ニュージーランドの法制度|販売店契約で注意すべき4つのポイント
日本企業が販売店(Distributor)を指名してニュージーランドに進出する際は,以下のようなニュージーランドの法制度に注意したほうがよいでしょう。
ニュージーランドの法制度 早見表
| 法体系 | コモン・ロー(イギリス由来) |
|---|---|
| 販売店の保護 | 特別の規定はないが,小規模な標準約款契約には不公正契約条項規制が適用され得る |
| 契約の登録 | 不要 |
| 言語の規制 | なし(英語のみ・日本語のみでも作成可能) |
| 準拠法・紛争解決 | 外国法も選択可能。訴訟・仲裁いずれも選択され,日本での仲裁合意も有効と考えられる |
こんな方に:ニュージーランド企業を販売店・代理店に指名しようとしている方,ニュージーランド企業から販売店契約のドラフトを受け取った方
① 販売店(代理店)保護法
ニュージーランドは,イギリスに由来するコモン・ロー(判例法)の法体系に属する国の一つです。ニュージーランドには,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に適用される特別の規定は存在しません。そのため,販売店契約の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある中途解約条項,債務不履行解除条項,期間満了による終了条項(更新拒絶条項)なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。
また,販売店契約では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがあります。そこで,この類の請求は認められない旨を契約書に記載することも多いですが,かかる条項も原則として有効と考えて良いでしょう。
実務上のポイント:ただし,標準約款による事業者間の契約で,取引関係の価値が12か月あたり25万NZドル(GST込み)以下と見込まれるもの(small trade contract)には,2022年8月16日から公正取引法(Fair Trading Act 1986)の不公正契約条項規制が適用され得る点に注意が必要です。
② 登録制度
ニュージーランドでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。
③ 言語
販売店契約書の言語を特に制限する法律はないので,英語のみ,あるいは日本語などの外国語のみでも契約書を作成することが可能です。
④ 準拠法・紛争解決
ニュージーランドでは原則として自国の法律を準拠法としなければならないという制約はないので,外国法を準拠法とすることも可能です。
ニュージーランド企業との間での紛争解決は,訴訟を選択されることもありますし,仲裁を選択されることもあります。特別な事情がない限り,日本での仲裁を合意した条項も有効と考えて良いかと思います。
ニュージーランドの販売店と契約する前に確認したいポイント
- ✓中途解約・債務不履行解除・期間満了による終了の各条項が,契約書に明確に定められているか
- ✓契約終了を理由とする補償金などの請求を認めない旨を定めているか
- ✓標準約款による小規模な取引(12か月あたり25万NZドル以下)の場合,不公正契約条項規制に抵触するおそれのある条項がないか
- ✓準拠法・紛争解決(訴訟か仲裁か,日本での仲裁とするか)
【ご注意】本記事は,執筆・更新時点において一般的なレベルで調査した結果を参考情報として記載したものにすぎず,個別の案件についての法的助言ではありません。各国の法令・判例・実務は改正等により変更されることがあり,本記事の内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。実際にお取引を検討される際は,必ず現地の法律に精通した弁護士に最新の情報をご確認ください。
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弁護士 菊地正登(片山法律会計事務所)/相談・案件実績 2,931件