英文契約書の条項の修正例4:MOU/LOI(法的拘束力の有無)

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この記事でわかること

  • MOU/LOIに法的拘束力があるのか
  • 拘束力を持たせる場合・持たせない場合の条項例
  • 一部の条項だけ拘束力を持たせる方法と,実際の修正文例(赤入れ)

こんなときにお読みください:本契約の前にMOUやLOIを結ぶことになったが,どこまで約束したことになるのかわからず不安。

1. MOU/LOIとは

英文契約書として,Memorandum of Understanding(MOU)やLetter of Intent(LOI)などを本契約の前に締結することがあります。日本語では「覚書」や「予備的合意書」などと訳されています。

これらを作成する際によくご質問を受けるのが,「法的拘束力があるのか(legally binding)」という点です。

2. 法的拘束力はあるのか

この問題は準拠法(Governing Law)にもよりますが,一般的にはケースバイケースです。「MOU」「LOI」という名称だけで決まるものではなく,文言や内容によって判断されると考えます。

このような質問をよく受けるということは,当事者自身もよくわかっていない,曖昧なまま締結している場合が多いということです。そのため,作成やアドバイスのご依頼を受けた場合には,法的拘束力があるのかないのかをはっきり明記するように対応しています。

書き方向いている場面
全体に拘束力を持たせる合意した条件を確実に守らせたい場合
全体を拘束力なしにする交渉の方向性を確認するだけの場合
一部の条項だけ拘束力を持たせる本体の条件は未確定だが,秘密保持や独占交渉などは守らせたい場合

拘束力を持たせる場合

The provisions stipulated in this MOU are legally binding on the parties except for …

和訳:…を除いて,本覚書に定められた条項は法的に当事者を拘束する。

拘束力を持たせない場合

The Articles set forth herein are not legally binding on the parties; provided, however, that the parties shall respect this MOU as a more formal agreement than a so-called gentleman's agreement.

和訳:本MOUに規定された条項は法的に当事者を拘束するものではないが,当事者は,いわゆる紳士協定よりも公式な合意として本MOUを尊重するものとする。

一部の条項だけ拘束力を持たせる場合

MOUやLOI全体ではなく,特定の条項だけに法的拘束力を持たせることも基本的に可能です。相手方が作成したドラフトに拘束力の有無が書かれていない場合には,例えば次のように追記することが考えられます。

修正例(赤:削除/青:追加)

Except for Article 5 (Confidentiality) and Article 8 (Governing Law), which shall be legally binding on the parties, this MOU shall not be legally binding on the parties.

【弁護士コメント】拘束力の有無が明記されていないため,秘密保持と準拠法の条項のみ拘束力を持たせ,その他は拘束力がないことを明記するよう提案します。

和訳:第5条(秘密保持)および第8条(準拠法)は当事者を法的に拘束するものとし,これらを除き,本MOUは当事者を法的に拘束しないものとする。

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3. 自社のMOU/LOIで確認したいポイント

  • ✓法的拘束力の有無が明記されているか
  • ✓拘束力を持たせる条項(秘密保持・独占交渉など)が特定されているか
  • ✓有効期間と,本契約が締結されなかった場合の扱い
  • ✓交渉にかかった費用の負担

4. まとめ

英文契約書としてMOU/LOIを作成する際には,曖昧さ(vagueness)をなくすために,合意の意図・性質を明確に定めておくことが重要と考えます。

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弁護士 菊地正登(片山法律会計事務所)/相談・案件実績 2,931件

執筆 弁護士 菊地正登(第二東京弁護士会/片山法律会計事務所)

2003年弁護士登録。英国 University of Southampton のLL.M(法学修士)コースワークで英米法・国際取引法等を学び,ロンドンの法律事務所 Hill Dickinson LLP で実務経験。英文契約書・国際取引を中心に取り扱っています。プロフィール

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