この記事でわかること
こんなときにお読みください:販売店契約などで,相手だけが短い予告期間でいつでも解除できる内容になっている。小さな違反でもすぐ解除されないか不安。
1. よく見られる解除条項
販売店契約などの継続的な契約では,次のような解除条項がよく見られます。
Supplier may terminate this Agreement at any time by giving thirty (30) days’ prior written notice to Distributor.
Either party may terminate this Agreement immediately by written notice if the other party breaches any provision of this Agreement.
和訳:サプライヤーは,販売店に対して30日前に書面で通知することにより,いつでも本契約を解除することができる。いずれの当事者も,相手方が本契約のいずれかの規定に違反した場合には,書面による通知により直ちに本契約を解除することができる。
1文目は,理由がなくても解除できる「任意解除(Termination for Convenience)」,2文目は,相手方の違反を理由とする「債務不履行解除(Termination for Breach)」です。この例では,サプライヤーだけが30日前の通知でいつでも解除でき,また,どんなに小さな違反でも直ちに解除できる内容になっています。
販売店は,商品の販売のために人員や広告などの投資をしていることが多く,短い予告で解除されると大きな損失を被るおそれがあります。なお,日本法では,継続的な取引契約の解消について,相当な予告期間や一定の理由が求められると判断されることがあり,国によっては販売店や代理店を保護する法律が定められていることもあります。
2. 修正案の比較
| 修正案 | 自社にとっての効果 | 相手の受け入れやすさ(目安) | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ① 予告期間を延ばす | 次の取引先を探す時間を確保できる | ★★☆ | 投資の回収に必要な期間を説明できるようにしておく |
| ② 任意解除を双方向にする(または削除) | 一方的に打ち切られるリスクが減る | ★☆☆ | 削除は受け入れられにくい |
| ③ 是正期間(Cure Period)を設ける | 小さな違反で即解除されない | ★★★ | 是正できない違反の扱いも決めておく |
| ④ 契約終了後の扱いを定める | 在庫や顧客対応の損失を抑えられる | ★★★ | 在庫の買戻し価格や販売継続期間を具体的に定める |
※受け入れやすさは一般的な傾向であり,取引条件や交渉力によって異なると考えます。
① 予告期間を延ばす
30日では,販売店が代わりの商品や取引先を確保するには短すぎることが多いでしょう。投資の規模に応じて,6か月程度の予告期間を求めることが考えられます。
② 任意解除を双方向にする
サプライヤーだけが理由なく解除できる内容は一方的です。双方が同じ条件で解除できるようにするか,任意解除の規定自体を削除するよう求めることが考えられます。
③ 是正期間(Cure Period)を設ける
どんな違反でも直ちに解除できるとすると,軽微な違反や,すぐに直せる違反でも契約を打ち切られるおそれがあります。解除の対象を重大な違反(Material Breach)に限定し,通知を受けてから一定期間内に違反を是正すれば解除されないようにする方法が一般的です。
④ 契約終了後の扱いを定める
契約が終了したときに残っている在庫や,すでに受けている注文をどうするかを決めておかないと,販売店は在庫を抱えたまま販売できなくなるおそれがあります。一定期間の販売継続や,サプライヤーによる在庫の買戻しを定めておくことが考えられます。
3. 自社の契約書で確認したいポイント
4. まとめ
解除条項は,取引がうまくいかなくなったときに自社を守るための重要な条項です。解除できる場面と予告期間,契約終了後の扱いをあわせて確認し,一方的な内容になっていないかを検討することが大切と考えます。
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