英文契約書 Joint Research and Development Agreement(共同研究開発契約書)

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 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正を依頼される契約書に,Joint Research and Development Agreement(共同研究開発契約書)があります。

 

 共同研究開発のJoint and Researchの部分の頭文字をとって「R&D」と呼ぶこともあります。

 

 Joint Research and Development Agreement(共同研究開発契約書)を締結するにあたり,注意する点は主として以下のとおりです。 

 

 ①  共同研究開発の対象

 当然ですが,何について共同研究を行うかについて明確化しておかなければなりません。

 

 どちらの当事者がどのような役割を担うのか,どのような責任を負うのかについて取り決めます。

 

 別紙(Exhibit/Appendix)を作成し,別紙の中で,共同研究開発の内容や双方の業務・責任内容の詳細を規定するという方法もよく採用されます。

 

 また,研究開発の時間的なスケジュールについても合意しておくことがあります。

 

 ②  費用負担

 共同研究開発の過程で生じる費用をどちらの当事者がどのように負担するのかについて取り決める必要があります。

 

 共同研究開発では,費用が膨大になる可能性もあるので,きちんと予算取りをしてどの分をどちらが負担することになるのか,後に疑義が生じないように明確に定めておかなければなりません。

 

 当初想定されなかった費用が生じることとなった場合の対処法についても定めておくのがベターでしょう。

 

 ③  成果の帰属

 共同研究開発の成果の帰属については,かなり重要な定めといえます。

 

 共同研究開発を行った結果として得られる成果について,どちらがどのような内容で,その成果,より具体的には知的財産権を取得するのかを,一義的に明確に定めておく必要があります。

 

 開発委託契約の場合は,一方の当事者が他方の当事者に対し,研究開発を委託するという内容になるため,一般的には,委託者に成果物の知的財産権がすべて帰属すると定めることが多いかと思います。

 

 これに対し,共同研究開発契約においては,当事者のいずれもがノウハウや技術を提供し,互いに成果物に対して寄与していることが多いため,一般的には,成果物の知的財産権については共有とされ,双方に帰属すると定められることが多いかもしれません。

 

 もっとも,費用負担の高低や貢献度(ノウハウや技術の依存度)などによって,持分割合が異なると定めることもあります。

 

 なお,知的財産権を共有すると定めた場合,実際にその成果物の知的財産権を共有するというのは法的にどのような意味を有しているのか,知的財産権を行使するにはどのような要件を充たす必要があるのかについては,実施国の適用法を理解しておく必要もあるでしょう。

 

 共有といってみても,各国の法律(準拠法=Governing Law)によってその意味内容が異なっているためです。

 

 ④  契約期間

 契約期間を定めておかないと,一方当事者が独自の研究開発により取得した成果物に対し,相手方当事者が共同研究開発の成果だと主張してくることが考えられます。

 

 そのため,債務不履行による解除などの定めだけではなく,契約の終了時期を定めておくことが必要です。

 

 また,研究開発には予算組などの問題がありますので,普通は自動更新などの定め入れず,期間満了により契約が終了すると定めることが一般的です。

 

 契約期間は,Termという一般条項として定めるのが通常です。

 

 ⑤  知的財産権侵害についての補償

 共同研究開発を遂行する際には,それぞれの当事者が独自に有する研究成果,技術,ノウハウを共同して使って,研究開発を行います。

 

 そのため,各当事者が相手方当事者に対し,共同研究開発においてこれらの技術などについて使用できるようライセンスするのが通常です。

 

 この際,各当事者が提供する技術などが第三者の知的財産権を侵害するという主張を第三者からされるおそれがあります。

 

 このような第三者からのクレームについて,技術提供者が補償するという定めを行うのか,逆に,技術提供者は免責され,一切補償しないという内容を規定することがよくあります。

 

 この点は,知的財産権条項(Intellectual Property Rights Clause)にて定めるのが一般的です。

 

 ⑥  守秘義務

 別途秘密保持契約書(Non-Disclosure Agreement)を締結することもあると思いますが,共同研究開発契約書のおいて守秘義務条項(Confidentiality Clause)を入れることもよくあります。

 

 あくまで,共同研究開発を行う過程において相手方当事者に帰属する秘密情報を使用できるのであり,これらをその契約目的以外に使用したり,第三者に開示したりすることは当然禁止されるべきです。

 

 ⑦  成果の公表

 成果の公表を行うと,特許等の出願における新規性を喪失してしまうこともありえます。

 

 そのため,研究成果についてどのような条件のもと公表を行うかについても合意し,英文契約書において定めておきます。

 

 ⑧  成果の利用

 共同研究開発により得られた成果を,各当事者がどのような条件で利用することができるのかについて定めておく必要があります。

 

 これは,研究機関の性質,研究内容や研究目的によって,様々だと思います。

 

 また,各当事者の研究成果に対する寄与度が異なるような場合,寄与度が高い方の当事者の方が研究成果の利用が容易になるように定めることもあります。

 

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