英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,rescindがあります。

 

 これは,英文契約書を作成する際に使用する場合,通常,「取り消す」という意味です。

 

 契約締結時にmisrepresentationなどがあり,当該契約を取り消しうる(voidable)場合に,その取消権を行使することをこのように呼びます。

 

 英文契約書ではあまり目にすることはないと思いますが,関連する法律用語の一つです。

 

 初めから契約が無効である場合(void)とは区別されています。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Rectify, retrieveがあります。

 

 これは,英文契約書を作成する際によく登場する用語の一つです。

 

 英文契約書で使用される場合,通常,「回復する,是正する」という意味です。

 

 例えば,相手方当事者に,違法状態・契約違反の状態が生じた場合に,それを何日以内に是正しなければ,契約を解除するという場面でよく使われます。

 

 The Seller may terminate this Agreement by written notice to the Buyer with immediate effect in case where the Buyer fails to rectify the breach within fourteen (14) days.(買主が14日以内に当該違反を是正することができなければ,売主は書面により通知することによって直ちに本契約を解除することができる。)などと使用されます。

 

 同様の意味でCureもよく登場します。Cureについての解説記事はこちらです。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,Recourseがあります。

 

 Recourseは,英文契約書で使用される場合,通常,「償還請求」を表します。

 

 例えば,保証人が債権者に対し保証債務(保証人が負っている債務で,借入れをした主債務者が負っている債務とは別個の債務)を支払ったとします。

 

 その後,保証人が主債務者に対して求償請求(主債務者が債権者に弁済するための債務を終局的に負担すべきであるため,保証人は保証債務を履行した場合,その額を主債務者に請求することが可能)する場合などに,この表現が使われます。

 

 頻繁に登場するという用語ではないですが,見かけることはあります。なお,当事者が第三者(下請業者など)に対して支払う支払金を,相手方当事者が後に償還するなどという場合,その支払金のことをdisbursementと言います。

 

 このDisbursementという英文契約書用語も,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場します。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,complaintがあります。

 

 これは,英文契約書を作成する際に使用される場合,通常,「訴状」を指します。

 

 日常用語として使用した場合は,不平・不満などと訳され,日本語でもコンプレなどという表記で取り入れられていますが,誤解しないように注意が必要です。

 

 イギリスではClaim Formとも呼びます。

 

 なお,Complaintは日本語でいうところのクレーム(苦情)という意味でも使用されることがあります。

 

 単なる苦情を超えて,正式に相手方に損害賠償や代金の請求をする場合は,Complaintではなく,Claimと呼んでいます。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,meritがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「本案」を意味します。

 

 本案とは,請求権本体に係る問題を表します。例えば,AはBに対して売買代金100万円を請求する権利を有しているのかというテーマが本案です。

 

 これに対し,例えば,その裁判所で上記代金請求権の有無を判断してもらえるかという管轄の問題,または,その当事者がその訴訟において当事者となる資格があるか(法人格を持っているのかどうかなど)(「当事者適格」(standing)といいます)などの問題は,本案には含まれません。

 

 訴訟提起などを受けた被告側は,状況によりmeritについて防御する他,上記の管轄や当事者適格を争うという方法でも防御が可能です。

 

 英文契約書の中で登場することはそれほど多くはないかもしれませんが,周辺の用語として理解しておくと良いでしょう。

 

 管轄の争いは国際法の実務ではよく登場します。Forum shoppingと呼ばれるものです。管轄争いが生じると,費用と時間のコストが著しく増大しますので,特に英文契約書,国際取引において管轄条項は重要です。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,establish that...があります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,that以下を「立証する,証明する」という意味で通常使われます。他にもproveなどがあり得ます。

 

 なお,立証責任の問題は重要です。立証責任とは,当事者のいずれかがその負担を負っており,立証責任を負うものが証拠をもってある事実を立証できなければ,その事実が無いものとして扱われ,立証に失敗したものが不利益を被るというものです。

 

 裁判はあくまで過去の事実の有無を証拠によって「想像」するプロセスですから,このように取り決めないと,裁判所の心証として事実の有無がわからないという場面で勝敗を決することができなくなってしまいます。

 

 終局的解決を目指す裁判所ですから,それでは機能不全となりますので,このようなルールが決められているわけです。そこで,どちらの当事者がいかなる事項について立証責任を負うのか(立証責任の分配)が重要な問題となります。

 

 この点,標記の表現は,立証責任を誰に課すのかを定めた条項となることもあるでしょう。しかし,仮に契約書でどちらが立証責任を負うと定めても,必ずしもそのとおりになるとは限りません。

 

 当事者が自由に立証責任を分配できるとしてしまうと,立場の強いものの言いなりにビジネスがコントロールされる危険があるためです。

 

 因みに,英国コモン・ロー上は,その権利によって利益を受ける側がその権利の発生に必要な事実について証明責任を負うと一応考えておいて良いでしょう。ただし,例外はあります。

 

 なお,民事事件の立証の程度については,刑事事件のbeyond reasonable doubt(合理的疑いを超える程度)の立証に比べて,軽減されており,balance of probabilitiesにより決せられるとされています。

 

 つまり,50%を超えてあり得ると裁判所が心証を得れば,その事実の証明に成功したことになります(実際,内心の問題ですからこのようなパーセンテージを述べることに意味はないわけですが。)。

 

 このestablish that...は,英文契約書では,Confidentiality(守秘義務)条項で出てくることがあります。守秘義務の例外となる事情(例えば,ノウハウなどの開示を受ける前に自らが適法に開発していたノウハウなど)を「証明した」場合などという場面で登場します。

 

 If the receiving party establishes that the Confidential Information was developed by itself...(情報受領当事者が機密情報は自ら開発したものであることを証明した場合)などと使用されます。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Remedyがあります。

 

 これは,英文契約書に登場した場合,通常,「救済措置」という意味です。

 

 例えば,相手方当事者に契約違反があった場合に,被害当事者(innocent party)が取り得る対抗手段を定めるときに使用する用語です。

 

 具体的なremedyとしては,例えば,売買契約においては,買主の救済措置としては,履行(目的物引渡し)請求,代金減額請求,代替物請求,修補請求,損害賠償請求,解除などが場面に応じて考えられます。

 

 他方,売主としては,引渡し済み目的物の引き揚げ,代金支払い確保を目的とした引渡し未了の目的物留置(引渡し拒絶),遅延損害金請求などが考えられるでしょう。

 

 英国法下において,remedyはコモン・ローや,エクイティにより様々に定められています。

 

 しかし,英国法においては,救済措置の基本としては損害賠償請求(claim damages)だと考えておいて良いと思います。

 

 重要な契約条項(condition)違反の場合には,契約解除が認められることもありますが,何が重要な契約条項かは,あいまいなところがあります。

 

 したがって,損害賠償以外に,解除などの救済措置も取れるようにするためには,英文契約書でその旨を記載しておくのが良いです。

 

 このように,準拠法にもよるものの,契約違反等の場合における救済手段については,契約書に予め具体的に定めておくことが賢明です。

 

 このRemedyは,例えば,The execution of the right to damages shall not preclude any other remdies...(損害賠償請求権は,その他の救済手段を害しない)などと使用されます。

 

 Remedy(救済措置)について契約書で明確に規定することで,契約違反をしたときの制裁の予測ができるというのもメリットの一つです。

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)で,商品に欠陥があった場合の救済措置としては,①商品の交換または②代金の減額に限るとしておけば,サプライヤーは,その他の請求を受けることはなくなりますので,立場が安定するというメリットがあります。

 

 このように,Remedy(救済措置)を記載してそれに限定すると契約書で定めておけば,相手方にとっては問題があったときに具体的にどのような救済を受けられるのかが明確化されてメリットがあるのと同時に,救済する側にとっても,ほかの救済措置は求められず,ほかの救済措置については免責を受けられるというメリットがあります。

 

 つまり,双方にとってメリットがあるのです。

 

 もちろん,救済を受ける側は,その救済方法で自社が被る被害を本当に回復できるのかも検証しなければなりません。

 

 契約書に記載された救済方法では被害回復が難しいのであれば,別の救済方法についても交渉する必要があります。

 

 契約違反があった場合の救済方法などは,当然ですが,契約の根幹に関わるほど重要な問題ですので,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際には,十分に注意する必要があります。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,injunctionがあります。

 

 これは,「差止命令」を意味し,equity(衡平法)上の救済方法です。

 

 Equity上の権利であるため,必ず認められるものはなく,裁判所の裁量により認められることがあるというものです。

 

 そのため,契約当事者がinjunctionの権利を定めても必ずこれを実行できるとは限りません。

 

 英文契約書では,当事者に契約違反があった場合には,損害賠償請求(Damages)ができると規定しておき,ただし,損害賠償請求権についての定めがあるからといって,他の権利が行使できなくなるわけではないなどと定めることがよくあります。

 

 この際に,この他の権利を列挙するのですが,そのうちの一つにこのinjunctionという用語が入っていることがまま見受けられます。

 

 特に,守秘義務契約書(NDA)において,秘密情報が漏えいすると,情報開示者にとっては,損害賠償請求だけでは回復しえない継続的で大きな損害を受ける可能性がありますので,損害賠償請求以外にInjunctionの救済措置も取れるということを記載することが多いです。

 

 契約当事者がアメリカ,イギリスに所在する場合の契約書によく見られます。

 

 また,英文契約書に仲裁条項を定め,訴訟を提起することを禁止することがよくありますが,その場合でも裁判所にInjunctionの申立てることは可能であるということを定めることもあります。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Loss or Damageがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,いずれも,通常,「損害」という意味です。

 

 Loss/Damageという用語は,英文契約書に頻発します。これは,通常は,「損害,損失」という意味です。

 

 いわゆる補償条項(Indemnification)によく登場する英文契約書用語です。

 

 例えば,The Licensee shall indemnify and hold harmless the Licensor and its affiliates, the respective directors, officer, and employees, to the full extent lawful, from and against all claims, demands, damages or losses...(ライセンシーは,ライセンサー,その関連会社,代表者,役員,従業員に対し,法律が認める限度において,あらゆる請求,要求,損害または損失…について補償し損害を与えない)などと使用されます。 

 

 他には,loss of or damage to a party(当事者が被る損失または損害)などという表現でよく使用されます。

 

 Damagesと複数形になると「損害賠償」という意味を表すこともあるので,注意して下さい。

 

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 英文契約書の作成・翻訳・リーガルチェック(全国対応),実績多数の弁護士菊地正登です。弁護士22年目(国際法務歴15年),約3年間の英国留学・ロンドンの法律事務所での勤務経験があります。英文契約・国際取引の専門家として高品質で迅速対応しています。お気軽にお問合せ下さい。

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