英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Division of liabilityがあります。

 

 もっとも,これは,英文契約書というより,不法行為に基づく損害賠償請求などで,当事者双方に責任が認められる場合,どちらが何割負担するかという責任割合を表すときによく使われる用語です。

 

 損害額・量を意味するquantumと対比して理解する必要があります。

 

 英国法実務では,例えば船舶同士の双方過失による衝突があった場合,まずこのdivision of liabilityを,例えば7対3であるなどと当事者間で合意し,その後,surveyorの調査を経てその結果などを基礎にquantumを合意し,最終的に和解するという解決方法が一般的に採用されています。

 

 また,債務不履行による損害賠償請求の場面でも,帰責事由が双方当事者に存在し,これが競合して損害発生に至ったような場合を想定して,予め契約書において責任割合についての条項を定めることがあります

 

 もっとも,このような責任割合をドラフティングする場合には,算定基準などに曖昧さを残すと却って紛争を招きかねないので,注意を要します。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,TitlePropertyがあります。

 

 これらは,英文契約書で使用される場合,通常,「所有権」を意味することが多いです。

 

 なお,Incoterms 2010やIncoterms 2020におけるFOB,CIFやDDUなどの貿易条件では,危険負担(risk of loss)については取り決めが記載されていますが,所有権(title)の移転時期については触れられていない点,注意が必要です。

 

 所有権の移転時期は,各国の法律によってまちまちなため,契約内容によっては,明確に定めておく方が良いでしょう。

 

 例えば,The title to the Product shall pass to the Buyer from the Seller at the time of full payment for the subject Products.(本件商品の所有権は,当該商品の代金を完済した時に,売主から買主に移転する。)などとして使用されます。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Retention of titleがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「所有権留保」のことです。

 

 所有権留保とは,売主が,買主から代金の支払いを受けるまで,目的物の所有権を保有し続けるというものです。

 

 もし,買主が代金を完済できなければ,売主は所有権留保のついた目的物を引き揚げたり,売却したりして代金の回収を図ることができるというルールが国によって存在しています。

 

 ただし,クロスボーダー,国際取引においては,目的物が外国に納品されるということになるため,売主にとって所有権留保の行使による代金回収というのは,非現実的である場面が少なくありません。

 

 したがって,このような条項に頼るというよりは,L/Cや先払いのT/T送金を定めるなど,より実効的でリスクの低い条件とできるよう交渉する方が極めて重要といえます。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Mortgageがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「抵当権,担保」という意味です。

 

 Mortgage agreementは,抵当権設定契約を意味します。

 

 Mortgage collateralは不動産担保,mortgage by transferは,いわゆる譲渡担保を指します。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Hold someone harmlessがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「someoneに対する請求が生じないことを補償する」という意味で使われます。

 

 補償条項は,indemnificationと英文契約書では呼んでいます。

 

 例えば,契約の相手方に対し,第三者からの知的財産権に関するclaimを受けないことを補償し,補償する当事者が第三者からのclaim対応を自ら行う(defend)というような条項で見られます。

 

 The Vendor shall indemnify, defend and hold harmless the Distributor from any claims...(ベンダーはあらゆるクレームから販売店を補償し,損害を受けないことをを補償する…)などと使用されます。

 

 販売店契約などでは,販売店が自己のテリトリーで商品を売却する際に,当該商品がテリトリーにおいて第三者の特許権や商標権を侵害しないことを保証(表明保証,representation and warranty)し,仮にこれについて第三者からクレームがあった場合,それが故に被る損害すべてをベンダーに補償させるということがよくあります。

 

 逆にベンダー側としては,各国での知的財産権侵害の有無を調査することは容易でないことがありますから,このような条項を入れずに,こうした知的財産権の侵害については販売店側のリスクにしたいところです。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Escrowがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「第三者預託」を指します。

 

 例えば,売買契約の代金決済を第三者介入の下で行う場合に,当該第三者に金員を預託することがあります。

 

 また,security提供の一方法として,第三者(ロー・ファームなど)に債務者が債権者に対して将来的に負担する可能性のある潜在的な賠償額を預託するなどの場合に用いられます。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Prevail over...があります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,抵当権や先取特権などの担保が他に「優先する」という意味でよく使用されます。

 

 不動産などの一つの担保物件に複数の担保権が設定されていることがよくあります。この場合,仮に担保物件を競売などで売却したとして,その代金で全部の担保権者の債権額につき弁済できれば問題はありません。

 

 しかし,担保物件の価値が下落しているような場合,競売によって得られる代金では全部の担保権者の債権を満足させられないことがあります。

 

 このような場合に,どの担保権が優先的であるか,つまり他の担保権者よりも先に弁済を受けられるのかが問題となります。

 

  劣位の担保権者は,当該不動産の売却代金から自己の債権額全額の弁済を受けられないことがあります。

 

 このような関係を処理するために,上記用語が用いられることがあります。

 

 Prevailそのものは,英文契約書では,「条項などが他に優先する」という意味でよく使用されます。

 

 例えば,In the event of the provisions  resulting in a conflict between the Individual Contract and this Agreement, the former will prevail.(個別契約と本契約の条項が矛盾するときは,個別契約の条項内容が優先する。)などとして使用されます。

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などの基本契約があり,それを基礎にして,個別契約として商品の発注と受注が繰り返されるというパターンの場合,あるときの個別契約で基本契約の内容を変えたいということがありえます。

 

 その際,発注書と受注書で合意する内容が基本契約の内容に矛盾することになります。

 

 ところが,英文契約書に基本契約の内容と個別契約の内容が矛盾した場合,どちらが優先的に適用されるのかが書かれていないと,本当にその方法で基本契約の内容を変更できるのかについて疑問符がついてしまいます。

 

 さらにいうと,基本契約書には一般条項(ボイラープレート条項)として,Amendment(改定)という規定が入っていることが多いです。

 

 これは,基本契約書の内容を変更するには,権限ある者がサインする書面によって合意しなければ変更の効力がないという内容の条項です。 

 

 この条項により,担当者が勝手に基本契約の内容を変更できないようにする狙いがあります。 

 

 このAmendment(変更)条項によって,先程の発注書と受注書による変更合意は効力がないとされてしまう可能性が高いです。

 

 したがって,基本契約と個別契約のどちらが優先するのかを契約書で定めておくのが安全です。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Pari passuがあります。

 

 それほど頻出する英文契約書用語ではありませんが,Pari passuは,英文契約書で使用される場合,ラテン語で「同順位の」という意味です。

 

 Mortgageやchargeの順位・優先関係が問題となる場面で使用されることが多い用語です。

 

 英文契約書には,他にもpro rata(比例して)などラテン語が多く登場します。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Pro rataがあります。

 

 Pro rataはラテン語です。英文契約書にはラテン語が多く登場します。

 

 これはその代表的なもので,「割合に応じて,比例して」という意味です。

 

 英語ではin proportionとも言います。apportionという表現も使います。

 

 代金を割合に応じて支払う,責任の割合に応じて賠償金・補償金を支払うなどという条項でよく見られる英文契約書用語です。

 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Lienがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,基本的には「留置権」を指します。

 

 留置権は,possessory liensとも言います。留置権とは,例えば,目的物を補修したが補修代金の支払いが未了の場合に,その支払いを受けるまでは,目的物を所有者に返還せず,留めおくことが可能である権利を指します。

 

 債務者は,目的物の変換を受けるためには,債務を弁済しなければならず,これにより債務者の支払いが促されます。また,それでも代金が支払われない場合,目的物の競売も可能である場合があります。

 

 Liensは「先取特権」を指すこともあります。

 

 例えば,maritime liensというものが英国法で認められていますが,これは日本法でいうところの船舶先取特権に相当する概念です。

 

 英文契約書では,商品や権利を売買する際に,売主が買主に対して,「当該商品や権利に第三者のLienなどは付いてなく,完全な所有権がある」ことを表明し保証する(Representations and Warranties)という条項で使用されることがあります。

 

 例えば,The Seller represents and warrants to the Buyer that the title to the Products is free from any third parties' rights such as liens...(売主は,買主に対し,本件商品の所有権が,例えば留置権などあらゆる第三者の権利が付着していない…ことを表明し保証する)などと使用されます。

 

Perform its obligations(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語の解説,今回はPerform its obligationsです。

 

 これは,通常,契約当事者が「自己の債務/義務を履行する」という意味です。

 

 他にも,Dischargeという用語も類似の意味で使用することができます。Discharge the obligationで,「債務を弁済する」という意味で用いられることがあります。

 

 ただし,Dischargeを使用するときは,債務を「免除する」という意味で捉えられないように注意が必要です。

 

 たとえば,Discharge someone from its obligationsとすると,「ある人をその債務から免責する」という意味になりますので,文法的に誤った使い方をすると大きなミスになることがあります。

 

 言うまでもありませんが,母国語ではない英文契約書では,日本語の契約書以上にその意味内容に争いが生じないように慎重に作成する必要があります。

 

To the maximum extent permitted by law(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,To the maximum extent permitted by lawという表現について解説します。

 

 これは「法律によって許される最大の限度で」と訳されます。

 

 どういう場面で使用されるかと言いますと,例えば,当事者の責任を免責したり,制限したりする条項,いわゆるLimitation of Liability(責任制限条項)などで使われます。

 

 免責(exemption)や責任制限(limitation)については,各国の法律により,一定程度制限が課されていることがあります。

 

 そうした場合に,これらの規制法によって契約書に規定したlimitation of liabilityが完全に無効と解釈されないように,関連法令が許す最大の限度で免責や責任制限の効果が生じると規定しておく場合によく見られる表現です。

 

 例えば,This Article X shall apply to the Parties to the maximum extent  permitted by applicable laws.(本X条は,適用法令が許す最大の限度で当事者に適用される。)などと規定することがあります。

 

 実際にこのような条項を入れておいたから,当該免責又は責任制限条項が一定程度有効になるという場面がどの程度あるのかという問題はありますが,規制にかかる場合にはすべて無効にするという意思を当事者が有していたわけではないという程度で解釈に影響することはあり得るかもしれません

 

 いずれにせよ,免責や責任制限を定める際には,免責などで不利益を受ける当事者のみならず,免責・責任制限の利益を受ける側も,準拠法などによっては条項が無効化するリスクなどがある点にも配慮する必要があります。

 

Without prior written consent(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語の一つにWithout prior written consentがあります。

 

 これは,「書面による事前の同意なしに」という意味で使用されます。

 

 色々な場面で登場しますが,例えば,契約上の権利義務を相手方当事者の事前の書面による承諾なくすることはできないなどと規定する時に登場します。

 

 Either party shall not assign to any third party any rights or obligations stipulated hereunder without prior written consent of the other.(当事者のいずれも相手方の事前の書面による承諾なく本契約に定められた権利又は義務を第三者に譲渡することはできない。)などと使用されます。

 

 相手方当事者の同意の有無にかかわらず,常に禁止するということも内容によってはもちろんあるのですが,同意した場合は許されることを事前に明らかにすることで交渉に役立つこともあるので,重要な表現と言えます。

 

 他には,販売店契約,代理店契約において,販売店又は代理店に競合品の取扱は相手方の同意無い限りできないとする規定もよく見られます。ベンダーが個別具体的に判断して許可するということは,販売店又は代理店との関係を維持する上でも一定の意味があると言えます。

 

 同意については,基本的には書面によって得ることが,その有無を明確化する上で,妥当だと言えます。

 

 他方で,あまり細かな点まで常に書面による同意を要するとしてしますと,機動性,実効性を損ねるということもあります。

 

 そのような場合は,単にWithout prior consent of the otherと規定することになります。

 

Forfeit(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語の一つに,Forfeitがあります。

 

 これは,英文契約書で用いられた場合,通常,「(権利などを)喪失する」という意味を表します。

 

 当事者が契約条項に違反したような場合に,ある権利を喪失するなどと規定したいときに用いられる英文契約書用語です。

 

 例えば,Buyer shall forfeit the right to claim to Seller for damages incurred by Buyer due to Seller's failure in case of any breach of the provisions of this Agreement.(買主は,本契約の一つにでも違反した場合,売主の過失が原因で被った損害について売主に対し賠償請求する権利を失う。) などという条項に登場します。

 

 is not entitled to..., lose the right...などの英文契約書用語も同じような意味を持ちます。

 

 上記のほか,一定期間を過ぎた場合に,もはや権利行使ができないというような条項を設けたいときにも,よく使用される英文契約書用語です。

 

 例えば,Buyer shall forfeit the right to claim for damages incurred by Buyer after sixty (60) days from its receipt of the said written notice from Seller.(買主は,売主から先の書面を受領してから60日が経過すると,その被った損害について賠償請求する権利を喪失する)などです。

 

Commit(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Commitがあります。

 

 Commitは,英文契約書では,よくcommit a breach of any provisions of this Agreementなどとして,「契約違反をする」という意味で使用されます。

 

 日本では,自己の責めに帰すべき事由により契約上の義務に違反すると,債務不履行に基づく損害賠償義務が生じたり,相手方に解除権が生じるなどとなっていますが,コモンローでは,自己の責めに帰すべき事由は要求されないなど,損害賠償義務を生じる要件が両者で異なっていたりします。

 

 また,commit a material breach...という表現も英文契約書ではよく登場します。

 

 これは,重大な契約違反をした場合というように訳されますが,何が重要な違反になるかは,一義的には定まらないため,問題を生じる場合があります。

 

 そこで,英文契約書では,少なくともこの条項に違反した場合,契約解除の対象となるなどと,各条項に書かれていることも多くあります。

 

 例えば,If the Seller fails to comply with this Article, such failure shall be deemed to be a material breach of this Agreement.(売主が本条を遵守しない場合,当該違反は,本契約の重要な義務違反とみなされる。)などとして,英文契約書では登場します。

 

By virtue of...(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,By virtue of...があります。

 

 このBy virtue of...が英文契約書で使用される場合,通常,「…に基づき,…によって」という意味で使用されます。

 

 例えば,The Vendor shall be liable to the Distributor for any damage or loss incurred by the Distributor by virtue of Article 10 of this Agreement.(ベンダーは,販売店に対し,本契約第10条に基づき,販売店が被った一切の損害を賠償する責任を負う。)などとして,使用されます。

 

 英文契約書で,by virtue of...と同様の意味でよく使用される英文契約書用語には,pursuant to...があります。

 

 これも,英文契約書では,The Seller shall deliver the Products at the delivery place designated by the Buyer pursuant to Article 8 of this Agreement.(買主は,本契約第8条に基づき,売主が指定した納品場所にて本製品を引渡さなければならない。)などとして使用されます。

 

Extinguish(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Extinguishがあります。

 

 これは,通常,英文契約書で使用される場合,「消滅,失効する」という意味で使用されます。

 

 英文契約書では,権利などを一定期間行使しなかった場合に,もはやそれ以降は行使できないという意味で使用されることがよくあります。

 

 例えば,The right to terminate this Agreement with cause shall be extinguished if...(…の場合,本契約を理由付解除する権利は消失する)などとして使用されます。

 

 類義語としては,lapseなどが挙げられます。

 

 このextinguishやlapseが英文契約書に登場した場合,一定の要件で権利などが消滅してしまうという内容であることが多いため,注意する必要があります。

 

Term Sheet(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英語・英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Term Sheet(タームシート)があります。

 

 これは,通常,「条件概要書」などと訳されています。

 

 英文契約書で使われる用語というより,英文契約書に至る前の交渉過程でよく使われる用語です。

 

 契約交渉をする際の方法にはいろいろな方法があります。

 

 Letter of Intent(LOI)やMemorandum of Understanding(MOU)という文書を契約交渉過程で交わすこともあります。

 

 また,Non-Disclosure Agreement(NDA)などを交わしてから交渉に入るという方法もあります。

 

 その他,Term Sheetというものを使い,まずは,契約の概要や骨子となる条件について先に合意しておき,その後に,より細かい条件を詰めていき,最終的に正式契約をするという流れを辿ることもあります。

 

 Term Sheetの内容は,契約書のような詳しい文章が並んでいるというより,重要な事項が箇条書きで並んでいるというイメージです。

 

 このTerm Sheetの内容に法的な拘束力を持たせるかどうかについては,当事者の意図によってまちまちだと思います。

 

 ただし,The provisions of this Term Sheet is legally binding on the parties.(本タームシートは,当事者を法的に拘束する。)などという表現があった場合,安易にサインしないように注意が必要です。

 

 Term Sheetは,性質上,簡潔なものになりがちです。

 

 そのため,サインしたはいいが,正式契約時にそのような意味だと思っていなかったなどとトラブルにならないようにしなければなりません。

 

 相手方がドラフトしたのであれば,誤解を生じないよう,疑問があれば正し,一義的に意味が定まるような表現に変えるべきです。

 

 反対にこちらがドラフトするのであれば,相手方に誤解を生まないように,明確な表現,丁寧でわかりやすい表現を心がける必要があります。

 

 また,Term Sheetを作成した当時は,その条件を飲むつもりでいたが,後で,交渉を継続していたら,他の事項も出てきて,やはり当初の条件を変更したいということもあります。

 

 この場合に,Term Sheetの内容が法的拘束力を持つと記載されていると,変更が困難になります。

 

 基本的に,Term Sheetに書かれた内容を後の本契約において変更することは難しいと考えておくべきですので,この点も交渉姿勢として注意が必要です。

 

 あくまで,ビジネスの根幹にかかわるような重要な条件について,およその合意をしておく文書くらいの位置づけで交渉するほうが無難かもしれません。

 

 もし,一部の内容に法的拘束力を持たせたいということであれば,Letter of Intent(LOI)やMemorandum of Understanding(MOU)を用いて,詳しい内容で合意したほうが適切かもしれません。

 

 とはいえ,何の書面も交わさずに口頭やメールだけで交渉していると,まとまりがつかなかったり,議論の蒸し返しなどが起こってしまうので,何らかの書面を交渉途中に取り交わすということは重要です。

 

Witness(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語英文契約書に,Witnessがあります。

 

 これは,英語・英文契約書で使用される場合,当事者の署名欄でよく使用されます。

 

 「Witness:」などと表記されていることが一般的です。

 

 通常,英語・英文契約書を発効させるには,その取引を実行する権限のある役員などが署名(サイン)することで足ります。

 

 しかし,契約締結後に,何らかの事情をもって,サインは無効であり,契約書の効力はないなどと当事者が主張する可能性が場合によってはあるでしょう。

 

 そのような場合に,間違いなく契約を発効させるために,意思に基づいてサインをしたことを第三者に証明してもらうということがありえます。

 

 Witness欄は,このような観点から設けられる欄です。

 

 Witness欄に署名する第三者は,当事者の社内の人間のこともありますし,社外の人物の場合もありますし,一定の資格職に限定される場合もあります。

 

 後者にいくほど,より契約が重要で,証明度を強める必要があるということを意味することになります。

 

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