Deem(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語の一つにDeemがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「...とみなす」という意味です。
英文契約書で登場するdeemは,例えば,ソフトウェアの利用規約などにおいて,「ユーザーがコンピューターにソフトウェアをインストールしたときに,使用許諾条件を承諾したものとみなす」などという内容を表したいときに登場することが多いといえます。
上記の例でいえば,When the User has installed the Software into its computer, it shall be deemed to have accepted the Terms of Use with regard to the Software.などと表現されることになります。
上記の例文の具体的な和訳は,「ユーザーが自身のコンピュータに本ソフトウェアをインストールしたときに,本ソフトウェアに関する利用規約を承諾したものとみなす」ということになります。
このような表現がなされていれば,原則として,これと反対の内容を主張できなくなるという効果が生じます。
つまり,ユーザーはコンピューターにソフトウェアをインストールしておきながら,使用許諾条件/利用規約を読んでいないから承諾していないなどと主張できないという効果が生じるということです。
ソフトウェアをインストールしたという行為から,自動的に使用許諾条件/利用規約を承諾したということが導かれるのです。
言い換えれば,直接使用許諾条件/利用規約を読んで承諾したという行動をとっていなかったとしても,ソフトウェアをコンピュータにインストールしたことにより,もはや使用許諾条件/利用規約を承諾していないという反論はできないということを意味しているのです。
他にも,「通知(Notices)が一定の場所に到達したら,相手方にその通知が到達したものとみなす」というような英文契約書の規定にもdeemはよく登場します。
このように,deemという表現は,ある行為などが行われたり,事象が起こったりしたら,それをもって別の一定の行為が行われたことにしてしまったり,別のある事象が生じたりしたことにするという効果があるのです。
したがって,英文契約書を審査・チェックする際には,deemが出てきたらその効果を意識して,内容に問題がないか精査する必要があるでしょう。