Adversely, adverse(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Adversely, Adverseがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,「不利に」などと訳されることが多いです。

 

 …した場合に,不利益が生じたりしない,不利益な影響を受けることはないなどという表現で使われることがあります。

 

 たとえば,...which shall not adversely affect the Vendor(…はベンダーに対して不利な影響を及ぼさない)などとして登場することがあります。

 

 何らかの行為をすることができると定め,そのことがその行為をした当事者に不利益を与えることはないということを注意的に規定したい場合などに用いることがあります。

 

Without delay(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Without delayがあります。

 

 これは特に英文契約書で使われるときに特殊な意味を持っているということではありませんが,よく出てくるので解説します。

 

 意味としては,「遅滞なく」と訳されることが多いです。

 

 この「遅滞なく」という表現や,immediately(直ちに)promptly(速やかに)などは具体的にどう違うのかという疑問もあると思います。

 

 この辺りを文言で区別するのは現実的ではないと思います。

 

 契約締結時にどのような場面でこれらの文言を使用したのか,遡って推測してどの程度の時間内であれば,without delayなのかなどと判断せざるを得ないでしょう。

 

 しかし,こうしたことは現場では非現実的です。

 

 したがって,猶予期間を短く実効的に縛りたいという事情がある場合には,やはり,on or before...(…より前に)などと期間を具体的に定めるほうが妥当でしょう。

 

 これは日本語の契約書を作成する際も同様といえるでしょう。 

 

Release and discharge(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Release and discharge...があります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「…を解放し,免責する」と訳されます。

 

 意味としては,いわゆる「清算条項」と呼ばれる条項にしばしば入る表現で,「…に対して有する権利一切を放棄し,今後請求しない」という趣旨です。

 

 たとえば,ある紛争が両当事者間で生じていて話し合いにより,XがYに対して一定の金額を払う代わりに,YはXに対して何らの権利をもはや有せず,主張しないと和解したとします。

 

 そのような合意を作成する際に,この文言が重要になってくるのです。

 

 たとえば,Y shall release and discharge X from any and all claims...(YはすべてのあらゆるクレームからXを解放,免責し…)というように使用されます。

 

 きちんとした清算条項を入れないと,和解の趣旨が不明確となって,Yから何らかの理由で追加請求を受けるという事態になりかねませんので,非常に重要な条項といえます。 

 

Incurred by...(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Incurred by...について説明します。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「…によって負担された」という意味です。

 

 たとえば,Service Agreement(業務委託契約)などで,受任者が委任業務を行なうにあたり,交通費,出張費やコピー代などの実費を支出するとします。

 

 この費用をどちらが負担すのかを契約書に定めるのが通常です。

 

 したがって,たとえば,The Client shall bear the expenses for... incurred by the Vendor...(委任者は受任者が支出した…のための費用を負担する…)などとして使用されます。

 

 また,「損害を蒙る」という表現でもこのincurred by...がよく使用されます。

 

 例えば,loss or damage incurred by Buyerで,「買主が蒙った損害」という意味になります。

 

 これらの損害を賠償するという表現が後に登場するのが通常です。Buyer shall be entitled to compensation for such loss or damage(買主はかかる損害についての賠償を請求できる)などと表現されます。

 

 類義語としては,SufferやSustainが挙げられます。

 

 Incurと同じように,damage suffered by Party A...などとして損害を蒙るという意味を表す表現としてSufferも英文契約書でよく使用されます。

 

 IncurやSufferなどで表されるこうした費用負担の問題は,たかが実費などと考えていると,契約類型によっては思いのほか高額になることがあるので,事前にきちんと合意して誤解の内容にしておくことが重要です。

 

 また,当然ですが,損害賠償責任についても契約書で明らかにしておくことが大切ですので,IncurやSufferを使用した損害に関する条項が登場したら,納得いく内容かどうか精査しなければなりません。

 

Be likely to do(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Be likely to do...という表現があります。

 

 特に,英文契約書で使用されるときに特殊な意味を有するというものではありませんが,「…しそうである」という意味でしようされます。

 

 たとえば,独占的販売店契約などでは,契約期間中はテリトリー内で他の販売店を指名できないと定められていることが通常です。

 

 そうすると,販売店が仮に倒産などに至れば,ベンダーとしてはすぐに販売店契約を解除して,別の販売店を指名できる状態を作りたいはずです。

 

 ただ,実際に破産申立てなどに至るには破産状態になってからそれなりの時間を要します。

 

 そのため,ベンダーとしては販売店の取引先などから信用不安などの情報を得たら,実際の破産に至る前に販売店契約を解除してしまいたい場合もあるでしょう。

 

 そのようなときに,たとえば,The Vendor may terminate this Agreement in the event that the Distributor files or is likely to file for bankruptcy...(販売店が破産手続開始の申立をし,または,しそうな場合にはベンダーは本契約を解除できる…)などと使用されることがあります。

 

 しかしながら,実際の実効性には注意が必要でしょう。

 

 破産に至りそうな状況で,実際に解除して,他に販売店を指名するなどし,現実に旧販売店がその後破産に至れば,問題はないでしょうが,実際には破産しなかったような場合には,解除の効果を争われたり,解除→他の販売店指名による損害賠償請求を受ける可能性があります。

 

 「しそうな」場合ということがどれだけ客観的に裏付けられているかというのが重要ですが,実際に解除するのは慎重な検討を要すると思われます。 

 

Unless otherwise...(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Unless otherwise...があります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「別に…しない限り」という意味で使用される場合が多いです。

 

 具体的には,たとえば,unless otherwise provided in this Agreement(本契約に別に定めがない限り),unless otherwise the parties agree in writning(当事者が別に書面により合意しない限り)などと使用されます。

 

 文脈としては,これらの表現の前に,原則的な内容が定められていて,unless以下が例外であることを示すという事が多いです。

 

 たとえば,The Purchaser shall pay the Montly Payment to the Seller by the end of every month unless otherwise the parties agree in writing.(買主は売主に対して,月額代金を毎月末日までに支払う。ただし,当事者が書面により別に合意した場合はその限りでない。)などのように使います。

 

 Unlessという用語が登場した場合,この後に続く文章は非常に大事です。

 

 なぜなら,unlessという用語は「…でない限り」という条件をつけるものですので,unlessの中の文章が実現する場合,本文で書かれた内容が適用されないということになるからです。

 

 Unless otherwise...の場合は,単に「反対の取り決めがない限り」という文脈で使用されるので,それほど難しくないですが,unlessの後に普通に文章が書かれている場合,それが実現すると本文の効果が得られなくなるので,unlessの中の文章の内容を精査するようにして下さい。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際に,条件がついている場合,その条件の内容を注意深く検討することは必須ですのでご注意下さい。

 

 但し書きの要領で使用される他の用語としては,subject to...,provided, however, that...などがあります。

 

Minimum Purchase Quantity/Amount(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語のうち,Minimum Purchase Quantity(最低購入数量)またはMinimum Purchase Amount(最低購入金額)について解説します。

 

 これは,Distributorship Agreement(販売店契約)などでよく使われます。

 

 特に独占的販売権(exclusive distributorship)を販売店に与える場合には,販売実績が重要になってきます。

 

 なぜなら,独占権を与えるということはそのテリトリー内で他の販売店を指名したり,ベンダー自らが売却したりできないことを意味するため,販売実績の低い販売店は販路拡大の足かせになってしまうからです。

 

 したがって,ベンダーとしては,販売店にノルマを課し,そのノルマが達成されなければ,販売店契約を解除したり,または,ノルマまでは商品を買い取らせたりという条件を販売店に飲ませたいという動機があるのです。

 

 反面,販売店は,安易にこうした条項を飲むのは危険です。特に達成できない場合に金銭的補償を求めるような条項については慎重に検討すべきでしょう。

 

 Minimum設定の期間は,1年間と大きく儲けることもありますし,四半期などで定めることもあります。解除の実効性を持たせるのであれば,四半期程度のサイクルが妥当するでしょう。

 

 このように,minimumは販売店にとって厳しい条件となることがありますから,大体的に単なる販売目標,努力義務(commercially reasonable effort)を課す場合もあります。

 

Termination(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Terminationがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「契約の終了,解除」という意味で使用されることが通常です。

 

 この用語は,よくTerm and TerminationなどとしてTerm(契約期間)とセットで使用されます。

 

 たとえば,The Vendor may immediately terminate this Agreement by notifying the Distributor in writing in case the Distributor is in breach of the following:(ベンダーは,販売店が次の事項に違反した場合には,その旨を書面により通知することで即時に本契約を解除することができる。)などとして使用されます。

 

 英文契約書では,継続的契約が期間満了によって終了する場合は,Expirationと呼んで,解除の場合と区別することもあります。

 

 「契約の期間満了または解除により終了した際」という日本語は,「Upon expiration or termination of this Agreement」などと英文契約書では表現されることがあります。

 

Notwithstanding the above(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Notwithstanding the aboveです。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「上記にもかかわらず」という意味で使用されます。

 

 原則を前で述べて,例外を述べるようなときによく使用されます。

 

 たとえば,The Seller shall bear expense of...(売主が…の費用を負担する)などとして原則を述べておき,Notwithstanding the above, the Purchaser shall bear expense of..., in the event that...(上記にもかかわらず,…の場合には,買主が…の費用を負担する)などという構造で用いられます。

 

 他にも,Notwithstanding the provisions in the preceding paragraph(前項の規定にもかかわらず)などという表現でもよく登場します。

 

Suffer/Sustain Damage(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Suffer DamageまたはSustain Damageというものがあります。

 

 これらは,「損害を蒙る」,「損害を受ける」という意味です。

 

 契約当事者が相手方の契約不履行などにより損害を蒙った場合に損害を受けた当事者は何ができるのか規定することが大切です。

 

 そのような内容を定める場面でよく登場する用語です。

 

 たとえば,The breaching Party shall pay any damages suffered by the other Party...などとして使われます。

 

 類義語としてはincurが挙げられます。

 

 Incurもsufferなどと同様に使用され,any espenses incurred by Buyer(買主が負担する一切の費用)などと「負担する」とか損害などを「蒙る」という意味で使用されます。

 

 いずれも英文契約書ではあらゆる種類で頻発する用語です。

 

 これらのSuffer,Sustain,Incurが使われた場合,費用や損害の負担を誰がするのかという内容が書かれている可能性が高いです。

 

 そのため,これらの英文契約書用語が契約書に登場した場合,自社がどのような条件で何を負担しているのかを十分に検証する必要があります。

 

 不合理な負担をさせられていないか,現実的に負担できないような内容を負担させられていないかなどチェックする必要があります。

 

 費用負担や損害の補填については当事者の重大な関心事ですので,検討を疎かにすると後で大きなトラブルにつながる可能性があります。

 

 したがって,これらの用語が出てきたら,必ず前後の内容を精査し,問題があれば合理的な内容に修正をしなければなりません。

 

Free of Charge(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Free of Chargeがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「無償,無料で」という意味で通常使用されます。

 

 例えば,The Seller shall provide to the Distributor materials for promotion of the Products free of charge upon the Distributor's request.(売主は,販売店の要求にしたがって,本製品の販売促進のための資料を無償で販売店に対し提供する。)などの表現で使用されます。

 

 一方の当事者が他方の当事者に対して,契約の目的物など対価が設定されているもの以外に,何かを提供する義務が定められている場合,その提供コストをどちらが負担するのかについては明確にしておかないと後で揉める可能性があるので注意が必要です。

 

 上記の例で,反対に販売店が販促資料の提供についてコストを負担する場合には,例えば,The Seller shall provide to the Distributor materials for promotion of the Products upon the Distributor's request and at the Distributor's expense.(売主は,販売店の要求にしたがって,本製品の販売促進のための資料を販売店の費用負担で販売店に対し提供する。)などと規定されることになります。

 

In any of the following circumstances(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,In any of the following circumstancesです。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「下記のいずれかの事由が生じた場合」などと訳される場合が多いでしょう。

 

 例えば,The Vendor may immediately terminate this Agreement and/or the Individual Contract by written notice without any advance demand in any of the following circumstances:…(下記いずれかの事由が生じた場合ベンダーは本契約または個別契約を催告なしに通知により直ちに解約することができる。) などという表現で使用されます。

 

 具体的な解除事由としては,相手方が契約違反をした時,相手方の財政状況が悪化した時になどと定めることが多いでしょう。

 

  英文契約書では,このように,解除条項にて解除事由を細かく列挙する事例はあまり多くないという印象です。それよりも,契約書で当事者の義務を事細かく書いておき,解除条項では,「当事者が本契約に違反した場合解除ができる」と包括的に記載するほうが多いい印象です。

 

 解除条項で事由を列挙するのは和文契約書に多く見られるよう傾向のように思います。

 

Shall be entitled to damages(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Shall be entitled to damagesについてです。

 

 これは,英文契約書で使用された場合,通常,「損害賠償請求ができる」という意味で通常使用されます。

 

 英文契約書では,shall be entitled to...となっているのをよく見ますが,より性格には,is entitled to...が正しいかもしれません。

 

 Shallという助動詞を英文契約書で使用する場合,当事者の義務を表すというのが一般的ですので,shall be entitled to...というのは義務と権利が混在しているような表現となってしまっています。

 

 端的に,is entitled to...と表現しても権利を表すものとして,問題ないかと思います。 

 

 このbe entitled to...は英文契約書でよく使われる表現ですが,・・・を得る資格がある,権利があるというようなニュアンスを持っています。

 

 したがって,・・・の部分にDamages以外の用語が来ることも当然あります。

 

 たとえば,損害賠償の予定分の賠償を得られるなどという場合は,In case where either Party is in breach of any provisions of the contract, the non breaching Party shall be entitled to the Liquidated Damages defined in Article X.(当事者のいずれかが本契約のいずれかの条項に違反した場合,違反のない当事者は,第X条に定義する損賠賠償の予定の金額の賠償を得ることができる。)などとして使用されます。

 

 entitled to...のところにdamagesを挿入すれば,「違反のない当事者は損害賠償を請求できる」という意味になります。

 

Depending on...(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Depending on...があります。

 

 これは,通常「・・・次第で,・・・の状況によって」という意味で,・・・の状況次第で当事者の行動などが変化するときに使われます。

 

 状況次第という趣旨なので,曖昧さを残す表現ではあるのですが,義務として明確に定めるのがはばかられるという場合も存在します。そのようなときに登場する用語といえます。

 

 例えば,In case where an event beyond reasonable control of either party occurs, the parties shall promptly discuss proper measures to mitigate loss or damage due to such event depending on its seriousness and nature etc. (当事者の一方の合理的はコントロールを超えるような事態が生じたときは,当事者は,その事態の深刻さと性質等に応じて,損害を軽減する方法について速やかに協議する。)などと使用されます。

 

 特に注意するべき表現というものではありませんが,裁量を与えたり,状況に応じてフレキシブルにせざるを得ないときには使用することを検討する用語です。

 

Cure/Correct(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Cure/Correctがあります。

 

 これは,英文契約書では「是正する」という意味で使用されることが多いです。

 

 同様の意味を表す英文契約書用語に,RectifyとRetrieveがあります。

 

 RectifyとRetrieveについての解説記事はこちらでご覧頂けます。

 

 よく使われる場面は,Breach of Contract(契約違反)があった際に,違反当事者に対し,その違反を是正するようにまずは催告をして,催告書を受領してから一定期間内に違反当事者が是正を怠った場合にはじめて,契約を解除できるという条件を課す場合です。

 

 例えば,If the breaching party fails to cure/correct the breach within X days after its receipt of the notice...(契約違反をした当事者は,通知を受領してからX日以内にその違反を是正できない場合には…)などと使われます。 

 

 反対に,このような違反を是正する催告を要件とせずに,違反があった場合に,すぐに解除ができるようにする条項のことを,日本法の理解では,「無催告解除」と呼んでいます。

 

 なお,無催告解除を許す条項が効力が生じるためには,日本法では一定の要件を満たしている必要があります。

 

 催告付き解除にしたほうが良いのか,無催告解除にしたほうが良いのかは,状況によります。

 

 例えば,自社が売主である場合を考えてみましょう。

 

 特に海外取引では物流が長くなるので,当然不測の事態もよく起こるようになります。

 

 そうすると,売主は何らかの原因で商品の引き渡しが遅れたりしがちです。

 

 このようなときに,いきなり催告もなしに契約を解除されるとなると売主としては不利益が大きい場合があります。

 

 そのため,催告期間を設けてその期間内に商品を引き渡せない場合に限り契約解除ができるとしておいたほうが良いということになります。

 

 当然ですが,上記の場合に,買主の立場から考えれば,商品の到着が遅れてしまっては引き取る意味がないということもあると思います。

 

 その場合は,是正期間など設けていられませんので,無催告解除条項にするように要求していくことになります。

 

 このように,お互いがどういう義務を負っているのか,立場がどちらなのか,契約の目的は何かなどによって解除条項の内容をどうするかを考える必要があります。

 

Forthwith(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Forthwithがあります。

 

 これは,通常,「直ちに」という意味で使用されます。

 

 Immediatelyという表現やWith immediate effectなども同様の意味で使用されます。

 

 「直ちに」という時間概念がよく使用されるのは,解除条項(Termination)です。

 

 解除は,日本法のもとでは,一度相手方が債務不履行をしただけでは原則として直ちに解除はできず,催告を受けてから相当期間内に債務不履行状態を是正できなければ解除できるという原則になっています。

 

 これと反対に,催告なし直ちに解除を可能にする特約のことを「無催告解除特約」と呼んでいますが,これを定めるときにForthwithという用語を使うことあります。

 

 無催告解除特約は,準拠法によっては簡単に認められないのですが,国際取引においては,Material Breach(小さな違反でない違反)があった場合や,財務状態の悪化があった場合には,催告なしに直ちに解除するということを定めることもよくあります。

 

 契約類型によっては,解除によって自己の債務の履行義務から直ちに離脱することが重要な場合があるので,その時には大きな意味を持つ条項と言えます。

 

Be solely responsible for...(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語の一つにBe solely responsible for...があります。

 

 これは,通常,「…について完全に責任を負う」という意味で使用されます。

 

 契約書は,当事者の権利と義務を規定するものですから,一定の事項についてどちらが責任を負うのかを明確にしておくことは極めて重要なことです。

 

 責任の所在を明示していなかったことにより,実際にその事態が生じた場合にどちらが責任をもってどのように対処するのかが不明確で,結局無駄な交渉で時間ばかりが過ぎていくというのは珍しくありません。

 

 Solelyという表現は「単独で」などという意味を有するものですので,ある事項についてどちらかの当事者が完全に責任を負うという場合に,明確化するためによく用いられる表現です。

 

 Fullyなどという表現も同じような場面でよく用いられます。

 

 責任の所在,費用の負担などは,細かいと思っても,特に国際取引では事前に明確に取り決めておくことをお勧めしています。

 

Liability is several only(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Liability is several onlyという表現があります。

 

 これは,通常,「責任は個別責任(分割債務)である」という意味で使われます。

 

 反対に,Liability is joint and severalという表現は,いわゆる連帯債務であることを示します。

 

 2者以上の債務者がいる場合に,この2者の債務が連帯債務になるのか個別責任になるのかは大きな問題です。

 

 例えば,AとBが連帯債務を負うという場合,Aは,自らの債務は履行していても,Bに債務不履行があれば,その責任をAも負わされるという意味を持つことがあります。

 

 他方で,Liability is several onlyという表現の場合は,通常,Aの義務はAの義務,Bの義務はBの義務でそれぞれ別であるということを意味しますので,Bの債務不履行がAに影響することはないということを示しています。

 

 契約類型によっては,当事者が3名以上いることもよくありますので,そのような場合,それぞれの当事者の義務がどのような性質になるのかについてよく検討し,決定しておく必要があります。

 

 特に債務者側としては,Joint and Severalという連帯責任を意味する表現には,本当にそのような性質の義務を負うことが契約内容に合致するのか,十分に注意する必要があります。

 

Furnish(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Furnishがあります。

 

 Furnishは,特殊な英文契約書用語というわけではなく,「提供する」という意味で通常使用されます。

 

 特に,業務委託契約(Service Agreement)や,コンサルティング契約(Consulting Service Agreement)などで,サービスを提供するという文脈でFurnishという英文契約書用語がよく使われます。

 

 例えば,英文契約書では,The Consultant shall furnish the Services to the Client in accordance with the provisions of this Agreement.(コンサルタントは,クライアントに対し,本契約の条項に従って本サービスを提供する。)などと使用されます。

 

 Furnishと同様の意味で使用される英文契約書用語は,例えば,PerformやProvideなどが挙げられます。

 

 The Consultant shall provide the Client with the Services in accordance with the provisions of this Agreement.などと表現すると,上記とほぼ同じ内容となります。

 

 和訳すると,「コンサルタントはクライアントに対し,本契約の条項にしたがって本件業務を提供する」となります。

 

 当然ですが,業務委託契約(Service Agreement)では,どのような業務を受託者が提供する義務を負うのかが当事者双方にとって重要です。

 

 そのため,「業務」="Service"の内容を契約書で過不足なく明確に定め,お互いの認識にずれがないようにすることが,業務委託契約(Service Agreement)などの出発点となります。

 

The same shall apply hereafter(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,The same shall apply hereunderがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「以下同じ」という意味で使用されます。

 

 例えば,ある用語を使用した場合,その用語に特定のものが含まれると断った場合,以下も同じであるとしたりするときに使用します。

 

 The payment, except for payment by card (the same shall apply hereafter)...(支払い(カード払いを除く。以下同じ)は…)などと英文契約書では使用されます。

 

  断り書きをその都度記載するのは冗長になりますし,読みにくくもなります。上記のような表現を使うことで,このような問題を回避できます。

 

 一度,The same shall apply hereafter.としてしまうと,当然ですが,その後は同じ条件が適用されてしまいますので,統一した意味で使用し続けなければなりません。注意が必要です。

 

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