韓国の法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名して韓国に進出する際,以下のような韓国の法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 韓国には,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された法律は存在していません。

 

 そのため,販売店契約を締結した場合に,契約の終了をするのに一定の猶予期間を設けなければならないなどの制約は直接的には定められていません。

 

 ただし,韓国には,日本の独占禁止法に相当する「独占規則および公正取引に関する法律」に関連する法律として「代理店取引の構成化に関する法律」(代理店法)という法律があります。

 

 この代理店法は,いわゆる販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)にも適用され,サプライヤーに対し「不利益提供行為の禁止」として禁止行為を定めています。

 

 この「不利益提供行為」というのは,日本の独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に近い概念と考えれば良いかと思います。

 

 例えば,日本のサプライヤーが販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を解除したり,契約期間の満了により契約終了を主張したりする場合に,サプライヤーの取引上の地位を不当に利用して販売店(Distributor)に不利益を提供したとされてしまうと,代理店法に違反する可能性を生じます。

 

 そのため,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,一定の猶予期間を設けた契約の中途解約が可能であることや,更新なく期間満了により契約が終了することを明確に条文化し,契約条項にしたがって契約を終了させたことを証明できるようにしておくことが大切といえるでしょう。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由として販売代理店はサプライヤーに対し補償金等の支払いを求めることは一切できないという規定を置くことが多いですが,この規定は代理店法の「不利益提供行為」の一類型とされていることにも注意が必要です。

 

 ② 登録制度

 韓国では,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 ただし,上記代理店法によって,例えば,取引形態,取引品目および期間に関する事項や,契約解約の事由および解約手続に関する事項など,法定事項を定めた書面により契約書を作成する必要があります。

 

 そして,その書面を販売店(Distributor)に交付し,サプライヤーも保管しなければならないとされています。

 

 以上が,日本企業が韓国企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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インドネシアの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してインドネシアに進出する際,以下のようなインドネシアの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 インドネシアには,いわゆる販売店(代理店)保護法に相当する法律そのものは存在していません。

 

 そのため,販売店契約を締結した場合に,契約の終了をするのに一定の猶予期間を設けなければならないなどの制約は直接的には定められていません。

 

 ただし,インドネシア民法1266条に注意が必要です。同条は,販売店契約を解除する際には,例えインドネシア企業の債務不履行を原因とするものであっても,インドネシア裁判所の訴訟を経て命令により解除しなければならないとしているからです。

 

 したがって,準拠法がインドネシア法となっている場合でも,このインドネシア民法1266条の適用を契約書で放棄させておくほうが無難といえるでしょう。

 

 ② 登録制度

 インドネシアでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を商業省に登録しなければならないとされています。

 

 そして,例えば,日本のサプライヤーが現在の販売店(Distributor)との間の販売店契約を契約期間中に解約して,新たな販売店を指名したいと考えても,「旧販売店が契約の終了に同意し,新販売店が販売店として指名を受けることを承諾している」旨の書面を商業省に提出しない限り,新たな販売店の登録ができないとされています。

 

 この登録規制により,実質的に旧販売店が保護されていることになりますので,販売代理店を変更する際には注意が必要です。

 

 ③ 言語

 インドネシア法人が契約当事者となる場合,原則としてインドネシア語で契約書が作成されなければならないというルールがあるので,日本企業がインドネシア企業と販売店契約を交わす場合,実務的には,インドネシア語と英語(または日本語)を併記して作成していることが多いです。

 

 この場合に,外国語(英語や日本語)の内容とインドネシア語の内容とが矛盾したとき,どちらの言語の内容が優先するかが問題になります。

 

 外国語がインドネシア語に優先する旨の条項を契約書に設けたとしてその条項の効力が問題になりますが,(確立した判例などはないと思われるところ)実務的にはこうした条項も有効になる可能性があるとして挿入していることが多いです。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 インドネシアでは,準拠法をインドネシア法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。

 

 ただし,紛争解決については,外国の裁判所の判決をインドネシア国内で執行することはできないため,外国の裁判を選択することは実効性がありません。

 

 また,インドネシアの司法制度は残念ながら成熟しているとはいい難い面があるとされているため,インドネシアの裁判を紛争解決手段として選択することもあまりおすすめできません。

 

 そのため,日本企業とインドネシアの企業との間の販売店契約の場合,実務的には,第三国であるシンガポール法を準拠法とし,シンガポール国際仲裁センター(SIAC)を紛争解決機関として選定するということが広く行われています。

 

 以上が,日本企業がインドネシア企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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タイの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してタイに進出する際,以下のようなタイの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 タイには,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された法律は存在していません。

 

 そのため,販売店契約を締結した場合に,契約の終了をするのに一定の猶予期間を設けなければならないなどの制約は直接的には定められていません。

 

 日本の民法・商法に相当するタイの法律には販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に適用される法律で,いわゆる「強行法規/強行規定」として,当事者の合意に優先して適用される重要な内容は,原則としてないと考えて良いかと思います。

 

 そのため,タイの法律とは異なる内容でも,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,

③契約期間の満了による終了条項(更新拒絶条項)

なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は一切認められない旨を契約書に記載することも多いですが,この点に関してもこれを禁止するような法律の内容はないと考えて良いでしょう。

 

 ② 登録制度

 タイでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 契約書の言語を特に制限する法律はないので,英語などの外国語のみでも契約書を作成することが可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 タイでは,準拠法をタイ法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。

 

 ただし,紛争解決については,日本の裁判所の判決をそのままタイ国内で執行することはできないため,強制執行を考えると日本の裁判所以外の手段が良いかもしれません。

 

 また,タイの司法制度は残念ながら成熟しているとはいい難い面があると指摘されているため,タイの裁判を紛争解決手段として選択することもあまりおすすめできません。

 

 そのため,日本企業とタイの企業との間の販売店契約の場合,実務的には,第三国であるシンガポール法を準拠法とし,シンガポール国際仲裁センター(SIAC)を紛争解決機関として選定するということも多く行われています。

 

 以上が,日本企業がタイ企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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ベトナムの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してベトナムに進出する際,以下のようなベトナムの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 ベトナムには,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)について,いわゆる販売店保護法のような特別な法律は存在していません。

 

 ただし,代理店契約(Agency Agreement)については,ベトナムの商法の特別な規定が適用されます。

 

 この特別法では,例えば,①代理店は他のサプライヤーとの間で代理店契約を締結する権利を有する(つまりデフォルトでは非独占販売店契約が前提となっている)とされていたり,②サプライヤーが代理店契約を解除するためには,少なくとも60日の猶予期間を設けて解除を通知する必要があるとされていたり,③サプライヤーが代理店契約を解除した場合,代理店はサプライヤーに対して損害賠償請求ができるとされていたりします。

 

 もっとも,これらは当事者の合意により排除できるとされていますので,サプライヤーと代理店が締結する代理店契約書でこれらを明確に排除しておけば,適用を免れることになります。

 

 また上記特別法は販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)には適用されないため,販売店解約に関し,

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,

③期間満了による契約終了条項(更新拒絶条項)

などを挿入しても,基本的には契約書に定めたとおりに認められます。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は一切認められない旨を契約書に記載することも多いですが,この点に関しても効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 ② 登録制度

 ベトナムでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 販売店契約や代理店契約の契約書の言語を特に制限する法律はないので,英語などの外国語のみでも契約書を作成することが可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 ベトナムでは,準拠法をベトナム法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。

 

 ただし,紛争解決については,日本の裁判所の判決をベトナム国内で執行することは事実上不可能であるため,強制執行を考えると日本の裁判所以外の手段が良いかもしれません。

 

 また,ベトナムの司法制度は残念ながら成熟しているとはいい難い面があると指摘されているため,ベトナムの裁判を紛争解決手段として選択することもあまりおすすめできません。

 

 そのため,日本企業とタイの企業との間の販売店契約の場合,実務的には,ベトナム国際仲裁センター(VIAC)を仲裁機関としたり,第三国のシンガポール国際仲裁センター(SIAC)を選定するということも多く行われています。

 

 後者のように外国の仲裁を利用する場合,仲裁判断の執行についてはベトナムの裁判所による承認が必要となるとされており,裁判所が契約書の不備などを指摘して,仲裁判断の執行を認めないということがあるとも言われているので,注意が必要です。

 

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フィリピンの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してフィリピンに進出する際,以下のようなフィリピンの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 フィリピンには,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された法律は存在していません。

 

 日本の民法・商法に相当するフィリピンの法律には販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に適用される法律で,いわゆる「強行法規/強行規定」として,当事者の合意に優先して適用される重要な内容は,原則としてないと考えて良いかと思います。

 

 そのため,フィリピンの法律とは異なる内容でも,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,

③契約期間満了による契約の終了条項(更新拒絶条項)

なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は一切認められない旨を契約書に記載することも多いですが,この点に関してもこれを禁止するような法律の内容はないと考えて良いでしょう。

 

 ② 登録制度

 フィリピンでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 フィリピンの公用語の一つが英語ですので,英文契約書で問題なく効力を有します。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 フィリピンの司法制度は使い勝手が良くないとも言われいているため,フィリピンでの裁判を選択することはあまりおすすめできません。

 

 フィリピンでの仲裁は,フィリピン紛争解決センター(Philippine Dispute ResolutionCenter, Inc.; PDRCI)において行うとされることが多いと思われます。裁判より機能しているという話を聞いていますので,裁判よりは仲裁を選択するほうが良いかと思います。

 

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ニューヨーク条約

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 「ニューヨーク条約」は通称で,正式にはConvention on the Recognition and Enforcement of Foreign Arbitral Awards (New York, 1958),日本語名称は「外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約」(昭和36年条約第10号)といいます。

 

 ニューヨーク条約の和文テキストはこちらの国際私法学会のページでご覧頂けます。

 

 この条約は,簡単に言うと,加盟国間において,仲裁判断(Arbitral Award)の執行を容易にするために定められたものです。

 

 仲裁判断というのは,裁判外紛争解決手続(ADR)の一つである仲裁(Arbitration)の裁定をいい,裁判でいうところの判決に相当するものです。

 

 この仲裁判断を根拠に,相手の財産を差し押さえたりする強制執行というものができることになります。

 

 ただ,相手が外国の企業ですと,例えば,日本で得た仲裁判断をそのまま外国で承認してもらい執行することは,ルールが違うためできません。

 

 この外国仲裁判断の承認・執行を簡単にするために,ニューヨーク条約加盟国であれば仲裁判断の承認・執行を原則として認めるということになりました。

 

 外国仲裁判断の承認・執行というのは,外国仲裁判断の効力を認めて,これに基づく強制執行を裁判所が行うことを指しています。

 

 日本もこのニューヨーク条約に加盟しています。そのため,例えば,日本の商事仲裁協会(JCAA)において取得した仲裁判断に基づき,同条約加盟国に所属している外国企業の財産に対し,判決に比べて容易な手続きにより強制執行をすることができるということになります。

 

 なお,ニューヨーク条約第5条2項は,「自国の法律によれば仲裁による解決が不可能である事項に関する仲裁判断であること」,または,「承認・執行をすることが自国の公序に反すること」のいずれかに該当するときには,裁判所は職権によって,その仲裁判断の承認・執行を拒否することができるとされています。

 

 そのため,例えば,外国でなされた仲裁判断が,日本の公序良俗に反するような内容であれば,例外的に日本での仲裁判断の執行ができないということはありえます。

 

 国際取引で使用される英文契約書で,裁判管轄(Jurisdiction)よりも仲裁(Arbitration)の条項を多く見るのは,上述したニューヨーク条約による強制執行の容易さが理由の一つです。

 

 ニューヨーク条約の加盟国一覧はこちらからご覧頂けます。

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シンガポールの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してシンガポールに進出する際,以下のようなシンガポールの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 シンガポールは歴史的に英国法の影響を受けた,コモンローの法体系に属する国です。

 

 シンガポールには,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された法律は存在していません。

 

 そのため,販売店契約を締結した場合に,契約の終了をするのに一定の猶予期間を設けなければならないなどの制約は直接的には定められていません。

 

 日本の民法・商法に相当するシンガポールの法律には販売代理店契約に適用される法律で,いわゆる「強行法規/強行規定」として,当事者の合意に優先して適用される重要な内容は,原則としてないと考えて良いかと思います。

 

 そのため,シンガポールの法律とは異なる内容でも,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 したがって,販売代理店契約の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,

③期間満了による契約終了条項(更新拒絶条項)

なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 また,販売代理店契約では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は一切認められない旨を契約書に記載することも多いです。

 

 この点については,シンガポールには,Unfair Contract Terms Act(不公正契約条項法)という法律があるので,こちらに違反するとして販売代理店から主張されると,場合によっては条項が無効化するおそれがあるので一応注意が必要です。

 

 ② 登録制度

 シンガポールでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 シンガポールでは公用語の一つが英語ですので,英文契約書で問題なく通用します。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 シンガポールでは,準拠法をシンガポール法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。

 

 ただ,紛争解決については,シンガポールは積極的に国際紛争を受け入れているという事情もあるので,シンガポール法を準拠法とし,シンガポール国際仲裁センター(SIAC)を紛争解決機関として選定するということも日本企業との取引で広く行われています。

 

 以上が,日本企業がシンガポール企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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中国の法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名して中国に進出する際,以下のような中国の法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 中国には,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された法律は存在していません。

 

 そのため,販売店契約を締結した場合に,契約の終了をするのに一定の猶予期間を設けなければならないなどの制約は直接的には定められていません。

 

 日本の民法・商法に相当する中国の法律には販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に適用される法律で,いわゆる「強行法規/強行規定」として,当事者の合意に優先して適用される重要な内容は,原則としてないと考えて良いかと思います。

 

 そのため,中国の法律とは異なる内容でも,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,

③期間満了による契約終了条項(更新拒絶条項)

なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は一切認められない旨を契約書に記載することも多いですが,この点に関してもこれを禁止するような法律の内容はないと考えて良いでしょう。

 

 ただし,中国の契約法には,当事者の公平性を要求する規定があり,もし日本企業が中国企業よりも優越する地位にあり,その立場を利用して一方的に自社に有利に契約条項を定めたことが明らかであると認められると,条項の変更や取り消しを裁判所や仲裁機関に請求されるおそれがあるので,念のため注意が必要です。

 

 さらに,日本企業が自社が使用しているひな形を販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)として中国企業との間で使用する場合は注意が必要です。

 

 というのは,中国には当事者の一方が予め作成した約款(「様式約款」と呼ばれます)を使用するときは,自社の免責条項や責任制限条項について相手方の注意喚起をし,相手方の要求に応じて説明する責任があるなどとされているからです。

 

 日本企業が使用しているひな形が上記の様式約款とみなされ,これらの義務に違反すると,中国企業から条項の無効を主張される可能性があります。

 

 また,もし様式約款の内容に曖昧な部分があり,解釈に争いが生じた場合は,起草者に不利に解釈されるというルールもあります。

 

 なお,中国進出の場合,ために報道で見かけるとおり,模倣問題が起こりうるため,進出前に商標登録などは済ませておくことが必要です。

 

 ② 登録制度

 中国には,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)については,契約書の言語を特に制限する法律はないので,英語や日本語などの外国語のみでも契約書を作成することが可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 中国には,準拠法を中国法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。

 

 もっとも,中国企業の立場が優位になることも多く,その場合は事実上中国法を準拠法とせざるを得ない場面もあります。

 

 また,紛争解決については,日本の裁判所の判決中国で執行することはできない(中国の判決を日本で強制執行することもできないとされています)ため,強制執行を考えると日本の裁判所を紛争解決機関とすることは避けるべきです。

 

 そのため,日本企業と中国の企業との間の販売店契約の場合,実務的には,日本の商事仲裁協会(JCAA)中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)香港国際仲裁センター(HKIAC)シンガポール国際仲裁センター(SIAC)などが紛争解決機関として選択されています。

 

 以上が,日本企業が中国企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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マレーシアの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してマレーシアに進出する際,以下のようなマレーシアの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 マレーシアはイギリスの影響を受けたコモンローの法体系に属する国の一つです。

 

 マレーシアには,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された法律は存在していません。

 

 そのため,販売店契約を締結した場合に,契約の終了をするのに一定の猶予期間を設けなければならないなどの制約は直接的には定められていません。

 

 日本の民法・商法に相当するマレーシアの法律には販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に適用される法律で,いわゆる「強行法規/強行規定」として,当事者の合意に優先して適用される重要な内容は,原則としてないと考えて良いかと思います。

 

 そのため,マレーシアの法律とは異なる内容でも,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,

③期間満了による終了条項(更新拒絶条項)

なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は認められない旨を契約書に記載することも多いですが,かかる条項も原則として有効と考えて良いでしょう。

 

 ② 登録制度

 マレーシアでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 契約書の言語を特に制限する法律はないので,英語や日本語などの外国語のみでも契約書を作成することが可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 マレーシアでは,準拠法をマレーシア法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。

 

 ただし,紛争解決については,日本の裁判所の判決をそのままマレーシア国内で執行することはできないため,強制執行を考えると日本の裁判所以外の手段が良いかもしれません。

 

 マレーシアもニューヨーク条約加盟国であるため,日本企業とマレーシアの企業との間の販売店契約の場合,実務的には,日本の商事仲裁協会(JCAA)での仲裁や,シンガポール国際仲裁センター(SIAC)を紛争解決機関として選定するということも多く行われています。

 

 以上が,日本企業がマレーシア企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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 マレーシア進出に関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。

 

 正式にご依頼頂くまで料金はかかりません。

 

 原則として,当日,遅くとも1営業日以内(24時間以内)に折り返しご連絡させて頂いております。

アメリカの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してアメリカ(U.S.A)に進出する際,以下のようなアメリカの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 アメリカは,イギリスから独立した経緯を持つため,イギリス法の影響を受けたコモンローの法体系に属する国の一つです。

 

 もっとも,アメリカは州制度を採用しているので,連邦法と州法と2つの法体系を有し,一口にアメリカ法といっても州によってかなり法律の内容が異なります。

 

 弁護士資格も州ごとに付与されていることを見ても,各州によって法制度が異なることは理解できるでしょう。

 

 そのため,アメリカの法律を調査する際は,州レベルで調査をする必要があることに注意しなければなりません。

 

 なお,アメリカには,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された法律は,連邦法または州法において存在していません。

 

 そのため,アメリカでは,ほとんどの州でアメリカ統一商事法典(Uniform Commercial Code:UCC)を微修正した形で制定されている各州法が販売代理店契約に適用されるということになります。

 

 上述した販売(代理)店保護法のような強行法規/強行規定はないため,各州の法律とは異なる内容でも,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,③契約期間の満了による終了条項(更新拒絶条項)

なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 ただし,日本同様に,当事者の合意に優先して適用される独占禁止法が存在するので,例えば,サプライヤーである日本企業が,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を解除したり,更新を拒絶したりした場合に,販売店(Distributor)が,これを不当な取引の拒絶に当たるとして,独占禁止法に反し違法であるなどと主張してくることが考えられます。

 

 ② 登録制度

 アメリカでは,連邦法において販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 ただし,一部の州法では販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に関する情報の一部を当局に登録しなければならないとしているので注意が必要です。

 

 ③ 言語

 言うまでもありませんが,公用語が英語ですので英文契約書の締結が可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 前述したとおり,アメリカでは州法が存在するので準拠法をアメリカ法にする場合,U.S.Aの法律というのではなく,どの州の法律を準拠法とするのか(例えばカリフォルニア州)も選択する必要があります。

 

 アメリカでの仲裁を選択することも多くあります。例えば,ニューヨーク州に本部があるアメリカ仲裁協会(American Arbitration Association:AAA)において仲裁を行うなどと取り決められることがあります。

 

 以上が,日本企業がアメリカ企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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 アメリカ進出に関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。

 

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 原則として,当日,遅くとも1営業日以内(24時間以内)に折り返しご連絡させて頂いております。

ドイツの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してドイツ進出する際,以下のようなドイツの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 ドイツは,イギリスに代表されるコモン・ローの国ではなく,大陸法の体系に属する国です。

 

 ドイツには,いわゆる販売店保護法として独自に販売店を保護するために制定された法律は,存在していません。

 

 他方で,代理店契約(Agency Agreement)の代理店(Agent)を保護する規定(代理店法)は存在しています。

 

 もっとも,代理店法は,代理店契約(Agency Agreement)に対するものですので,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)については直接適用されません。

 

 ただし,ドイツでは,代理店法が一定の要件を満たした販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)にも類推適用されます。

 

 そのため,販売店契約であっても,例えば,契約解除のための通知の猶予期間を一定期間設けるように強制されています。

 

 また,サプライヤーが契約を解除する場合に,販売店(Distributor)が顧客情報などをサプライヤーに提供してサプライヤーに利益が生じるなど一定の要件を充たしたときは,サプライヤーが販売店に対して補償金を支払わなければならないともされています。

 

 もっとも,販売店側から契約が解除された場合や,販売店に債務不履行がありサプライヤーが契約解除した場合は,補償金の支払いは発生しないとされています。

 

 そして,代理店法の類推適用により,上記の契約解除の猶予期間については,契約書で猶予期間を短くしたり,なくしたりすることはできませんし,契約終了の補償金支払いについては,支払いを免除するなどと契約書で免責することは認められていませんので,注意して下さい。

 

 さらに,契約終了後も競合品の取扱いを禁止したりする競業避止義務についても,契約終了後最長2年間とされ,それを超える場合は無効となるなどの規制もあります。(この点,例えば合意により契約を終了させ,その時点で補償金の支払いを免除すると定めることはできるようです。つまり,契約が継続するのに,将来分の補償金の支払いを予め免除することはできないとされています。)

 

 ② 登録制度

 ドイツでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)について言語規制はないので,英語などの外国語でも契約締結可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 ドイツ企業との交渉では,準拠法をドイツ法とし,紛争解決をドイツの裁判所と定めることを求められることが多い傾向にあります。

 

 ドイツでの仲裁の場合は,ドイツ仲裁協会(German Institution of Arbitration)による仲裁を選択することがあります。

 

 以上が,日本企業がドイツ企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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イタリアの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してイタリア進出する際,以下のようなイタリアの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 イタリアには,いわゆる販売店保護法として独自に販売店を保護するために制定された特別法は,存在していません。

 

 そのため,販売店契約に関しては,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,

③契約期間の満了による終了条項(更新拒絶条項)

なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は認められない旨を契約書に記載することも多いですが,このような取り決めに関しても原則として有効になると考えて良いでしょう。

 

 ② 登録制度

 イタリアでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に関し特に言語的な制約はなく,英文契約書の締結が可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 販売店契約に関して準拠法の制限はなく,外国法を準拠法としても原則としてそのとおりに効力が生じます。

 

 イタリアでの仲裁を選択することもあります。例えば,イタリア仲裁協会
(Italian Association for Arbitration)
において仲裁を行うなどと取り決められることがあります。

 

 以上が,日本企業がイタリア企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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スペインの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してスペイン進出する際,以下のようなスペインの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 スペインには,代理店契約(Agency Agreement)については,代理店を保護するための特別な法律(Act 12/1992 on Agency Contracts of 27 May)が存在しています。

 

 ただし,上記は代理店契約のための法律であり,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に直接適用されるものではありません。

 

 スペインには,いわゆる販売店保護法として独自に販売店を保護するために制定された特別法は,存在していません。

 

 そのため,販売店契約に関しては,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 ただし,スペインの裁判所の判例では,例えば,サプライヤーが販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を解除した場合に,販売店(Distributor)に対し補償金の支払いを必要とすると判示するなど上記の代理店保護に関する法律を類推適用して,販売店(Distributor)を保護することがあるので注意が必要です。

 

 また,日本の不正競争防止法に相当する法律(Law No.3/1991 of January 10, 1991, on Unfair Conpetition)では,サプライヤーへの販売代理店の取引依存度が高い場合,サプライヤーからの販売店契約の解除を制限しているので,この点も注意が必要です。

 

 ② 登録制度

 スペインでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に関し特に言語的な制約はなく,英文契約書の締結が可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 販売店契約に関して準拠法の制限はなく,外国法を準拠法としても原則としてそのとおりに効力が生じます。

 

 スペインもニューヨーク条約に加盟しているので,国際紛争解決手段としては,国内外での仲裁手続を選択することがあります。

 

 以上が,日本企業がスペイン企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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フランスの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してフランスに進出する際,以下のようなフランスの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 フランスは,イギリスに由来するコモン・ローの国ではなく,大陸法(シビル・ロー)の法体系に属する国です。

 

 フランスには,代理店契約(Agency Agreement)については,フランス商法に特別規定がありますが,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に適用される特別の規定は存在しません。

 

 そのため,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,

③期間満了による終了条項(更新拒絶条項)

なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は認められない旨を契約書に記載することも多いですが,かかる条項も原則として有効と考えて良いでしょう。

 

 ただし,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)の場合は,原則として契約期間を最長10年間とするという制約があるので注意が必要です。

 

 ② 登録制度

 フランスでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 販売店契約書の言語を特に制限する法律はないので,英語や日本語などの外国語のみでも契約書を作成することが可能です。

 

 ただし,消費者向けに保証の条件や保証範囲を知らせる表示についてはフランス語で表示しなければならないとされているので注意が必要です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 フランスでは原則として自国の法律を準拠法としなければならないという制約はないので,外国法を準拠法とすることも可能です。

 

 フランス企業との間での紛争解決は,訴訟を選択されることもありますし,仲裁を選択されることもあります。

 

 第三国での仲裁を選択するような場合は,ロンドンでのICC仲裁規則による仲裁を選択することもあります。

 

 以上が,日本企業がフランス企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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イギリスの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してイギリス(イングランド)進出する際,以下のようなイギリスの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 イギリスは,当然ですが英国コモン・ローの法体系に属する国です。

 

 もっとも,イギリスは,イングランド,北アイルランド,スコットランド,ウェールズからなっています。

 

 そして,法律は,イングランドとウェールズ法,北アイルランド法,スコットランド法で3つに分かれていて,弁護士資格もこれらで別になっています。

 

 そのため,イギリスの法律を調査する際は,上記の3つを区別して調査をする必要があることに注意しなければなりません。

 

 以下では,イングランドとウェールズ法を前提に解説します。

 

 イギリスには,いわゆる販売店保護法として独自に販売店を保護するために制定された法律は,存在していません。

 

 他方で,代理店(Agent)を保護する法律は,ECC Council Directive(86/653)(Art.17)を受けて,Commercial Agents (Council Deirective) Regulations 1993(代理店法)が制定されています。

 

 そのため,代理店契約の場合,サプライヤーからの中途解約の告知期間が短すぎるなどの場合,代理店法による規制を受けるということが考えられます。

 

 もっとも,代理店法は,代理店契約(Agency Agreement)に対するものですので,純粋な(genuine)販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)については適用されません。

 

 そのため,販売店契約に関しては,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある①中途解約条項,②債務不履行解除条項,③契約期間の満了による終了条項(更新拒絶条項)なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 ただし,Unfair Contract Terms Act 1977(不公正契約条項法)という法律があり,同法では,一方当事者の契約のひな形が修正されずに締結されている場合,契約を一方的に終了させる条項については,合理性がなければ無効になるとされています。

 

 そのため,日本企業がサプライヤーとしてイギリスの販売代理店に対し,自社のひな形をそのまま受け入れさせたような場合に,日本側の一方的な契約の解消条項が内容によっては合理性がないとされて無効になることがあり得るので,注意が必要です。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は一切認められない旨を契約書に記載することも多いですが,このような取り決めに関しても原則として有効になると考えて良いでしょう。

 

 ② 登録制度

 イギリスでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 言うまでもありませんが,公用語が英語ですので英文契約書の締結が可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 前述したとおり,イギリスでは,イングランドとウェールズ法,北アイルランド法,スコットランド法が存在するので準拠法をイギリス法にする場合,UKの法律というのではなく,どの国の法律を準拠法とするのか(例えばイングランドとウェールズ法)を選択する必要があります。

 

 イギリスでの仲裁を選択することも多くあります。例えば,ロンドン国際仲裁裁判所(London Court of International Arbitration: LCIA)において仲裁を行うなどと取り決められることがあります。

 

 以上が,日本企業がイギリス企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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オランダの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してオランダ進出する際,以下のようなオランダの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 オランダには,代理店契約(Agency Agreement)については,代理店を保護するための特別な法律が存在しています。

 

 ただし,上記は代理店契約のための法律であり,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に適用されるものではありません。

 

 オランダには,いわゆる販売店保護法として独自に販売店を保護するために制定された特別法は,存在していません。

 

 そのため,販売店契約に関しては,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 ただし,オランダの裁判所の判例では,販売店契約の契約解除権の行使について制限を課したり,契約解除通知や自動更新条項がある場合の更新拒絶通知の猶予期間について一定期間設けるように判示したり,契約終了について補償金を支払うように命じたりしたものがありますので,注意が必要です。

 

 ② 登録制度

 オランダでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に関し特に言語的な制約はなく,英文契約書の締結が可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 販売店契約に関して準拠法の制限はなく,外国法を準拠法としても原則としてそのとおりに効力が生じます。

 

 オランダでの仲裁を選択することもあります。例えば,オランダ仲裁協会(Netherlands Arbitration Institute)において仲裁を行うなどと取り決められることがあります。

 

 以上が,日本企業がオランダ企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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カナダの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してカナダに進出する際,以下のようなカナダの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 カナダは,イギリス法の影響を受けたコモンローの法体系に属する国の一つです。

 

 もっとも,カナダは,連邦法と,州制度による州法を採用しているので,一口にカナダ法といっても州によってかなり法律の内容が異なります。

 

 そして,ケベック州は,大陸法系に属する州とされており,他の英米法系の州と比べて特殊な法律が存在しています。

 

 例えば,フランス語憲章などが挙げられます。こちらの記事でフランス語憲章について解説しています。

 

 そのため,カナダの法律を調査する際は,州レベルで調査をする必要があることに注意しなければなりません。

 

 なお,カナダには,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された特別な法律は存在していません。

 

 上述した販売(代理)店保護法のような強行法規/強行規定はないため,各州の法律とは異なる内容でも,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,

③契約期間の満了による終了条項(更新拒絶条項)

なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 ② 登録制度

 カナダでは,連邦法において販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 言うまでもありませんが,公用語が英語ですので英文契約書の締結が可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 前述したとおり,カナダでは州法が存在するので準拠法をカナダ法にする場合,カナダ法というのではなく,どの州の法律を準拠法とするのかも選択する必要があります。

 

 カナダでの仲裁を選択することもあります。例えば,カナダの商事仲裁センター (Canadian Commercial Arbitration Centre: CCAC)において仲裁を行うなどと取り決められることがあります。

 

 以上が,日本企業がカナダ企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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 カナダ進出関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。

 

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ベルギーの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してベルギー進出する際,以下のようなベルギーの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 ベルギーには,いわゆる販売店保護法として独自に販売店を保護するために制定された法律が存在しています。

 

 この販売店保護法は,基本的には独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)やこれに準ずる契約に対して適用されます。

 

 ただし,販売店保護法は,原則として,期間の定めがない独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)などに適用されますので,契約期間の定めがある契約については基本的に対象外となっています。

 

 期間の定めのない契約については,重大な契約違反がない場合にサプライヤーが販売店契約を解除するときは,解除までに合理的な猶予期間を設定しなければならないとか,補償金を支払う必要があるなどと規定されています。

 

 また,期間の定めがある販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)であっても,サプライヤーが契約の更新を拒絶する場合,一定期間のの猶予をもって更新拒絶を通知しなければ契約更新とみなすなどの規定もあるので注意が必要です。

 その他,契約内容の変更なく2度にわたり契約が更新された場合は,期間の定めのない契約に切り替わったものとみなされるともされています。

 

 ② 登録制度

 ベルギーでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)について言語規制はないので,英語などの外国語でも契約締結可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 ベルギーでは,準拠法を自国の法律に限るとしていませんので,外国法を準拠法とすることも可能とされています。

 

 ただし,紛争解決については,日本の判決の執行が認められない可能性があるので,仲裁を選択することが多いかと思います。

 

 以上が,日本企業がベルギー企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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 ベルギー進出に関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。

 

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イスラエルの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してイスラエルに進出する際,以下のようなイスラエルの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 中東諸国には,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された法律があることも多いのですが,イスラエルにはこの種の法律は存在していません。

 

 そのため,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の契約期間を定めつつ,終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,

③契約期間の満了による終了条項(更新拒絶条項)

なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は認められない旨を契約書に記載することも多いですが,この点に関してもこれを禁止するような法律の内容はないと考えて良いでしょう。

 

 ただし,販売店契約に期間の定めを置かない場合には注意が必要です。

 

 イスラエルの判例により,期間の定めのない販売店契約の場合には,契約を終了させるためには合理的期間の猶予を定めて通知しなければならないとされているからです。

 

 イスラエルの裁判所は様々な要素を考慮して合理的な猶予期間を定めますが,例えば,販売店が契約終了後に次の収益源を確保できるか,これまでの販売店契約の期間で販売店が投下した資本がどの程度回収できているのかなどを考慮します。

 

 具体的な期間としては,一概に言えませんが,3ヶ月程度から1年位とされることが多いようです。

 

 もし,サプライヤーが十分な猶予期間を設けずに販売店契約を終了させた場合,賠償金の支払いが命じられることがあります。

 

 ② 紛争解決 

 イスラエルはニューヨーク条約加盟国なので,日本企業とメキシコの企業との間の販売店契約の場合,紛争解決については,強制執行の便宜を考え,裁判ではなく仲裁(Arbitration)を選択することが多いです。

 

 以上が,日本企業がイスラエル企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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サウジアラビアの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してサウジアラビアに進出する際,以下のようなサウジアラビアの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 サウジアラビアには,いわゆる代理店保護法(Commercial Agencys Law)が代理店契約(Agency Agreement)や販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の代理店・販売店を保護するために制定されています。

 

 そのため,日本企業がサウジアラビア企業を販売代理店として指名してサウジアラビア進出をする場合,事前にこの代理店保護法の内容を押さえて,どのようなリスクがあるかを把握しておく必要があります。

 

 例えば,サプライヤーが販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の更新を拒絶して,契約を終了させる場合,一定の要件を充たすと,サプライヤーが販売代理店に対して補償金(直接の損害でかつ証明されたもの)の支払いをしなければならないことがあります。

 

 ② 登録制度

 サウジアラビアには,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度があります。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しえます。

 

 もっとも,この登録制度に違反しても販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)自体が無効になるわけではありません。

 

 また,登録をせずに販売店として活動した場合でも,外国のサプライヤーに対しては罰則は特に適用されません。

 

 こうした事情から,販売店(Distributor)が事実上登録をせずに活動をするということも現地では行われているようです。

 

 ③ 言語

 販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)の言語を特に制限する法律はないので,英文で契約書を作成することが可能です。

 

 ただし,前述した販売店契約の登録については,サウジアラビア語の契約書をもって登録をしなければならないとされている。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 サウジアラビアでは,販売店契約に関し準拠法をサウジアラビア法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。

 

 サウジアラビアはニューヨーク条約加盟国です。

 

 そのため,日本企業とサウジアラビアの企業との間の販売店契約の場合,紛争解決については,強制執行の便宜を考え,裁判ではなく仲裁(Arbitration)を選択することも多いです。

 

 なお,前述した登録制度の関係では,販売店契約の準拠法を日本法とし,裁判管轄や仲裁を日本としたものは,当局が登録に積極的でないといわれています。

 

 以上が,日本企業がサウジアラビア企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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