UAEの法制度|販売店契約で注意すべき4つのポイント

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日本企業が販売店(Distributor)を指名してUAEに進出する際は,以下のようなUAEの法制度に注意したほうがよいでしょう。

UAEの法制度 早見表

販売店の保護商業代理店法(2022年連邦法第3号)が登録された販売店を保護(補償金など)
契約の登録必要(未登録だと同法の保護は受けられないとされる)
言語の規制なし(登録時はアラビア語の契約書・翻訳が求められるとされる)
準拠法・紛争解決未登録なら外国法も可。仲裁が多いが現地裁判所が管轄を認めることも

こんな方に:UAE企業を販売店・代理店に指名しようとしている方,UAE企業から販売店契約のドラフトを受け取った方

① 販売店(代理店)保護法

UAEには,いわゆる代理店保護法(商業代理店法。従来のFederal Law No. 18 of 1981に代わり,現在は2023年6月に施行されたFederal Law No. 3 of 2022が適用されています)が,代理店契約(Agency Agreement)や販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の代理店・販売店を保護するために制定されています。これを受けて,後述するとおり,UAEには販売店の登録制度があり,当局に販売店契約が登録されると,登録されていない場合に比べて販売店の保護が厚くなります。

② 登録制度

UAEには,販売店契約を当局に登録しなければならないという制度があります。そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しえます。

そして,もし販売店契約が当局に登録されていない場合,その契約は商業代理店法上の商業代理店とは認められず,同法による保護(契約終了時の補償など)は受けられませんが,契約自体は民事取引法・商取引法に基づく通常の契約として効力を有し得ると考えられています。もっとも,旧法の下では,UAEの裁判所が登録されていない販売店契約に対しても代理店保護法の考え方を及ぼした例もあったとされています。また,UAEの裁判所は,外国法を準拠法とし外国の裁判所を管轄裁判所とする旨の定めがあっても,自国の管轄を認めることがあるので注意が必要です。

実務上のポイント:登録された販売店契約については,新法(2022年連邦法第3号)の下で,契約の更新拒絶や販売店に損害を与える解除の場合に,販売店から補償金の支払いを求められることがあります(11条)。ただし,期間満了による終了の場合の補償については,契約で明示的に別段の定めをすることが認められています(11条1項)。

UAEの販売店との契約書,登録と補償金の定めは大丈夫ですか?

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③ 言語

販売店契約書の言語を特に制限する法律はないので,英文で契約書を作成することが可能です。ただし,当局への登録の際には,アラビア語の契約書(または翻訳)の提出が求められるとされています。

④ 準拠法・紛争解決

登録されていない販売店契約については,外国法を準拠法とすることも可能です。もっとも,登録された商業代理店契約には商業代理店法が適用され,これに反する合意は無効とされていますので(5条),外国法を準拠法としても同法の適用は排除できないと考えておく必要があります。

UAEはニューヨーク条約加盟国です。そのため,日本企業とUAEの企業との間の販売店契約の場合,紛争解決については,強制執行の便宜を考え,裁判ではなく仲裁(Arbitration)を選択することも多いです。ただし,前述したとおり,UAEの裁判所が自国の裁判所に管轄を認め,代理店保護法などの自国の法律を適用するということがありうるので,注意が必要です。

なお,登録された商業代理店に関する紛争は,仲裁合意がない限り,まず経済省の商業代理店委員会に付託する必要があるとされています。新法では,登録された商業代理店契約についても仲裁合意が認められ(26条),当事者が合意すればUAE国外を仲裁地とすることも可能とされています。

UAEの販売店と契約する前に確認したいポイント

  • ✓販売店契約を当局に登録するか,登録した場合に販売店の保護(補償金など)が厚くなることを踏まえているか
  • ✓期間満了による終了時の補償について,契約で明示的に別段の定めを置いているか
  • ✓登録する場合,外国法を準拠法としても商業代理店法の適用を排除できないと考えておく必要があること
  • ✓紛争解決を仲裁とし,仲裁地(UAE国外とする場合はその旨)を明記しているか

【ご注意】本記事は,執筆・更新時点において一般的なレベルで調査した結果を参考情報として記載したものにすぎず,個別の案件についての法的助言ではありません。各国の法令・判例・実務は改正等により変更されることがあり,本記事の内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。実際にお取引を検討される際は,必ず現地の法律に精通した弁護士に最新の情報をご確認ください。

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弁護士 菊地正登(片山法律会計事務所)/相談・案件実績 2,931件

執筆 弁護士 菊地正登(第二東京弁護士会/片山法律会計事務所)

2003年弁護士登録。英国 University of Southampton のLL.M(法学修士)コースワークで英米法・国際取引法等を学び,ロンドンの法律事務所 Hill Dickinson LLP で実務経験。英文契約書・国際取引を中心に取り扱っています。プロフィール

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