英文契約書に頻出する deem / be deemed to(みなす) の意味と、「推定(presume)」との違いを弁護士が解説します。反証を許さない効果を持つこの用語の正確な理解は、契約書の作成・レビューに不可欠です。
目次
Deem(ディーム)は「みなす」という意味を持つ英米法上の重要な用語です。ある事実や状態が実際の事実と異なる場合であっても、法律上または契約上それと同一のものとして扱う効果をもたらします。
英文契約書では be deemed to の形で受動態で使用されることが多く、例えば "shall be deemed to have been received" のように使われます。
英米法上、deem(みなす)と presume(推定する)は明確に区別されます。この違いは実務上極めて重要です。
| 項目 | Deem(みなす) | Presume(推定する) |
|---|---|---|
| 反証の可否 | 反証を許さない(conclusive) | 反証により覆せる(rebuttable) |
| 効果 | 絶対的に一定の事実が存在するとする | 反証がない限り一定の事実が存在するとする |
| 当事者への影響 | 争うことができない | 反証によって争える |
| 典型的な使用例 | 通知の到達・期限の起算 | 過失の推定・権利の推定 |
英文契約書での典型的な用法を示します。
典型的な契約文例
Deem は英文契約書の様々な条項で使用されます。主な使用場面を紹介します。
よく見られる Deem 条項の場面
Deem 条項は相手方が反証できない効果を持つため、不当に不利な条項となっていないか、レビュー時に慎重に検討する必要があります。
Deem 条項レビューの注意点
実際の契約書でよく見られる deem 条項のパターンを示します。
通知条項の例
"Any notice sent by registered mail shall be deemed to have been received three (3) Business Days after posting, and any notice sent by email shall be deemed to have been received on the next Business Day after the date of transmission."
承認みなし条項の例
"If the Purchaser does not notify the Seller of any objection within 30 days of receipt of the invoice, the Purchaser shall be deemed to have accepted the invoice."
| 項目 | 英国法 | 米国法 | 日本法 |
|---|---|---|---|
| 対応用語 | Deem / Be deemed | Deem / Be deemed | みなす(擬制) |
| 反証の可否 | 原則として不可(conclusive) | 原則として不可 | 不可(法律上の擬制) |
| 推定との区別 | Presume と明確に区別 | Presume と区別するが解釈の余地あり | 「みなす」と「推定する」を明確に区別 |
| 契約での効力 | 当事者間で有効 | 当事者間で有効 | 当事者間で有効(公序良俗の範囲で) |
| 不当条項規制 | UCTA による制限あり | 州法によるUnfair terms規制 | 消費者契約法(B2C) |
Q1. "Deem" と "Consider" はどう違いますか?
"Consider" は「考慮する」「とみなす(主観的)」という意味合いが強く、より主観的・裁量的な評価を含みます。"Deem" は法的擬制として、客観的・絶対的に特定の法的効果をもたらす場合に使用されます。
Q2. 通知条項で "deemed received" の日付は変更できますか?
契約交渉の段階であれば変更できます。例えば "shall be deemed received" の日数や条件を修正することが一般的です。署名後の変更は書面による合意(amendment)が必要です。
Q3. 日本語で「みなす」に相当する英語は deem だけですか?
主に "deem" が使用されますが、文脈によっては "treat as"(~として扱う)、"regard as"(~とみなす)なども類似の意味で使われることがあります。ただし、法的擬制としての強い効果を持たせる場合は "deem" が最も適切です。
Q4. "Shall be deemed" と "is deemed" の違いは?
英文契約書では "shall be deemed" が義務的・確定的な効果を意味する場合に使用されることが多く、"is deemed" はより一般的な現在の状態を示すニュアンスがあります。ただし実務上は大きな差がない場合もあります。
Q5. Deem 条項は裁判所で争えますか?
契約上の deem 条項は当事者間を拘束しますが、公序良俗違反、詐欺、強迫等の事情がある場合には無効とされる可能性があります。また、不合理な条項として不当条項規制の対象となる場合もあります。
関連記事
英文契約書の作成・レビューはお気軽にご相談ください
正式ご依頼まで料金不要。当日または翌営業日中に見積回答。弁護士歴23年・英国留学経験を持つ弁護士菊地正登が対応します。
お問い合わせ・見積依頼(無料)監修者情報
弁護士 菊地正登(片山法律会計事務所)
弁護士歴23年・国際法務歴17年。英国University of Southampton LLMコースワーク修了、ロンドンの法律事務所勤務経験あり。英文契約書の作成・翻訳・リーガルチェックを主な業務とし、英米法の実務的観点から国際取引をサポート。著書「海外取引の成否は『契約』で9割決まる」(幻冬舎)。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。具体的な案件については弁護士にご相談ください。法令・判例は変更される場合があります。
まずはお気軽にご相談・見積依頼をどうぞ
正式ご依頼まで料金不要/当日または翌営業日中に見積回答
お問合せフォーム・メールがスムーズです
メール・電話・Web会議で対応可能 / 正式ご依頼まで料金不要
担当:菊地正登(キクチマサト)
受付時間:9:00~18:00
定休日:土日祝日
※契約書を添付して頂ければ見積回答致します
受付時間:24時間
英文契約書の作成・翻訳・リーガルチェック(全国対応),実績多数の弁護士菊地正登です。弁護士歴23年(国際法務歴17年),約3年間の英国留学・ロンドンの法律事務所での勤務経験があります。英文契約・国際取引を中心に取り扱い,高品質で迅速対応しています。お気軽にお問合せ下さい。
弁護士・事務所情報
取扱い国際企業法務
料金・顧問契約・顧問料
サービスの特徴・顧客の声
英文契約書の有益情報
資料請求・メルマガ購読
〒108-0014
東京都港区芝5-26-20
建築会館4F
都営三田線・浅草線三田駅またはJR田町駅から徒歩約3分です
9:00~18:00
土日祝日
各士業の先生方,翻訳業者,保険会社,金融機関のお客様の英文契約書に関する案件についてお手伝いさせて頂いております。
ご紹介頂いたお客様の初回相談料は無料ですので,お気軽にお問合せ下さい。
メール・電話・Web会議・対面の打ち合わせによる対応を行っております。