Be destined to...(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Be destined to...があります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「…する運命にある」という意味で使用されます。

 

 「…する運命にある」というのは直訳で,実質的には「…することになっている」というような意味になります。

 

 要するに,…することが必然であり,予定されているときにこのような表現をすることがあります。

 

 例えば,Survivorship(生存)条項で,「一定の条項が契約終了後もなお効力を有する」と定めたいときに使用されることがあります。

 

 一般的には,Survivorship(生存)条項では,契約終了後も効力を維持したい条項を選定して,Articles 1, 2, 5...などと具体的な条項を表記します。

 

 ただ,必ずしもこのように具体的な条項を選定しなくとも,条項の性質上,契約終了後も効力が続くことが明らかと考えられる内容の条項もあります。

 

 例えば,債務不履行に基づく損害賠償請求などがその典型例でしょう。

 

 そのため,いちいち具体的な条項を挙げずに,性質上,契約終了後も当然効力を維持すると考えられる内容の条項は効力を維持すると記載することもあります。

 

 この場合に使用されることがあるのが,be destined to...です。

 

 具体的には,All Articles of this Agreement which are destined (whether expressed or not) to survive the termination of this Agreement will survive.(明示的にであっても黙示的にであっても本契約の終了後も効力を維持することになっている条項はすべて効力を存続する。)というように使用されます。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語について,こちらで解説しています。是非お役立て下さい。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,Rehabilitationがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,企業の再建手続を指します。

 

 他に,関連英文契約書用語としては,bankruptcy(破産)liquidation(解散)などがあります。

 

 これらは,解除条項,期限の利益喪失条項などで見られる用語です。

 

 例えば,The Vendor may terminate this Agreement by giving written notice...in any event of the following: 1. the Distributor files a commencement of bankruptcy, rehabilitation...(ベンダーは,次の事由が生じた場合,...書面による通知をもって本契約を解除することができる。1. 販売店が破産,民事再生手続開始の申立てをした時...)などと使用されます。  

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,Renewがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,「契約の更新」を意味することがよくあります。

 

 基本取引契約(Basice Sales Transaction Agreement)などで,継続的な売買などが予定されている契約の場合,当該基本契約の更新条件は重要です。

 

 どのような場合に更新が可能なのか,更新する際の手続きはどのようなものか,更新後の条件はどのような内容かなど,十分に検討しなければなりません。

 

 例えば,The initial term of this Agreement shall be for two (2) years from X, and shall thereafter be automatically renewed for successive one (1) year extension periods unless terminated by either parties by giving written notice of termination to the other at least thirty (30) days in advance of the following renewal date.などと使用されます。

 

 なお,上記の日本語訳は,「本契約の当初の期間は,X日から2年間とし,その後は,いずれかの当事者が相手方に対し,契約の更新日より30日前までに,更新をしない旨を通知しない限り,1年ずつ自動更新される。」となります。

 

 ちなみに,一般論としては,例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などで,販売店側としては,ノルマになる最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)などが定められていないのであれば,投下資本回収の側面もあることから,長期間の契約を望む傾向にあります。

 

 他方,サプライヤー側は,最低購入数量(ノルマ・ミニマム)がないのであれば,販売店(Distributor)のパフォーマンス次第では,契約を終了させることを考えたいため,契約期間は短く刻みたいと考える傾向にあります。

 

 また,反対に,上記例で,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)が定められていて,毎年ノルマの数量が上がるなどの場合,販売店としては,短く刻んで,更新拒絶がありうる状態にしておきたいと考えでしょう。

 

 その一方,サプライヤーとしては,今度は上方修正の最低購入数量(ノルマ・ミニマム)が定められていて利益は確保できる以上,それなりの期間契約してもらうことを望む傾向にあります。

 

 ちなみに,自動更新にすると,更新拒絶の通知(Non-renewal Notice)をしない限り自動的に契約が更新されることになりますので,当然ですが当事者が更新を期待する度合いが高くなります。

 

 何もしなければ契約が自動的に更新されるということは,契約が更新されるのが通常の状態と考えるためです。

 

 そのため,仮に契約期間が1年間などと比較的短めに設定されていても,契約当事者は「自動更新が定められているし,まさか1年間で終了することはないだろう」と考えがちです。

 

 こういう場合に,短期間で更新拒絶をすると,トラブルに発展しやすいので注意が必要です。

 

 逆に,更新については契約書に記載せず,期間満了で一旦終了することを前提にした契約書を作成すれば,ひとまず契約は終了することを互いに認識しているので,自動更新条項よりは契約終了時に揉める可能性は低くなります。

 

 この場合でも当事者がお互いに更新を望み新たに契約を結んだり,更新することを合意したりすれば,当然契約関係を継続することが可能です。

 

 したがって,自動更新ではなく一旦は契約が終了するとしておき,終了前に条件を再度交渉してお互いが納得した場合にはじめて再度契約ができるとしておいたほうが,更新への期待を少なくできますし,納得してはじめて契約が継続するので安全といえるでしょう。

 

 契約の終了時は最もトラブルになりやすいタイミングの一つですので,契約終了関しては慎重に進めることを強くおすすめします。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,Surviveがあります。

 

 これは,例えば,契約が終了した場合,または,ある条項が無効となった場合でも,特定の条項については効果を存続させる場合によく使用されます。

 

 条項としてはSurvival Clause(生存条項)と呼んでいます。英文契約書では頻繁に登場する条項の一つです。

 

 契約関係が解消されたとして,全ての契約上の義務が無かった,または,今後無いことになるのか,一部にすぎないのかという問題(severance/surviveの問題)は重要です。

 

 この点で,よく契約終了後も効力が続くとされる条項のうち,重要な条項としては,秘密保持義務条項(non-disclosure agreement)や競業避止義務条項(競業他社との取引を一定の距離的・時間的範囲で禁ずる条項)などが挙げられるでしょう。

 

 これらの義務については,たとえ契約が終了したとしても,一定の範囲で義務を課したままにする必要がある場合が多いため,Survival Clause(生存条項)に挙げられるのです。

 

 このように,契約が終了した場合に,どの条項が引き続き効果を有するべきで,どの条項が失効すべきであるのか,具体的に事前に検討しておく必要があります。

 

 もっとも,永遠に課す守秘義務や,地域が広範囲にわたったり,期間が長い競業避止義務は,裁判所によっては無効と判断される場合がありますので,自己の都合の良いように定めれば良いというわけではない点,注意が必要です。

 

 例えば,These obligations set forth in this Article (Confidentiality) shall survive termination/experation of this Agreement for five (5) years.(本条(守秘義務)に定める義務は,本契約の終了/期間満了後も5年間存続する。)などと使用されます。  

 

 なお,日本語の契約書では,このSurvival Clause(存続条項)はあまり見ません。

 

 これは,契約書の解釈で,内容から当然に契約終了後も効果が存続するものは判別できるという前提になっていると考えて良いでしょう。

 

 また,契約において特定の条項が法令などに違反し無効となる場合に,他の条項はこれとは独立して効力を有し契約は存続するのか,それとも,全体が影響を受けて,契約が終了するのかなどを取り決めたい時にもsurviveの観念が問題となります。

 

 こちらは,Severability(分離可能性)という問題として契約書では整理されています。

 

 Severability Clause(分離可能性条項)では,問題のある条項だけが無効になりその他は影響を受けず有効に存続するという内容で契約書に規定されるのが一般的です。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Prevail, supersede, overrideがあります。

 

 これらは,英文契約書で使用される場合,いずれも,通常,「…に優先する」という意味です。

 

 …以下を上書きしてしまう効果を持つ英文契約書用語です。

 

 例えば,過去の合意による条件などを新たな合意で変更する場合や,同時に二つ以上の契約書記載条件に該当するような事実が生じた場合にどちらで処理されることになるのかを規定する場合に使用されます。

 

 例えば,In the event of the provisions  resulting in a conflict between the Individual Contract and this Agreement, the former will prevail.(個別契約と本契約の条項が矛盾するときは,個別契約の条項内容が優先する。)などと使用されます。

 

 また,supersedeの場合,In the event of the provisions  resulting in a conflict between the Individual Contract and this Agreement, the former will supersede the latter.(個別契約と本契約の条項が矛盾するときは,個別契約の条項内容が優先する。)などと表現されます。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Entire Agreementがあります。

 

 これは,日本語では「完全合意」など,直ちに理解しがたい訳が付されていますが,完全合意とは,ある基準日までに存在した合意が,全て本合意(本契約書)によって上書きされ失効し,本合意(本契約書)以外に拘束力のある合意は存在しないことを確認する条項です。

 

 コモン・ローの下では,parol evidence rule(パロール・エビデンス・ルール)(口頭証拠排除原則/法則)という原則があります。

 

 これは,契約が書面によって締結された場合,契約条項を変更するような内容の合意が別にあった(例えば口頭)という主張を裁判所は認めないというものです。

 

 もっとも,これには例外があり,例えば,misrepresentation(ミスレプレゼンテーション)は,一方当事者が「契約書には責任免除条項に全ての責任を免責すると記載するが,実際にはかくかくしかじかの場合しか免責を主張しない」などと述べたため,他方当事者が契約締結に至った場合,契約の取り消しや,損害賠償を認めるというものです。

 

 このmisrepresentationによる契約取り消しまたは損害賠償請求を封じる意図がこの完全合意に含まれています。

 

 つまり,当該契約書に書かれた契約内容以外には,いかなる合意もrepresentationも存在しないので,当該契約書以外に根拠を置く主張は一切認められない,というものです。

 

 完全合意条項があると,裁判所は契約書外の合意を認めない傾向にあるため,非常に重要な条項です。

 

 例えば,This Agreement constitutes the entire agreement between the parties hereto and supersedes any prior arrangement or understanding relating to the subject matter contained herein. (本契約は当事者間の完全合意を構成となり,本件についてのすべての契約前の合意に優先するものとする。)などと使用されます。 

 

 逆に,あくまでEntire Agreement(エンタイア・アグリーメント)条項は,契約締結時より前の契約書外の合意の効果を否定するものですので,契約締結後の契約書外の合意は効力を有する可能性を生じます。

 

 この点をケアするのが,Amendments(改定)条項です。

 

 Amendments条項では,通常,契約書の内容を変更するには,契約書外の口頭や電子メールなどでは行えず,必ず署名権限のある当事者がサインした書面をもって行う必要があると定められています。

 

 これにより,契約締結日以後の合意についても,権限者のサインのある書面によって行わなければならず,これに違反する形式での合意は結局効力が否定されることになります。

 

 なお,Amendmentsは,せっかく正式合意した契約内容を現場の担当者が電子メールでへのうできるなどとしてはあまり意味がなくなってしまうので,サインのある書面による合意を求めるものです。

 

 そのため,個別の売買契約の条件など割と些末な内容については,機動的に,臨機応変に担当者レベルで変更しても良いと考えることもあります。

 

 この場合は,個別契約と基本契約の内容が矛盾した場合個別契約の内容が優先すると契約書に定めておけば,上記の目的が達成できることになります。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Leaveがあります。

 

 これは,通常,裁判所などから得る「許可」を指します。

 

 登場頻度は多くありませんがたまに見かけます。Leaveは,上訴する場面などで必要となることがあります。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Governing Lawがあります。

 

 これは,英文契約書に必ずといってよいほど登場します。当該契約に関して後に紛争が生じた場合に,従うことになる「準拠法」のことです。

 

 したがって,governing lawは,いざ紛争が生じた場合に非常に大きな意味を持ってきます。

 

 そのため,契約書に定めるのが通常です。

 

 契約書に定めがない場合には,いわゆる国際私法の問題となり,例えば,利害関係の強いと考えられる国の法律が適用されるという結論が導かれたりしますが,判断は各国の裁判所に委ねられるため,非常に不安定となります。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Jurisdictionがあります。

 

 これは,英文契約書に必ずといってよいほど登場します。「裁判管轄」のことです。

 

 Governing Law(準拠法)とは区別しなければなりません。

 

 通常,準拠法と合わせる場合が多いとは思いますが,例えば,英国法を準拠法とし,専属的裁判管轄を日本として合意するということも可能です。

 

 ただし,いざ裁判になったときに,そのとおりの効果が認められるとは限らない点には注意が必要です。

 

 裁判管轄は紛争時には非常に重要な意味を持っています。

 

 特に保全処分や,強制執行が必要な場合は,各国により制度が区々ですから,自己に有利な利益を実現できるかどうかがその制度内容に関わってきます。

 

 準拠法については,多くの国が契約自由の原則を認め,当事者が合意したとおりの効果を基本的には認めるという姿勢に大きな違いはないと考えられるでしょうが,裁判や執行についての手続法は各国により様々です。

 

 当然契約当事者は自己に有利な管轄を主張するでしょう。この辺りは,ビジネス上の力関係で決まってしまうところもあり,悩ましい問題です。

 

 仲裁合意においても同様の管轄権争いが生じることとなります。自己に有利な裁判管轄を漁ることをforum shopping(フォーラム・ショッピング)と呼びます。

 

 裁判管轄を自国にするのが有利だと思われがちですが,必ずしもそうではありません。

 

 例えば,売掛金の回収を訴訟で行うというような場合,日本で判決を得てもそれを外国で強制執行するのは大変です。

 

 そうであれば,最初から相手国の地で裁判をし,その判決を基に現地で強制執行をかけたほうが簡便に済みます。

 

 現地での訴訟は大変だと思うかもしれませんが,売掛金請求などは比較的容易な内容ですので,現地の弁護士を探して任せれば,想像するよりは難しくないです。

 

 逆に自社が訴えられる可能性があるような契約であれば,訴訟提起のハードルを上げるために自国の裁判管轄を合意したほうが有利といえます。

 

 このように,契約内容や目的によって利害が異なるため,いつも自国の裁判管轄が良いというわけではないことは注意が必要です。

 

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担当:菊地正登(キクチマサト)

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 英文契約書の作成・翻訳・リーガルチェック(全国対応),実績多数の弁護士菊地正登です。弁護士22年目(国際法務歴15年),約3年間の英国留学・ロンドンの法律事務所での勤務経験があります。英文契約・国際取引の専門家として高品質で迅速対応しています。お気軽にお問合せ下さい。

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