英文契約書の相談・質問集332 弁護士が日本語のコメントだけで英文修正をしてくれないのですが。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「弁護士が日本語のコメントだけで英文修正をしてくれないのですが。」というものがあります。
日本企業が自社の顧問弁護士に英文契約書のレビューを依頼した際,日本語で「この条項はこのように変更したほうがよい」などとコメントが付けられては来るものの,実際に英文でその内容の修正をしてくれないのでどうしたらよいかというご相談を受けることがあります。
これは,その弁護士が英文契約書を場合によって翻訳ソフトなどを使いつつ理解は一応したものの,英文契約の実務に精通していないがため,実際の修正案を英文で行うことまではできないということ原因となっていると思われます。
この場合の対処法は,1つはその案件については英文契約や国際取引の対応をしている弁護士に依頼し,直接英文での修正案をもらうということだと思います。
こちらの方法の場合は,新しく依頼する弁護士が,国際取引や英文契約の経験が豊富であれば問題はないかと思います。
もう1つは,その弁護士に和文で修正案をもらい,それを契約関係の翻訳に強い翻訳業者などを使用して,英文化し修正するという方法です。
なお,英文契約書は和訳しても完全には理解できない面があるため,顧問弁護士が国際取引に関する契約の知識をある程度持っているかは確認したほうが良いかと思います。
もし,国際取引の知見がほとんどないということであれば,レビュー自体を別の弁護士にしてもらう前者の方法のほうが良い場合が多いと思います。
そして,ある程度国際取引の知見がある弁護士がレビューしたというケースで,後者の方法を用いる場合の注意点は,日本語で作成する契約修正案が,必ずしも英文契約実務として常識的な内容にならないというところだと思います。
英文契約書の表現は多くの場合英米法を基礎にできていますが,和文で修正案を作成し,これを英訳する方法ですと,どうしても表現が一般的でなかったり,外国人が読むと違和感があったりということになりがちです。
そのため,前者の方法のほうがベターだとは思います。
もっとも,準拠法(Governing Law)が日本法とされていて,基本的に日本の実務で作成すべきような場面であれば,もともと和文契約書を基礎にすべきというケースもあるでしょうから,その場合は一度和文で修正案を作成してそれを英訳するというプロセスで問題がないということもあると思います。
まとめると,顧問弁護士などが英文での修正に対応してくれないという場合には,大きく分けて,1.その案件だけ別の弁護士に依頼するか,2.和文で修正案を作ってもらいそれを英訳するという2つの方法がありうると思いますので,参考になれば幸いです。
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弁護士 菊地正登(片山法律会計事務所)/相談・案件実績 2,925件