Cumulative(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Cumulativeがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「累積する/累積的な」という意味で使用されます。

 

 もっとも,和訳した意味を聞いてもよく理解できないと思います。

 

 このcumulativeがよく使われるのは,当事者が契約違反をした場合,救済措置(Remedy)が定められているのが通常ですが,この救済措置が一つだけしか取れないのではなく,すべて認められるということを注意的に書くときです。

 

 例えば,当事者が契約違反をしたときに,契約の解除(Termination)という救済手段が契約書に記載されていたとしても,ほかにも損害賠償請求(Damages)という救済手段も追加して取りうるというときに,これらの救済措置はcumulativeであると表現します。

 

 言い換え表現としては,in addition to...が挙げられます。

 

 こちらも,Aに加えてBという意味なので,AかBのいずれか一つという択一的(トレードオフ)な関係ではないことを示しています。

 

 このように,cumulativeが英文契約書でよく登場する場面は,remedy(救済措置)について定めた条項の中です。

 

 例えば,当事者の一方が契約違反をした場合,相手方当事者は,本契約を解除することができるという解除規定(Termination Clause)が契約書に書かれていたとします。

 

 この解除権のことは,remedy(救済措置)と呼ぶことがあります。契約違反という問題が生じた場合に,契約違反をされた当事者が取りうる救済措置であるからです。

 

 上記の例の場合,当事者に契約違反があれば,相手方当事者は,remedy(救済措置)として,契約を解除する権利を有していることはわかっていますが,他の権利については記載されていません。

 

 そのため,契約を解除するという救済措置を選択すると,他のありうる選択肢,例えば,損害賠償請求などは選択できなくなるのかという疑問が生じます。

 

 このような疑問を払拭し,法律や契約で他にremedy(救済措置)があるのであれば,それらも認められる,つまり,解除権というremedy(救済措置)は排他的なものではなく,累積的なものだということを明らかにしたいときにこのcumulativeを使用することがあります。

 

 他にも,preclude(…を排除する)という英文契約書用語も,似たような場面で使用されることがあります。

 

 これは,通常,否定形で用いられ,例えば,The right to terminate this Agreement described in the preceding paragraph shall not preclude claims for damages.(前項に定める解除権の行使は,別途損害賠償の請求を妨げない。)という意味で使われることがあります。

 

 契約書において問題を生じたときに,remedy(救済措置)が何であるかということももちろん大切ですが,選択肢がいくつ与えられているのかも大切です。

 

 場合によって,契約を解除しても当事者は救済されないという場合や,損害賠償請求だけでは,損害が回復しきらない(秘密保持義務違反のようなケース)ということもあります。

 

 このようなときには,remedy(救済措置)が複数用意されていることが重要な意味を持つことがあります。

 

Truth or accuracy(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Truth or accnracyがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「真実性または正確性」という意味で使用されます。

 

 この用語は,秘密保持契約書=Non-Disclosure Agreement (NDA)でよく使用されます。

 

 また,否定文で使用されることが多いです。

 

 秘密保持契約書では,当事者の一方または双方が相手方に秘密情報を開示することが予定されています。

 

 秘密情報を受け取る側は,その情報を使用して,将来予定されている正式契約に向けて研究や検討を行うということになります。

 

 情報を受け取る側としては,開示を受ける情報が真実かつ正確なものであってほしいでしょう。

 

 しかしながら,情報を開示する側からすると,開示した情報が真実でなかったり,正確でなかったりしたために,情報の受領当事者に損害が生じたような場合に損害賠償責任を生じるような事態は避けたいわけです。

 

 そのため,開示当事者は,開示する情報が真実かつ正確である(True and Accurate)ことについては,できる限りそうであるように努力はするが,保証するものではない,つまり,責任は負わないということにしたいという事情があります。

 

 こうした理由から,NDAでは,よく,Disclosing Party does not represent or warrant to Receiving Party the truth or accuracy of the Confidential Information...(開示当事者は,受領当事者に対し,秘密情報の真実性または正確性を表明し保証するものではない…)などと規定されるのです。

 

 こうなると,受領当事者からすると,開示される情報が虚偽であったり,不正確であったりしても,開示当事者に責任追及をできないことになります。

 

 確かに,受領当事者が不利益を受ける条項ではありますが,自社においても情報の真実性や正確性を検証できるということもありますので,このような規定が置かれることもやむ得ないところがあります。 

 

Arm's length(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Arm's lengthがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「独立した対等な関係」という意味で使用されます。

 

 なぜそういう意味になるかを説明すると,arm's lengthを直訳すると「腕の長さ」となりますが,腕の長さを保った程度の距離=近づきすぎていないということのようです。

 

 当事者が契約関係に入る場合,その当事者間の関係性がどういうものであるのかが問題になることがあります。

 

 例えば,本人と代理人という関係性になるのか,使用者と非使用者という関係になるのか,ジョイントベンチャーという関係になるのかなどが問題になることがあります。

 

 当事者の関係性に,主と従,または,親会社と子会社というように主従関係や上下関係などが認められると,適用される法律が異なってきたり,税務に影響を与えたりすることがあります。

 

 そのため,取引に入る当事者同士は,自社と相手方がどのような関係性をもって取引に入るのかを事前に考えて取引することになります。

 

 そして,独立した当事者であり,対等な関係にあり,特に主たる当事者と従たる当事者という関係性などはないということを明確にするときに,このarm's lengthという英文契約用語を,英文契約書を作成,チェック(レビュー),修正する際に使用することがあります。

 

 もちろん,ただ単にこのarm's lengthという英文契約書用語を用いれば,当事者の関係が独立した対等な関係になるということではありません。

 

 あくまで,契約書に記載された具体的な内容から,当事者がどのような関係に立つのかが実質的に判断されることになります。

 

 例えば,企業と個人が業務委託契約(Service Agreement)を締結し,そこに,お互いが独立した対等な当事者(arm's length)であり,主従の関係性は一切ないなどと記載されていたとします。

 

 しかしながら,実際にその契約書の内容を見ると,企業側が細かく就業場所や就業時間,就業日数を指定し,常に企業側の指示に基づいて受託者である個人が作業をしなければならないと規定されていたとします。

 

 このような場合で,準拠法が日本法であったりすれば,形式的には委任契約(Service Agreement)の体裁をとっており,arm's lengthの関係にあると書かれてはいるが,実質的には,雇用契約(Employment Agreement)であり,主従の関係が存在するという判断がされることはありえます。

 

 この場合には,形式的な文言がどうであれ,実質的に雇用契約と判断されることとなり,雇用契約であることを前提とした各種労働法が適用される可能性が出てきます。

 

 そうなると,基本的に,労働者のほうが労働法によって保護されていますので,契約書(Service Agreement)に記載された内容が,労働法によって修正され,企業側に不利な内容に読み替えられる可能性があります。

 

 このように,当事者の関係性は,あくまで契約の実質的な内容によって決定されるのであり,arm's lengthのような文言を使用して,当事者が独立した対等な関係にあると契約書に記載したからそのとおりになるという性質のものではないことにも注意が必要です。

 

 また,arm's lengthは,そう頻出する英文契約書用語ではないですが,株式譲渡契約書(Stock Purchase Agreement)などでも見かけることがあります。

 

 株式譲渡契約書(Stock Purchase Agreement)などでは,株式の譲渡人が株式の譲受人に対し,株式を発行している対象会社が,会社や事業の現在の価値が適正に評価されており,これを毀損するような事実はないことを表明保証(Representation and Warranty)するというのが一般的です。

 

 株式の譲受人からすれば,対象会社の株式を適正価格で購入したつもりが,後でその価値を毀損するような事実が発覚して価値が相当に下がってしまえば,その価格での購入を取り消したいなどと考えるでしょうから,このような表明保証をするわけです。

 

 そして,表明保証に違反する事実が発覚すれば,譲受人は譲渡人に対して損害賠償請求等ができると契約書に定められるのです。

 

 この表明保証の中に「対象会社が当事者になっている契約の中に,対等でない(対象会社が非常に不利益を被る立場にある不平等な)契約・取引は存在しない」という内容が含まれていることがあります。

 

 もう少し噛み砕いて言うと,「親子会社関係など不平等な条件の契約はなくそれぞれ独立・対等の取引条件での契約しかない」ということを言っているのです。

 

 この「不平等な契約・取引」「不平等な関係」ということを表すのにarm's lengthという用語が使われることがあります。

 

 流して読んでいると一瞬意味を掴み取るのが難しい表現の一つかと思います。

 

 当然ですが,表明保証の内容は譲受人にとってはもちろんですが,表明保証違反があれば損害賠償などの責任を負うことになりますので,譲渡人にとっても重要です。

 

 また,譲受人としては,安易に表明保証に頼り,表明保証がされていれば違反があっても金銭的に解決できるから安心だと考えるのではなく,きちんと購入前にデュー・デリジェンス(DD)をしなければならないことは言うまでもありません。

 

Irrespective of the reason(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Irrespective of the reasonがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「理由にかかわらず」という意味で使用されます。

 

 このIrrespective of the reasonは,否定文でよく使用されます。

 

 例えば,Licenser will not refund any royalties recevied from Licensee irrespective of the reason.(ライセンサーは,ライセンサーから受領したロイヤリティを理由にかかわらず返金しない。)などとして,英文契約書では使用されます。

 

 一度受け取ったロイヤリティは,たとえ,ライセンサーが何らかの契約不履行をし,ライセンシーからライセンス契約を解除されたような場合でも,受け取ったロイヤリティは返さないという内容になります。

 

 こうした「理由にかかわらず」,「理由を問わず」というような表現は,非常に強い表現です。

 

 前述の例でいえば,ライセンサーに非が認められるような場合は,ロイヤリティの返金があってもよさそうなものです。

 

 そういう返金が認められても良さそうな場合であったとしても,一切返金しないという強い否定表現をしたいときに,このIrrespective of the reasonという表現を使用することがあります。

 

 もちろん,「一切返金しない」という意図で,Irrespective of the reasonという表現を使用して英文契約書を取り交わしたとしても,そのまま効力が生じるとは限りません。

 

 あまりにひどい理由があっても,絶対に返金が認められないということになると,ライセンサーに一方的に有利になってしまうので,裁判所が,ある程度返金を認める解釈を取るということはありえます。

 

 ただ,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際には,Irrespective of the reasonのような一切を否定するような強い表現が登場した場合,注意したほうが良いでしょう。

 

Settle, settlement(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Settle, settlementがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,「(紛争の)解決/和解」または「精算」という意味で使用されることが多いです。

 

 紛争を予防するために,予め契約書を作成するのですが,残念ながら,それでもトラブルや紛争というのは起こってしまうことがあります。

 

 そうなった際に,まず契約当事者がすべきは,話し合いです。

 

 決していきなり裁判などを考えてはいけません。

 

  裁判などは,時間も費用もかかりますし,結論は不透明です。

 

 また,判決に至るとなれば,相手も最後まで争って喧嘩状態が続いたということですから,判決の内容に素直に従わない可能性があります。

 

 さらに,勝ったとしても上訴される可能性もありますし,きちんと判決に従わないのであれば,外国で強制執行をするという極めてハードルの高い手続きも待っているということになりかねません。

 

 したがって,まずは,トラブルになったとしても,お互い冷静になれることは冷静になり,話し合いで解決することを目指すべきです。

 

 契約書にも,いきなり訴訟提起してはならず,まずは当事者が話し合いをして,一定期間に任意で解決できない場合にはじめて裁判を提起できるとされていることもあります。

 

 また,法律で似たような内容が定められていて,最初から訴訟を提起することはできないと法律で決まっていることもあります。

 

 このように,まずは話し合いで解決することが善しとされているのです。

 

 そもそも,当事者が合意の上でビジネスを開始してトラブルになった際に,安易に国の制度によってその紛争を解決するという発想は,あまり良いものではないかと思います。

 

 あくまで互いにメリットがあるからこそ,自分の意思で合意に至ったわけですから,紛争時にも他人の力(国の制度など)を借りずに,自主的に解決することを目指すべきでしょう。

 

 判決になるとすると,自分の意思で解決することをいわば放棄し,第三者に結論を委ねてしまうことになります。

 

 こうした態度は,経営者の方の感覚にも馴染みにくいのではないかと思います。

 

 そこで,自分の意思で決められる自主的紛争解決,和解を目指すことになります。

 

 こうした自主的な紛争解決,和解のことをsettlmentと呼んでいます。

 

 前述したとおり,一定の期間当事者が話し合っても紛争を解決できない場合にはじめて訴訟などを提起できるという内容が定められている場合,If the dispute is not settled within the period...(もし当該紛争がその期間中に解決できなければ…)などとしてsettleという用語が使われます。

 

 また,もう一つの意味として,お金の精算や決済という意味でも使われます。

 

 お金の話が出てきていて,settle, settlementという用語が使われていれば,請求書を締める,決済する,清算するというような意味合いで使われていることが多いです。

 

 当然ですが,契約書でお金の話題が出ていれば,それは重要な内容です。

 

 いつ決済されるのか,支払われるのか,精算されるのかというのは重要な内容です。

 

 また,相殺については,英米など国の法律によっては単に当事者が「この売掛とこの買掛を相殺する」と訴訟外で意思表示しただけでは相殺ができないということがあります。

 

 そのため,一方的に相殺するという決済手段を取れないということもあるので,決済方法については,明確に契約書に記載しておくほうが良いでしょう。

 

 Settle, settlementは多義語ですが,英文契約書で使用される場合は,だいたい,前述した紛争の「解決/和解」という意味か,お金の「精算/決済」という意味で使用されると理解して良いでしょう。

 

At any time(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,At any timeがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「いつでも」という意味で使用されます。

 

  よく見かけるのは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)のような,ある程度の期間継続する契約の中途解約条項の中です。

 

 中途解約とは,契約期間中に,相手方に契約期間の途中で契約を解約することを通知して,途中で契約を終了させることを指します。

 

 英語では,termination without causeと呼んだりします。

 

 Terminationは契約の終了・解除という意味で,without causeは理由・原因なくという意味です。

 

 つまり,特に理由がなくとも,契約を終了させられる=中途解約条項ということになります。

 

 この中途解約は,中途解約することを相手方に通知して,即時に契約を終了させられるとなると,相手方に不利益が大きいです。

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)において,サプライヤーが突然中途解約を通知し,直ちに契約が終了するとなると,販売店は抱えている在庫の問題がありますし,プロモーションなどをどうすればよいのか,窮地に立たされます。

 

 そのため,通常は,終了までに一定期間の猶予をもって通知し,突然の解約は認めないと定めます。

 

 このように,中途解約の効果が,中途解約の通知と同時に即時に生じるとすると,相手方当事者には不意打ち的になり,不利益が大きいので,普通は即時の解約は認められていません。

 

 ただ,中途解約の通知自体は,契約期間中のいつでも出せるということが普通です。

 

 この,中途解約の通知を「いつでも」出せるというときに,at any timeがよく使用されます。

 

 例えば,Supplier may terminate this Ageement withou cause at any time by giving written notice at least...(サプライヤーは,少なくとも…書面により通知することによって,理由がなくても,いつでも本契約を解約することができる)などとして使用されます。

 

 いつでも契約を解約できる中途解約条項は,かなり影響力があります。

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)のような継続的な契約では,ある程度の契約期間が設けられることが通常です。

 

 販売店からすれば,ある程度の期間ビジネスをさせてもらえないと,利益が出ず,販促コストなどの投下資本の回収ができないためです。

 

 そのため,最初は1年から5年くらいの契約期間が設けられ,その後は問題なければ更新していくと定められることが多いです。

 

 こうしたまとまった契約期間が定められているにもかかわらず,契約期間中にいつでも,理由なく契約を途中で解約できるという内容ですから,特に販売店には不利益が大きい場合があるわけです。

 

 そのため,継続的な契約の契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に,この中途解約条項が挿入されている場合は,主にこれによって不利益を受ける当事者は,中途解約条項を受け入れるかどうかも含めて,慎重に検討する必要があります。

 

 理由なく解約できる中途解約条項ではなく,相手方に契約違反などの落ち度がある場合に契約を解除できるという条項は,termination with causeと呼ばれます。

 

 継続的契約では,理由のない中途解約条項ではなく,このtermination with causeのみで対応するようにするというのも一案です。

 

 ある程度の期間契約が継続しないと意味がないという場合は,せっかく英文契約書に設けた契約期間が意味がないということにならないように,中途解約条項の採用については慎重に検討したほうが良いことがあります。

 

 このように,at any timeという英文契約書用語は,重大な利害関係を持っている可能性があるので,この用語を含んで条項には,注意をする必要があるといえます。

 

Need to know(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Need to knowがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「知る必要がある」という意味で使用されます。

 

 このNeed to know(ニードトゥノウ)が最もよく使われる契約書は,秘密保持契約書(None-Disclosure Agreement)(NDA)です。

 

 このNeed to know(ニードトゥノウ)という英文契約書用語が,NDAで使用されるときは,主に秘密情報を開示できる範囲を規定する場合です。

 

 企業が何らかのビジネスを共同で行うという場合に,その可能性を探るために,自社の秘密情報を相手方に開示して,交渉を行う際に締結されるのがNDAです。

 

 NDAでは,開示される情報の内容うち,何が秘密情報に当たるのか,そして,その秘密情報をどのように管理しなければならず,どの範囲に開示して良いのかなどが取り決められます。

 

 この秘密情報を開示できる範囲を指定する際に,Need to know(ニードトゥノウ)という表現がよく使われます。

 

 企業が秘密情報を交換するときに,NDAを交わし,秘密保持義務を互いに課すわけですが,それでも,色々な理由で情報が漏洩することはありえます。

 

 あくまで,契約書は約束にすぎず,わざとなのかうっかりなのかはさておき,約束を破る人というのは残念ながら存在します。

 

 そのため,当然ですが,契約したから大丈夫,誓約させてから大丈夫というわけではないのです。

 

 ということは,約束に頼るのではなく,やはり,客観的に見て秘密情報の漏洩の可能性が低いという状態を作り出すほうが,秘密情報の漏洩を防ぐには効果的です。

 

 この秘密情報の漏洩の可能性を物理的に狭めるという手法の一つが,Need to know,つまり,その秘密情報を真に知る必要がある人だけが秘密情報にアクセスできるというように,そもそも秘密情報に触れられる人をできるだけ限定するというものです。

 

 例えば,社内のイントラネットで,社員全員が情報にアクセスできるようになっている場合と,その情報を具体的に使用して交渉する必要がある限られた社員のみ紙上の情報にアクセスできるという場合では,自ずと秘密情報の漏洩可能性が異なってきます。

 

 そのため,単に秘密保持契約書(NDA)で秘密保持義務を課すというだけではなく,そもそも秘密情報へのアクセス権者を限定して,物理的に情報漏えいの可能性をできるだけ低くするということも大切なのです。

 

 もっとも,誰がNeed to know(ニードトゥノウ)なのかは,客観的に明らかな判断基準があるわけではありませんので,この規定を入れたからといって,100%安全だというようなことはありません。

 

 具体的にどの部署のどのポジションにいる人間しか秘密情報を共有できないなど,より具体的に秘密情報へのアクセス権者を限定するほうが安全性は増すでしょう。

 

 秘密保持契約書に限りませんが,契約書を締結する際は,約束させたのだから大丈夫という考えではなく,約束しても破る人はいるのだから,約束を破る人であったとしても,安全である体制はどういうものだろうかという視点を持つことも大切です。

 

 秘密保持契約書を締結しても,約束を破られ,開示した情報が外部に流出したり,相手方が自己の利益に不正使用したりしたとしても,大丈夫な状態,例えば,ブラックボックスになった情報が別にあり,流出・不正使用された情報だけでは,自社のノウハウは完結しないなどという状態があれば,強いわけです。

 

 契約書に頼り切るのではなく,物理的にリスクを低減しておくということは,非常に重要なので,どのような場合でも常に意識しておく必要があります。

 

Collectively(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Collectivelyがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「総称して」という意味で使用されます。

 

 英文契約書では,定義条項(Definition Clause)が設けられることが多いです。

 

 このcollectivelyは,英文契約書の定義の条項でよく登場します。

 

 なぜ,契約書において用語を定義するかというと,複数回登場する概念を常に同じ意味で使用したい,登場するたびに用語の意味を説明をしていると文章が長くなって理解が難しくなるので,表現を簡易にしたいなどという要請があるからです。

 

 契約書において,定義は重要です。英文契約書では,定義された用語は,最初の頭文字を大文字にしたり,用語全体を大文字にしたりします。

 

 一度定義をしたら,同じ意味を表す場合は,同じ用語を統一的に使用します。

 

 これにより何度も説明する必要がなくなりますし,定義された条項を使用していれば,その定義どおりの意味になりますので,意味を誤解したりする危険も少なくなります。

 

 定義する場合は,"XX" means...という方法もありますし,条文を普通に書いていて,途中で,日本語でいうところの(以下「XX」という。)というように,(hereinafter referred to as "XX")などと定義づけることもあります。

 

 後者の方法で英文契約書で用語を定義するときに,collectivelyがよく使われます。

 

 これは,併せて総称する場合には,"XX"と表記しますという文脈で登場します。

 

 例えば,売主はSellerと呼び,買主はBuyerと呼び,各当事者はPartyと呼び,両者を「総称して」Partiesと呼びますというような表現をする際に,collectivelyを使用します。

 

 対義語は,individuallyとなります。Individuallyに呼ぶ場合は,Partyと単数になり,collectivelyに表記する時は,Partiesとなりますと使うわけです。

 

 なお,一度定義した用語は,必ず同じ表記で統一的に使用することが大切です。

 

 定義した用語が,大文字で登場したり,小文字で登場したりすると,小文字にしたときは意味が異なるのかという疑問を生じるおそれがあるからです。

 

 もちろん,例えば,Partyというのが契約当事者のことを定義したもので,契約書において第三者を,third partyと表記するのは問題ないです。

 

 なぜなら,契約の当事者ではない第三者を表記しているので,定義が当たらないからです。

 

 これを,third Partyとするのは,定義された用語は,契約当事者ですから,おかしいということになります。

 

 問題なのは,定義された用語と同じ意味を表したいのに,定義された表記と異なる表記をしてしまう場合です。

 

 ただ,定義された用語を大文字で統一的に使用していない契約書というのは結構な確立で見ます。

 

 ドラフトしてい過程でつい忘れてしまうということなのでしょう。自分は意味がわかって書いているので,気づかないでそのまま大文字と小文字が混ざってしまうということなのだと思います。

 

 通常は,これで大きな誤解につながって,大きな問題を生じるということはないとは思いますが,できれば統一的に使用したほうが良いでしょう。

 

 なお,大文字を小文字にうっかりしてしまったという場合は,文脈から正しく理解してもらえることが多いとは思いますが,つい定義した用語と異なる用語を使ってしまったとなると,問題を生じる可能性が高くなってしまいます。

 

 例えば,"Client" means...として,Clientという用語を定義していたのに,つい契約書を書いていく過程で,頭の中で,customerと表記してしまったというような場合です。

 

 こうなると,customerは別の単語ですので,Clientとは別の意味で使用している,別の用語だと主張され,何らかのトラブルに発展する可能性が高くなります。

 

 このようなことがないように,一度定義された用語は,統一的に使用することを心がけると良いでしょう。

 

 ワードの検索機能などを使って,別の単語で書いてしまっていないか,大文字で統一されているかなどをチェックするのも良いでしょう。

 

By...(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,By...があります。

 

 これは,英文契約書において,様々な意味で使用されますが,期日を表す意味で使用された場合は,「…までに」という意味で使用されます。

 

 期日を表す表現としてby...が使用された場合,...の部分には日付が記載されます。例えば,「3月31日(31 March)までに」などと英文契約書では表記されます。

 

 では,上記の例の場合に,3月31日当日は含まれるのでしょうか。

 

 例えば,売主が買主に対して商品を3月31日までに引き渡さなければならないとされていた場合に,売主が3月31日ぎりぎりに納品した場合,売主は契約違反をしたことになるのかということで,by...の日付に当日がふくまるのかどうかが問題になります。

 

 一般に,by...の日付は,当日を含むと解釈されています。

 

 そのため,上記の事例では,売主は納期までに買主に対して商品を引き渡していることになりますので,契約違反にはならないということになります。

 

 これに対して,before...という表現を英文契約書で使用した場合は,...の日付の当日は含まれないことになります。

 

 そのため,上記事例では,今度は,売主は納期遅延をしたことになり,契約に違反したということになります。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際に,期日を表す表現は大切です。

 

 期日までに行動しなければ,契約違反で損害賠償債務を負ったり,権利を喪失してしまったりという重大な不利益を受けるおそれがあります。

 

 そのため,期日を表すby...やbefore...,within...などの英文契約書用語が登場した場合は,その内容を精査することが大切です。

 

 なお,by...と同じ内容をbefore...を使用して表現する場合は,on or before...という表現を使用すれば良いことになります。

 

 On...の場合,...の日付の当日を意味しますので,これとbeforeを組み合わせることにより,by...と同様に当日を含んだ表現にすることができます。

 

 したがって,on or before...とした場合も,上記の事例では,売主は期日までに商品を引き渡していることになりますので,契約違反にはならないということになります。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際に,by...やbefore...という表現を使用すると,「あれ,当日を含むんだっけ?」といちいち調べ直すということになりがちです。

 

 そのため,英文契約書において期日を表現したいときは,読んですぐに意味がわかる,on or before...という表現に統一するなどの工夫をしておくと時間を浪費せずに済むかもしれません。

 

 英文契約書で最も大切なのは,当事者が合意した内容を漏らさず,確実に記載することです。

 

 そのためには,最もストレートに意味が伝わり,相手方も誤解しにくい表現を選択し,同じ意味を表したいなら愚直に同じ表現を繰り返し使用するということは正しい姿勢です。

 

 英文契約書は,小説ではありませんので,美しい表現は不要です。

 

 英語表現は,繰り返しを嫌うなどと学校で習ったかもしれません。

 

 ただ,ここで扱っているのは契約書です。

 

 英語表現としての自然さや美しさ,流暢さよりも,誤解を与えない,複数の解釈の余地を残さない,正確であるということのほうが価値が高いです。

 

 この点は,英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際に常に意識しておくべきポイントになります。

 

Substantive law(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Substantive lawがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「実体法」という意味で使用されます。

 

 Substantive law(実体法)というのは,日本法でいうと,民法や商法などの法律のことです。

 

 権利義務の内容や発生要件,消滅や変更に関するルールが定められています。

 

 対義語は,Procedural law(手続法)となります。

 

 これは,まさに手続きに関する法律のことで,日本法でいえば,民事訴訟法や刑事訴訟法が該当します。

 

 英文契約書では,準拠法(Governing Law/Applicable Law/Choice of Law)を選択して明記することがありますが,ここでいう準拠法というのは,通常,Substantive law(実体法)のことを指しています。

 

 Procedural law(手続法)のほうは,例えば,Jurisdiction(裁判管轄)を日本と選択していれば,自動的に,日本の裁判所は民事訴訟法にしたがって訴訟を指揮・運営するので,日本の民事訴訟法というProcedural law(手続法)が選択されることになります。

 

 Procedural law(手続法)は,あくまで,裁判の進行などについて定めた法律なので,日本の裁判所であれば,日本の民事訴訟法にしたがって裁判が進行することになるからです。

 

 そのため,例えば,日本の裁判所において準拠法を英国法で裁判をするということは理論上成り立ちます。

 

 しかしながら,日本の裁判所において,準拠法を日本法にして,英国の民事訴訟法にしたがって裁判をするというのは不可能ということになるわけです。

 

 このように,Substantive law(実体法)とProcedural law(手続法)というものは,まったく別次元のルールを定めた法律であるということを理解しておく必要があります。

 

Notify(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Notifyがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「通知する」という意味で使用されます。

 

 類義語としては,informが挙げられます。

 

 海外企業と何らかの取引関係に入る場合,いろいろな場面で当事者間で書面やメールによって通知をするということになります。

 

 通知の種類もいろいろとあります。例を挙げましょう。

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などでは,サプライヤーが,自社商品が第三者の知的財産権を侵害しないことを保証するということがあります。

 

 この場合,もし,サプライヤーの商品が他社の知的財産権を侵害しているとして販売店がクレームを受けたとき,サプライヤーの責任と費用負担にてクレーム対応をすると販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)に定められていることがあります。

 

 そうすると,サプライヤーとしては,仮に第三者から,第三者の知的財産権を侵害しているというクレームが販売店に対して出された場合,そのクレームに対してサプライヤーが対処するということになります。

 

 そのため,サプライヤーとしては,クレームが大きくならないうちに,速やかに適切な対処をしたいと考えるでしょう。

 

 ところが,知的財産権を侵害されたとクレームをする第三者としては,外国サプライヤーではなく,自国内に存在している販売店にクレームを行うのが通常でしょう。

 

 そうすると,サプライヤーが第三者のクレームの事実と内容を知るのが遅れてしまうということになります。

 

 クレームの存在とその内容の認識が遅れれば,それだけクレームが大きくなり解決が難しくなるおそれもあります。

 

 そのため,サプライヤーとしてはこのようなクレームがあった場合,できるだけ速やかにその存在と内容を知りたいと考えるでしょう。

 

 このような観点から,販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)では,商品について第三者から知的財産権を侵害するとのクレームが販売店になされた場合,販売店は速やかにサプライヤーに対し,クレームの事実とその内容を通知しなければならないと定めることがあります。

 

 Distributor shall promptly notify, in writing, Supplier thereof if...(販売店は...の場合,速やかにサプライヤーに書面でその旨を通知するものとするなどとして,notifyが使用されます。

 

 その他にも,英文契約書で重要な通知は,契約解除の通知が挙げられます。

 

 なお,このような通知の規定を設ける際には,通知をどのような方法で行うのかを定めることも大切です。

 

 ボイラープレート条項で,Notices(通知)というものがあり,この条項でまとめて定めることもありますし,各条項で定めることもあります。

 

 通常,in writingという表現を契約書ですると,書面による通知を意味し,電子メールは含まないということになると思います。

 

 ただ,海外取引では,物理的距離が遠く書面を郵送するとなると時間もかかりますし,郵送事故も起こりやすくなります。

 

 そのため,電子メールでも通知を有効にするということも実務ではよく行われています。

 

 その場合は,英文契約書における通知を電子メールでも可能とする旨を規定しておくのが無難です。

 

 通知の種類によって,通知方法を変えるということもあります。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に,通知をめぐる内容は重要ですので,notifyという用語が出てきたら,その内容と通知方法などをチェックする必要があります。

 

Successively(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Successivelyがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「継続的に/引き続いて」という意味で使用されます。

 

 あまり見かけないですが,類義語としては,continuouslyが挙げられるかと思います。

 

 契約書では,一定の行為が何回予定されているのかということを明確に記載することが大切です。

 

 例えば,契約書に記載された金銭の支払いが一回限りなのか,それとも,複数回継続的に予定されているものなのかということが重要なのはすぐに理解できると思います。

 

 また,契約期間が定められている場合に,契約期間が満了しても,契約の更新が予定されている場合にも,更新が一回だけ予定されているのか,それとも複数回予定されているのかは,重要です。

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などでは,特に販売店(Distributor)側としては,コストをかけて商品の販路開拓,広告宣伝をしていくわけですから,短期で契約が終了してしまっては,損益分岐点に到達せず,投下資本が回収できないという事態もありえます。

 

 そのため,販売店(Distributor)にとっては,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の期間が長期間で定められているか,短期間である場合は,長期にわたる更新が予定されているかが重大な関心事になります。

 

 反対に,サプライヤー側からすれば,特に独占販売権を渡す独占販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)の場合には,販売店(Distributor)の実績がなく,パフォーマンスが計れない中で,最初から長期間の契約をすることは,できれば避けたいところでしょう。

 

 そうすると,最初の契約期間は短くしておいて,販売店(Distributor)の実績次第では,契約を更新しても良いと考えるかもしれません。

 

 このような場合に,契約の更新が何回予定されているのかということが重要になってきます。

 

 契約の更新回数は,販売店(Distributor)からすれば,自社の投下資本を回収し,損益分岐点を超えて,継続的に利益を上げられるかどうかという問題ですので,前述したとおり当然の関心事です。

 

 サプライヤーからすると,最初から契約の終了時期を設定したいという場面はあまりないかもしれませんが,例えば,自社が何年後かにその地域で販売展開をすることが決定していて,それまで,この会社に独占販売店として売ってもらうというような場合には,最長何回までの更新と定めたいということがありかもしれません。

 

 このように,契約の更新一つとっても,一回限りを予定しているのか,それとも,複数回なのか,複数回だとして,無制限なのか回数制限があるのか,などは重要なテーマです。

 

 この契約期間および契約の更新条項に,successivelyという用語があれば,「その後も引き続き」という連続性を表すので,更新は一回限りということではなく,複数回予定されていることがわかります。

 

 そして,英文契約書に更新の回数や契約の絶対的な終了時期については言及がなければ,通常は,無制限に更新が繰り返されるということになるかと思います。

 

 ただ,普通は,当事者の一方が相手方に対して更新をしない旨を通知しない限りはというような条件がついています。

 

 そのため,上記のような更新拒絶の通知がなされない限りは,契約は無制限に更新されるということになることが多いと思います。

 

 もし,最大何回までの更新,最長いつまでの契約期間としたいということであれば,契約の更新回数や契約期間の絶対的な満了日を,英文契約書に明確に記載することになります。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,こうした回数が重要な条項というものがありますので,何回予定されているのかが一義的に明らかになっているか十分に確認する必要があります。

 

Compensation(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Copmpensationがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「補償・賠償」という意味で使用されます。

 

 何らかの価値が減った,つまり,損害となったものを穴埋めして補填するというような意味合いでこのcompensationは使われます。

 

 動詞はcompensateです。これは,「補償する・賠償する」という意味で英文契約書で使用されます。

 

 ただ,英文契約書では,補償・賠償という意味で使う用語は,このcompensateやcompensationという用語より,indemnify・indemnificationという用語を使うほうが多いかと思います。

 

 英文契約書では,契約書の目的を達成するために生じる責任の負担について予め取り決めるということがよくあります。

 

 その際に,相手方の行為によって自社が損害を蒙るということがあった場合,その損失に関する責任は相手方に負担させるという意味合いで,indemnify・indemnificationという用語が英文契約書ではよく使われます。

 

 Compensate・compensationという用語は,責任がないという免責条項でよく見られます。

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などの長期的な契約では,販売店(Distributor)が,サプライヤーの商品を販売展開するために,販促活動や広告宣伝活動などに資金と努力を投下します。

 

 これによって,販売店は(Distributor)は,商品のブランド力や販路など目に見えない価値(暖簾代)を資産として獲得していくことになります。

 

 これの目に見えない価値を,英文契約書では,Goodwillと呼んだりします。

 

 ところが,サプライヤーが,今度は現地法人を作って,現法で商品を販売展開していきたいとして,長年続いていた販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を,解約したとします。

 

 そうすると,販売店(Distributor)としては,これまで投下した資本や時間で獲得した資産が水疱に帰することになってしまいます。

 

 販売店(Distributor)これについての損失を補填してほしいと考えることがあります。

 

 こうした補償のことを,英文契約書では,compensation for goodwillと呼んだりします。

 

 サプライヤーとしては,このような補償をするとなると,事実上,契約を終了させることができないのと同じような結果になりますし,補償額も多額になる可能性があるので,通常,このような補償を受け入れることは難しいでしょう。

 

 そのため,販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)では,このcompensation for goodwillについては,サプライヤーは免責されるという免責条項を入れることが多いです。

 

 この場面で,compensate・compensationという英文契約書用語が使われることがあります。

 

 ただし,中東の一部の国などの法律では,このようなcompensation for goodwillの免責を認めていないことがあります。

 

 このような国の法律が強制的に適用されると,英文契約書でcompensation for goodwillについては免責されると定めていても,無効になってしまいます。

 

 また,このような国の法律により,サプライヤーが補償金の支払いを強制される場合,補償金額も数年分の利益などとされるケースもあり,多額に上る可能性がありますので,注意する必要があります。

 

Commence(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,Commenceがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「開始する」という意味で使用されます。

 

 何らかの手続を開始するとか,交渉を開始するとか,そうした内容を英文契約書に定める際には,このcommenceという用語がよく使用されます。

 

 Commenceという用語を使用する際の注意点としては,この用語はあくまで「開始する」ということを述べているに過ぎないので,開始した後にどのようになるのか,どのようにすべきなのかについてもきちんと考えておかないといけません。

 

 例えば,販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)で,販売店がいつまでに販売店としての登録手続きを開始しなければならないと英文契約書で定めたとします。

 

 Distributor shall commence the procedure of...などとしてcommenceが登場することになります。

 

 この内容は,あくまで,販売店としての登録手続きを開始するということしか義務付けられていません。

 

 そのため,手続きを開始しさえすれば,登録ができるかどうかは関係ないですし,登録手続きをいつまでに完了するかも関係ないということになります。

 

 したがって,登録の成果によって何か取扱いを変えるのであれば,そのことも契約書に記載する必要があります。

 

 また,登録手続きをいつまでに終えなければならないという事情もあるのであれば,そのことも契約書に記載しなければなりません。

 

 もう一つcommencementをよく使用する例を挙げると,当事者間で紛争が生じた場合の交渉の方法について英文契約書で規定する場合です。

 

 例えば,最初は,不満のある当事者が他方当事者に書面で通知し,他方当事者が通知を受領してから〇〇日以内に取締役同士が交渉を「開始する」というような内容で,commenceが使われます。

 

 この場合も,前記の例と同様に,交渉を開始しなければならないとだけ契約書に記載していると,交渉を開始すればよいのであって,誠実に交渉しなければならないとか,何回話し合いの機会を持たないといけないとか,いつまで交渉期間を設けなければならないとかについては,いずれも触れられていないということになります。

 

 そうなると,クレームの通知を受けた相手方としては,交渉の場に一度ついて,すぐに交渉を決裂させても何ら問題はなく,契約書違反にならないという解釈ができる可能性があります。

 

 これを避けるためには,交渉を開始した後に,誠実に交渉をする義務(Good Faith)を規定し,交渉期間も設定し,交渉期間が終了すれば,その後のステージ(代表者同士の交渉や法的手続き)に移行することを契約書で規定する必要があります。

 

 このように,commenceというのは,開始するということしか意味しないことになりますので,その後のことを契約書に規定することを忘れてしまうと,あとで大きな問題になる可能性があります。

 

 開始があれば,終了があるはずで,開始した後にどこで着地させるのか,いつまでにどう着地させるのかということも併せて考えておく必要があります。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際には,一定の行為を開始しただけで,要件を満たしてしまい,契約違反とはならないという主張がなされないよう,意識しておかなければなりません。

 

Goods(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Goodsがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「商品」という意味で使用されます。

 

 目に見えないサービスや権利などは含まず,目に見える商品を指します。

 

 同義語には,productsがあります。英文契約書で使用される用語としては,productsのほうが使用頻度が高いと思います。

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)売買契約(Sales Agreement)製造委託契約(Manufacturing and Supply Agreement)などで,このgoodsという用語が使用されます。

 

 当然ですが,goods(商品)は,契約の目的物そのものである場合が多いので,goodsに関する契約条項は非常に重要です。

 

 例えば,goodsの品質,納期,危険性などについては,事前に十分に検証し,これらに関連して生じうるトラブルを予め予測して英文契約書で規定しておかなければなりません。

 

 品質であれば,メーカーは,どのレベルで品質保証をするのか,保証期間はいつまでにするのかなどを交渉し,契約書に記載します。

 

 また,納期は,特に海外取引では,メーカーとしては納期の保証をすることが難しいということもありますので,リードタイムや納期をどうするのか,納期遅延の場合の責任はどうするのかについても十分に審査し,契約書に定めます。

 

 さらに,商品の危険性についても考えておく必要があります。

 

 その商品に何らかの欠陥があった場合,人の生命や身体に危険が及ぶという性質を持っている商品だとすると,メーカーが製造物責任法(PL法)上の責任を負う危険性が高まります。

 

 例えば,医療機器,自動車などの乗り物の部品,電化製品,玩具などがこれに該当します。

 

 こうした製造物責任については,通常,法律で定められており,メーカーが最終的な責任を回避するのは難しいですが,リコールなどに備えて,顧客からクレームが来た場合の対処方法などについて,契約書で規定します。

 

 また,契約当事者間で,製造物責任が生じた場合に,どちらの当事者がどのような責任を負担するのかという取り決めをすることもあります。

 

 なお,goodsの売買を行う場合は,ウィーン売買条約(UN Convention on Contracts for the International Sale of Goods)(CISG)という条約が適用されることがありますので,この点にも注意が必要です。

 

 日本もCISGの加盟国ですので,海外取引でgoodsを売買する場合は,このCISGをどうするかについて検討し,契約書で定めておく必要があります。

 

 CISGは,契約書で定めておけば,適用も排除できます。知らずにCISGが適用されることになっていたということがないように注意する必要があります。

 

 CISGについてはこちらの記事で解説しています。

 

 このように,goodsはまさに契約の目的そのものであることが多いですから,goodsを巡って様々な問題を生じえます。

 

 Goodsに関してどのような問題が将来起こりうるかを想像して,契約書で事前に手当しておくことが大切です。

 

Sales Lead(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Sales Leadがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「潜在顧客網」というような意味で使用されます。

 

 そのままセールスリードと和訳されることもあります。

 

 要するに,営業をかける潜在顧客リストというようなニュアンスです。

 

 例えば,代理店契約(Agency Agreement)では,代理店が海外メーカーの商品を小売店や卸しに対し営業していきます。

 

 この際に,メーカーの顧客リストに直接営業することは禁止したいという場合があります。

 

 この場合は,メーカーが持っているSales Leadには,メーカーの事前承諾なく営業することを禁止するというような一文が英文契約書に挿入されることがあります。

 

 日常用語ではLeadという用語をこのような意味で使うことは珍しいですが,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)や代理店契約(Agency)では,営業先・顧客網というような意味合いで使用されることがよくあります。

 

 たまに誤訳されている和文契約書を見かけますので,意味を取り違えないように正しい意味を把握しておく必要があります。

 

Construe, interpret(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Construe, interpretがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「解釈する」という意味で使用されます。

 

 このConstrue, interpret最もよく登場するのは,Governing law/Choice of law/Applicable law(準拠法)条項です。

 

 準拠法条項とは,その契約をめぐって問題が起きた場合,どの国の法律に従って契約を解釈するかを定めたものです。

 

 この条項の中で,どの国の法律によって解釈されるかということを表す英文契約書用語として,Construe, interpretが頻繁に登場します。

 

 This Agreement shall be governed by and construed (interpreted) in accordance with the laws of Japan.(本契約は日本法に準拠し、日本法に従って解釈されるものとする。)
などと,英文契約書では使用されます。
 
 
 Governing law/Choice of law/Applicable law(準拠法)条項は,英文契約書では非常に重要な条項です。
 
 

 契約をめぐり問題が起きた場合に,理解が容易な自国の法律が適用されるとなれば非常に有利なのはおわかり頂けると思います。

 

 また,自国の法律であれば,専門家である弁護士も見つけやすいですし,母国語で対面で相談もしやすいということになります。  
 
 
 これが相手の国であれば,言語も異なり,遠い異国の地で時差もあるので気軽に相談できないということになってしまいます。  
 
 
 そのため,基本的には,Governing law/Choice of law/Applicable law(準拠法)は,自国の法律とするのが有利といえるでしょう。
 
 
 ただし,それは相手も同じですので,Governing law/Choice of law/Applicable law(準拠法)をどこの国にするかは,交渉でよく揉める点でもあります。
 
 
 さらにいうと,Governing law/Choice of law/Applicable law(準拠法)をどこの国の法律にするかは,Jurisdiction(裁判管轄)やArbitration(仲裁)をどこの国にするのかとも密接に関わります。
 
 
 例えば,自社が契約相手に対し金銭支払いについて訴訟を起こす可能性が高いというような場合,
あえて相手の国の法律に従い,相手の国で裁判をするという条項にしておいたほうが良いこともあります。
 
 
 日本で裁判をして勝訴しても,相手方が素直に金銭を払わない場合,その判決に基づいて相手方の国で強制執行するというのは,手続が大変で非常に時間とお金がかかってしまいます。
 
 
 これに対し,現地の裁判所で判決をもらい,現地で強制執行ができれば,現地の弁護士に依頼してスムーズに行ってもらえます。
 
 
 したがって,上記のような場合は,かえって,日本よりも相手方の国の法律に従い,相手方の国で裁判するとしていたほうが有利になることがあるわけです。
 
 
 このように,どこの国の法律に従って契約書を解釈する(Costrue, interpret)かは,どこの国で裁判や仲裁をするかともあいまって,非常に重要なテーマとなります。
 
 
 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,これらの点に十分に注意しなければなりません。
 

Imply(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Implyがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「黙示に伝える」という意味で使用されます。

 

 反対語は,「明示的に伝える」なので,Expressという用語が使用されます。

 

 契約を締結するときや,何かについて合意する時に,明示的にするのか,黙示的にするのかという違いがあります。

 

 よく「暗黙の了解」といいますが,これが黙示に合意するという意味に近いです。

 

 国の法律によっては,例えば,その商品について何も言わずに販売すると,黙示的に,一定の保証をしたことになるというルールを定めていることがあります。

 

 このような黙示的な保証(Implied Warranty)を排除して,保証をしないということを英文契約書に明記する際に,このImplyがよく登場します。

 

 「あのとき何も反論せずに取引をしたのだから,黙示に合意したのだ。」などとあとで主張されることがないように,合意した事項はすべて契約書に記載し,それ以外の合意はExpressであれ,Impliedであれ,一切存在しないということを確認(Entire Agreement)しておくことも大切です。

 

 このように,合意したのかどうかは,必ずしも書面などにより明示的にされているかどうかだけで決まるものではないので,特に使用言語や文化が異なる国際取引では,注意が必要です。

 

Discharge(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Dischargeがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「(義務を)履行する」という意味か,または,「(〜を義務から)解放する・免責する」という意味で使用されます。

 

 義務を履行するという意味の場合は,Service Provider shall discharge its obligations(受託者はその義務を履行する)などと表記されます。

 

 Perform its obligationsとしても,「義務を履行する」という意味になります。

 

 他にも,Carry outも「義務を履行する/実行する」という意味で使用できます。

 

 英文契約書で,Dischargeを使用する際に注意しなければならない点は,Dischargeには,前述した通り,「義務から解放する」「免責する」という意味がありますので,義務を履行させようと記述したのに,義務から開放されるように解釈されないようにしなければならないということです。

 

 例えば,discharge Service Provider from its obligationsという表記は,サービスプロバイダーをその義務から解放するという意味です。

 

 他にも,義務から解放するという意味で使用される英文契約書用語には,Releaseがあります。

 

 ReleaseはよくDischargeとセットで使用されて,Release and Dischargeという形で「(義務などから…を)解放する」という意味で登場します。

 

 言うまでもないですが,Dischargeが「履行する」という意味で使用されているのか,「義務などから解放する」という意味で使用されているのかを区別することは,全く意味が異なるので非常に大切です。

 

 通常,表現で理解できるとは思いますが,万一わかりにくい場合は,専門家の意見を聞いたりして,意味を明確にするようにしましょう。

 

 例えば,「義務を履行する」のほうなのであればPerformを使用したり,「義務から解放する」のほうなのであればReleaseと併せて使用したりという具合です。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際にも,どちらの意味でDischargeを使用しているのか正確に判断しないと,大きなミスに繋がります。

 

 言うまでもないですが,義務の履行や,義務からの免責についての内容は,契約書上重要な意味を持っています。

 

 Discharge,Perform,Carry outなどの英文契約書用語が登場した場合は,義務に関する内容が含まれている可能性が高いので,注意深く検討する必要があります。

 

General Release(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,General Releaseがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「(請求権の)放棄」という意味で使用されます。

 

 このGeneral Releaseという用語がよく登場するのは,和解契約書(Settlement Agreement)です。

 

 国際取引でトラブルが起こることはめずらしくありません。

 

 納期遅延,保証違反,代金遅延などのトラブルは,国内取引に比較して海外取引のほうが頻繁に起こるといえるでしょう。

 

 文化や商慣習が異なるので,必ずしも日本の常識が通用しないからです。

 

 このような場合に備えて,仲裁(Arbitration)や,裁判管轄(Jurisdiction)などの紛争解決に関する規定が英文契約書には設けられています。

 

 しかしながら,いきなり仲裁や訴訟を申し立てるということはほとんどありません。

 

 通常は,仲裁や訴訟をする前に当事者間で話し合いが持たれます。

 

 あくまで第三者の力を借りるのは例外であり,まずは当事者間でよく解決策を話し合い自主的に解決することがベストです。

 

 それでも解決に至らない場合には,通常各国の資格を持った弁護士(Attorney at law)に依頼します。

 

 弁護士は,英文契約書に書かれた準拠法(Governing Law),紛争解決方法(Dispute Resolution)と契約書の内容,トラブルの内容・経緯を考慮して,相手方の弁護士と弁護士同士で和解を目指して交渉します。

 

 お互い法律のプロである弁護士が付いていれば,最終的には仲裁や訴訟を申し立てることも意識しながら,法的手続きを取った場合の結論やそれにかかるコストや時間を考慮し,「落とし所」を探ります。

 

 そして,「落とし所」をお互いに模索しながら,両者がある程度譲歩(Compromise)しながら,最も妥当な解決策に向けて交渉をします。

 

 国をまたいでの法的手続きは,お互いがコスト面や時間面で相当に疲弊しますから,通常は,この弁護士間の交渉で話がまとまることが多いです。

 

 そして,最後は,お互いが合意した内容で和解契約書(Settlement Agreement)を作成します。

 

 この中で,各当事者が持つ権利義務について合意され,それ以外の請求権はお互いに放棄し,和解契約書に書かれた内容以外には互いに権利義務がないことを確認するのが通常です。

 

 この条項のことを,日本では清算条項と呼び,英語では,General Releaseと呼んでいます。

 

 なお,和解契約書の作成においては,弁護士に相談の上で内容をよく理解したうえで締結しないと,あとでそういうつもりではなかったなどと紛争の蒸し返しが起こりやすくなるので,注意が必要です。

 

 また,和解契約書作成時に認識されていない権利にあとから気づいたというような場合も,あとでトラブルになる可能性があるので,General Releaseをする際には,和解契約書の内容がすべてになる前提で内容を精査しなければなりません。

 

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