英文契約書の文言を解釈するのに,英国の裁判所がどのようなルールによって解釈するのか,ごく基本的な点について解説します。日本の裁判所でも同じような概念を用いて文言解釈をする場合があります。
管轄裁判所をどこにするとしても,契約書の文言が曖昧であったり,条項間で矛盾があったりすると,これらの解釈ルールを用いて最終的には裁判所等で意味内容について決着を見ることになります。
しかし,当然のことながら,どのようなルールでどのような解釈がなされ,どのような結論になるのかを事前に正確に予測することは極めて困難です。
したがって,英文契約書を作成する段階で,当事者の意図を明確化し,その意図を文言に忠実に表すことが必要です。
また,他の条項に照らして矛盾を生じないか,契約全体を見た時に特定の条項が全体の意図に矛盾していないか,項目を例示している条項がある場合に例示されていない事項は排除する意図なのか,など細かい部分もしっかりとチェックする必要があります。
なお,以下ではinterpretationという言葉を解釈の意味で用いていますが,他にconstructionとも呼ぶことがあります。「解釈する」ともconstrueと言います。
① Literal Interpretation(文理解釈)
これは,書かれた文言を分離に忠実に文字通り解釈するという方法です。文理解釈を貫くということは,文理解釈の結果が不合理だとしてもそのままの意味であると認定することを意味します。
通常はまずこの文理解釈をすれば問題ないのですが,文言通りに解釈すると契約の趣旨からして,または,当事者の公平からして不当な結果を招くというような場合に,本来の文言上の文意を曲げてでも妥当性を追求しようというのが他の解釈論です。
② Purposeve Interpretation(目的論的解釈)
これは文理解釈により解釈すると,その結果が不合理になるような場合に,当事者が実際にはどのようなことを目的として契約を締結したのか,実質的な意図,契約書趣意を考慮に入れて解釈することをいいます。
前述のとおり,文言通りに解釈すると,契約内容に照らして不合理となる場合の例外的な解釈手法です。このような解釈がなされることがあるとはいえ,当然常に「救済」されるとは限りませんので,やはり契約文言に曖昧さや条項の意味に誤解を与えないようにすることが基本です。
③ Golden Rule Interpretation(黄金律解釈)
契約書の文言を解釈する際に,不合理な内容,矛盾するような内容,他の条項とコンフリクトがあるようなことがない限りは,通常の文言の意味どおりに解釈するという解釈手法です。
ここでいう通常の意味というのは,その用語に,日常的に使用される(Common)意味と,他に特殊な意味で使用されることもあるという場合に,当該契約書では当該文言をその特殊な意味で使用したのだと解釈するには,その特殊な意味を敢えて使ったのだとという証明が必要であり,それがなされない限り,日常的意味を採用するというような意味です。
英国コモン・ローではこの解釈手法が原則的に使われていると一般的に言われています。
④ Contextual Interpretation(文脈解釈)
比較的新しい解釈手法であると言われ,単に文言を通常の意味で解釈するというのではなく,契約の背景事実,用語の使用状況,契約の目的などを考慮し文脈上の解釈をするという手法です。
この解釈手法は現在のコモン・ロー上の解釈原則であるとも言われているようです。
とはいえ,文脈から文言解釈がなされる場合というのは,文言を通常の意味で解釈することに何らかの不都合を生じているためであることが多いでしょうから,現場では,契約の背景,契約の目的に合わせて誤解を生じない文言によって契約を締結することが何より重要であることに変わりはないでしょう。
⑤ その他の解釈原則
その他の解釈原則としては,たとえば,Contra Proferentem(文言の意味が曖昧で2つ以上の意味に解釈しうる場合には,起草者に不利に解釈するというもの),Ejusdem Generis Rule(複数の事由が列挙されて最後に「その他の・・・」という規定をしている場合,挙げられた事由に類似したもののみが「その他」に含まれるという原則)などが挙げられます。
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