英文契約書の相談・質問集355 OEMで海外工場に製造委託しますが契約書はどちらが作るべきですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「OEMで海外工場に製造委託しますが契約書はどちらが作るべきですか。」というものがあります。
契約書を作成する場合,すでにどちらかがひな形を持っているという場合でなければ,どちらの当事者がドラフトを用意するのかについて問題になることがあります。
もちろん,どちらの当事者が契約書の最初の案=ドラフトを作成しても良いのですが,どちらが作ったほうがより適切だということはあります。
例えば,日本企業がはじめて海外の工場にOEM製品の製造を発注するという製造委託契約の場合,契約書は発注する側の日本企業が作成したほうが良いでしょう。
なぜなら,日本企業側が製品の仕様を決めたり,製品の保証を要求したり,商標などの使用権を取り決めたり,製造した商品の取り扱いや模倣品などに関する禁止事項を設定したり,製造物責任についての対応を要求したりと,相手方に要求すべき事項が多いからです。
このように,求める事項が多い側の当事者,言い換えれば,義務が多くなるほうの逆側の当事者が作ったほうが適切な場合が多いです。
上記の製造委託のケースでいうと,発注者である日本企業側が求める事項が多いということは,逆に製造を受託する海外企業の側が義務を多く負うということになりますので,日本企業が契約書を作成するのが妥当ということになるのです。
日本企業側が負う義務の中心は発注代金の支払いで,それ以外に大きな義務はないですが,工場側には仕様にあった製品を製造し,納期までに納入し,品質などに問題があれば何らかの対応をし,製造物責任なども負うという複雑な義務を負っています。
この場合に,もし海外の工場側が契約書を作成するとなると,自分たちはなるべく重い義務や多くの義務を負いたくありませんので,ごく簡単な内容の契約書が出てくることが多いです。
これでは,結局日本企業のほうで検討し,修正しなければならない事項が多くなり,交渉や契約締結までの時間やコストが余計にかかってしまいます。
そのため,最初から,自社が要求する事項を盛り込んだ契約書を日本企業側で作成し,それを向上側に見せて,検討してもらったほうがスムーズに進むというわけです。
以上のように,ひな形がなく,どちらの当事者が契約書のドラフトを作るべきか迷った場合は,求める項目が多いほうの当事者=義務をたくさん負うほうではない当事者が作成すべきと考えると良いかと思います。
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