日本法人の㈱ABC製造は,イギリスに販社を作り,販社を使って自社製品を販売展開することにしました。
もっとも,スタート時のイギリスの販社の規模はそれほど大きくなく,現地採用の人数も数人に限られていました。
また,現地の販社の採用者も当初は日本人に絞られていました。
そのため,特に現地法に基づいた雇用契約書や就業規則などは用意せず,日本の雇用契約書をそのまま流用して使用していました。
その後,事業は順調に拡大し,イギリス販社の売上も向上していきました。
その最中,現地でヘッドハンティングをしたDirectorの一人と本社がイギリス販社の経営方針をめぐって争うようになりました。
そのため,本社は,そのDirectorを解任することにし,解任通知を交付,Directorは販社を去りました。
それから,何ヶ月かして,Directorが販社と日本の本社を相手取り,イギリスで訴訟を提起してきました。理由は解任の不当性を理由とした損害賠償請求などでした。
また,なぜ本社も訴えたかについては,販社を事実上コントロールしているため「法人格否認の法理」が適用されるという理由からでした。
本社がそのDirectorとの雇用契約書/委任契約書を確認すると,準拠法は日本法とされていました。そこで,日本の弁護士にこの事態について相談に行きました。
弁護士の回答は,「雇用問題や現地の会社との委任契約については現地の法律が適用されるので,販社と本社ともに応訴しないと敗訴する可能性がある」というものでした。
結局,本社はイギリスでの裁判に対応するほどの財務的な余裕もなく,多額の賠償金を払って和解するほかありませんでした。
本事例の解決法
法律には強行法規/強行規定という概念があり,一定の法律は当事者がどのように合意しても(例えば準拠法としてある国の法律が適用されると合意しても),その合意を無視して適用されることがあります。
労働法関係はその典型例と言えるでしょう。したがって,海外に子会社を設立して,現地で雇用をする場合には,基本的には現地の労働法規にしたがった雇用契約書等を作成するのが安全といえます。
そのようにせずにいた場合,現地法人の役員や労働者との間で思わぬトラブルになることがあります。
労働法規は,当然,国によってかなり内容が異なっています。
内容によっては,労働法に違反したがために高額の補償金を支払わなければならなかったり,罰則が適用されたりします。
そのため,事前に適切な契約を締結しておくことが非常に重要となります。実際には,現地の弁護士などのアドバイザーに協力してもらい,現地法に従って作成していくことになります。
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