Term of office(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Term of officeがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「任期」という意味で使用されます。

 

 Officeが「職務」を表し,termが「期間」を表してていますので,両者を併せてterm of office(任期)となります。

 

 例えば,会社の取締役や監査役などの何らかの職務の任期という意味で,Term of officeという用語が使用されます。

 

 任期は特定の職務の終期を表すので当然ですが重要です。

 

 任期満了により職務の任から解かれるということになりますので,場合によって任期を迎える人と雇っていた会社との間でトラブルになることもあります。

 

 そのため,任期満了時に新たにその職務に就く者の決定方法なども事前に決めておいたほうが良いかと思います。

 

 現地の合弁会社や子会社などで雇っていた人の任期が終了する場合,現地の労働法などが適用されて,その人が法的に一定の保護を受けることもありますので,現地法の調査が必要になるケースもあります。

 

 Termという用語は,英文契約書に登場した場合,一般的に期間を表すため,重要な用語の一つです。

 

 ちなみに,英文契約書でtermsという複数形でtermが登場した場合,多くは「条件」の意味で使われています。

 

 Terms and conditionsという用語を英文契約書ではよく見かけると思いますが,このtermsが「条件」という意味です。

 

 契約の種類にかかわらず,期間は非常に大切ですので,Termという用語が出てきたら何の期間なのか,どのような条件で期間が終了するのか,更新などはないのかなどについて契約書の内容を審査する必要があります。

 

Indefinitely(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Indefinitelyがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「無期限に」という意味で使用されます。

 

 契約の効力や条項の効力を,期間のしばりなく,無期限にしたいということがあります。

 

 その場合に,このIndefinitelyという用語が使われることがあります。

 

 もっとも,契約期間を無期限と定めた場合,準拠法(その契約関係に適用される国の法律)によっては,期間の定めのない契約=いつでも解約できると解釈される可能性があるので注意が必要です。

 

 こうなると,当事者は,Indefinitely(無期限)=永遠に続くというつもりで文言を作成したところ,実際には相手方当事者が契約を解約すると通知してくれば,いつでも契約が終了してしまうとなってしまうおそれがあります。

 

 そのため,契約期間を設けずに,Indefinitely(無期限)と定める場合でも,契約の終了条件は定めておくのが無難といえます。

 

 例えば,各当事者が半年以上前に相手方に対し書面により契約を終了させる旨を通知した場合には終了するなどと定めることが考えられます。

 

 場合によっては,契約の終了を希望する当事者が金銭的な補償をしなければならないなどと定めることもあるかもしれません。

 

 これにより,突如一方的に契約を解約されることを防ぐことができ,万一契約が終了することになったとしても終了までに時間的猶予があったり,金銭的な補償があったりすることになります。

 

 このように,当事者がこういうつもりで定めたという意図と,実際の法的な効果が一致しないということはよくありますので,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には十分に注意する必要があります。

 

 特に,国際取引では,取引先が外国企業なので,準拠法が取引先が属する外国法になる可能性があります。

 

 そうすると,その外国法において当事者が取り決めた内容のとおりの効果が認められるかどうかが日本企業にとって直ちにはわからないということが起こりえます。

 

 この場合,現地の外国法の資格を有する弁護士に事前に確認し,契約書に記載された内容のとおりに効果が生じるかどうかを審査してもらう必要があることもあります。

 

Proxy(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Proxyがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,多義的で,「代理権」「代理人」「委任状」などという意味で使用されます。

 

 プロキシーファイト(Proxy Fight)=委任状争奪合戦という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

 

 これは,株主総会の議決権を代理人が行使できるとされている場合に,株主総会を支配するためにできるだけ委任状を多く集めようとする活動のことをいいます。

 

 株主総会での決議事項に現経営陣とその他に争いがあるようなときに,このプロキシーファイト(Proxy Fight)=委任状争奪合戦が行われることがあります。

 

 この「プロキシーファイト」のプロキシーというのが,今回の英文契約書用語Proxyになります。

 

 上記の例のように「委任状」を指すこともありますし,Proxyが代理権や代理人を指すこともあります。

 

 英文契約書よりも,英文で作成された定款などによく登場する用語といえるかもしれません。

 

 当然ですが,ある人の代理人である主張する人がいる場合,その本人からその代理人に対し代理権が正当に与えられているかをきちんと確認しなければなりません。

 

 最低限委任状の提出を要求することが必要です。

 

 代理権のない代理を「無権代理」といいますが,無権代理の場合,有効に法律行為が生じるかどうかが法律の定めに委ねられることになったりして非常に不安定になります。

 

 特に海外事業では,海外の法律に従って法律行為の有効性を判断することになり,日本法に基づく判断よりもハードルが高くなるでしょう。

 

 そのため,代理を認める場合は,代理権の確認を確実に行うようにする必要があります。

 

Contingency fee(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Contingency feeがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「成功報酬」という意味で使用されます。

 

 弁護士との委任契約(Engagement Letter)などで,成功報酬制を採用するような場合に,このcontingency feeという用語が登場します。

 

 Contingency fee(成功報酬)というのは,例えば,裁判で1,000万円を請求したところ,勝訴判決を得て,800万円勝ったとしたら,800万円の何割かに相当する金額の報酬を得るというような報酬の決め方をいいます。

 

 逆に,成功報酬のケースで,1,000万円請求したもののあえなく全部請求棄却となって敗訴してしまった場合,報酬金はゼロということになります。

 

 成功した(勝訴した)金額を基礎に報酬が決められるので,「成功」報酬というわけです。

 

 成功報酬に対置される概念としては,hourly rate(時間制報酬)があります。

 

 こちらは,1時間あたりいくらという決め方で,業務受託者がその案件で稼働した時間に比例して費用が発生するものです。

 

 前述したcontingency fee(成功報酬)とは異なり,成功(勝訴的和解や勝訴)したかどうかは関係なく,単純に受任者がその案件に対し消費した時間を基準に費用が決まります。

 

 ちなみに,海外の弁護士は圧倒的にHouly rate(時間制報酬)で費用を決めることが多いです。

 

 その案件で動いた時間が費用になるというのはわかりやすいですし,決め方もフェアと言えるので世界で広く受け入れられているのだと思います。

 

 弁護士側からすると,contingency fee(成功報酬)のように,案件に比して金額が少なすぎて大きく損をしたり,逆に案件に比して成功報酬額が高くて大きく儲かったりするということはなく,報酬を計算しやすいというメリットがあるでしょう。

 

 ただ,この場合,弁護士が動けば動くほどお金がかかりますから,依頼者からすると,事前にどの程度の稼働時間を見積もっておくべきかとか,どの程度動いてもらうべきかなどがよく問題になります。

 

 クライアントからすれば,案件の金銭的な価値よりも弁護士の稼働時間=報酬が高くなる見込みが高ければ,費用倒れになるため,少なくとも経済的な観点からは依頼する意味はないということになります。

 

 委任契約などで費用や報酬の決め方は非常に重要な要素なので,どのような計算方法に基づいて発生するのかを事前に精査する必要があります。

 

Indebtedness(英文契約書用語の弁護士による解説) 

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Indebtednessがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「負債(額)」という意味で使用されます。

 

 このindebtednessという用語が英文契約書中でよく使われるのは,期限の利益の喪失条項(feiture of benefit of time clause)においてです。

 

 債務者が弁済金の支払いを期日までにしなかった場合は,残債務(indebtedness)の弁済期が一度に到来して,残り全額を全額直ちに支払わなければならないという内容が期限の利益の喪失条項と呼ばれるものです。

 

 支払債務に弁済期日が設定されている場合,通常であればその日までに支払いをすれば問題ない(遅延損害金がつかない)です。

 

 支払い期限があるのですから,言わば当然のことです。

 

 期限までに債務を支払えばペナルティなど課せられないというのは,債務者に有利ですので,これを債務者に「期限の利益」があると言います。

 

 ただ,期限の利益の喪失条項があると,返済期日を過ぎてしまった場合,その他の債務の弁済期日も全部到来し,すべてを支払わなければならなくなり,そこから債務の支払いを怠ると,遅延損害金がつくということになります。

 

 例えば,50回の分割払いであったところ,10回目の返済期日に支払わずに期限が過ぎてしまったら,その後41回の分割払いはもはやできなくなり,残債務41回分すべてを一気に支払う必要があるということです。

 

 そのため,このindebtednessという用語が出てきたら,金銭債務の取扱いについて書かれているという前提に立ち,その条項の内容を審査する必要があります。

 

Claim for damage(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Claim for damageがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「損害賠償請求」という意味で使用されます。

 

 Claimが日本語でも「クレーム」と言うように「請求」を表し,damageは「損害」を意味しますので,forで繋いで「損害賠償請求」という意味になります。

 

 なお,日本語で「クレーム」というと苦情のようなニュアンスがありますが,英語ではそれはcomplaintという表現のほうが適切です。

 

 よく英文契約書で使用されるclaim for damagesの類義語には,damages(損害賠償)があります。

 

 ちなみに,前述のとおりdamageというのは「損害」そのものを表し,damagesと複数形になった場合「損害賠償(請求)」を意味するのが通常なので,知っておくと良いかと思います。

 

 ただ,damagesと複数形で使用されていても「損害賠償」ではなく,単に「損害」という意味で使用されていることもありますので,ご注意下さい。

 

 Damagesとの表記が「損害」なのか「損害賠償」なのかで大きな問題になることはないでしょうが,契約書の文脈でどちらの意味なのかは把握できるでしょう。

 

 英文契約書が作成される際のバックグラウンドによく採用される英米法では,契約書において約束した内容に当事者が違反した場合に,違反された当事者が受けられる原則的な救済措置(remedy)はこの損害賠償請求(claim for damage/damages)になります。

 

 契約違反をされた場合の第一次的な救済手段はこのClaim for damage(損害賠償請求)であるということは覚えておくと良いかと思います。

 

 その他の契約違反における救済手段としては,①契約の解除請求(Termination)や,②行為の差止請求(Injunctive Relief),③特定履行請求(Specific Performance)などがあります。

 

 これらは契約書に記載された義務に当事者が違反すれば直ちに認められる救済措置ではありません。

 

 日本法では,相手の債務不履行があれば契約解除が法的に認められていますが,英米法下では,必ずしも債務不履行=解除ということにはならないと覚えておくと良いかと思います。

 

 そのため,これらの救済措置も認められるようにするためには,契約書にその旨を明記するといった対策をする必要があります。

 

 Injunctive ReliefSpecific Performanceなどという用語を英文契約書で見たことがあるかと思いますが,これらは,契約違反をされた際にこのような救済を認められるようにするために記載しているのです。

 

 このように,国際取引では,必ずしも国内の法的な常識が通用するとは限りませんので,契約書にどのような内容を記載するかという点が国内取引と比較にならないほど重要になります。

 

 当然ですが,契約違反の場合の救済措置(Remedy)は非常に重要な内容ですので,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には精査する必要があります。

 

Without reservation(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Without reservationがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「無条件に」という意味で使用されます。

 

 例えば,英文契約書で,何かを承諾する際には,「条件付きで承諾をした場合は承諾として認められず,もし条件付き承諾があった場合,その条件は無視されて無条件に承諾をしたことになるか,承諾とは認められない」などと定めることがあります。

 

 こういう場合には,「承諾はwithout reservation(無条件)になされなければならない」などと契約書で定めます。

 

 より具体的には,売買契約(Sales Agreement)販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などで,買主の注文を売主が無条件で受諾しなければならず,条件をつけてはならないと定められることがありますが,このときにwithout reservationという用語が使用されることがあります。

 

 この「無条件での承諾」(承諾する場合は条件を付けてはならない)というのは売主側に非常に不利になることがありますので,注意が必要です。

 

 承諾を簡単に拒否することができるのであればそれほど大きな問題にはならないでしょうが,承諾が一定レベルで義務付けられているような場合は,より慎重にこのような無条件(without reservation)承諾を受け入れるかどうかを判断したほうが良いでしょう。

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などでは,売主が簡単には買主の注文を拒絶できないと解釈されることがあるので,注意が必要です。

 

 すなわち,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,販売店が特定の地域で売主の商品の販売展開を積極的に行うことが義務付けられている反面,売主は販売店からの注文を不合理に拒絶してはならないと解釈される可能性があるのです。

 

 なぜなら,販売店は積極的な販促活動が義務付けられているにもかかわらず,売主が自由に注文を拒否できるとすれば,事実上販売店が義務を履行するのが困難になってしまい不合理だからです。

 

 このようなケースで,売主が買主の注文に対して条件付きの承諾を一切できないと解釈できるような内容で合意してしまうと,ときに売主に大きな不利益を生じることがありえます。

 

 そのため,売主は原則販売店の注文を拒否できないとしても,合理的な理由があればこれを拒否したり,承諾に合理的な条件を付けたりすることは可能と定めることが考えられます。

To be...(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,To be...があります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「…すべき/される」という意味で使用されます。

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)で,「サプライヤーによって販売される商品」などと表現するときに,...the Products to be soled by Supplierなどとto be...が使用されます。

 

 将来「…される」という受け身の表現で,英文契約書によく登場します。

 

 このto be...は義務表現でもありますので,to be soldという表現は,「販売される」ことが義務であることが意味として含まれています。

 

 ただ,このような用語は修飾表現として使用されるのであり,当事者が「…しなければならない」という義務を表したいときは,端的に義務表現であるshallを使用すべきです。

 

 契約書において権利と義務に関する内容は最も重要なものです。そのため,一方の当事者が義務のつもりで記載したのにもかかわらず,相手方当事者が義務として捉えていないということがあると,大きな問題になる可能性があります。

 

 そのため,義務として契約書に記載する際には,誤解が生じないように,明確な表現,例えば,shall (will)..., is obliged to..., have duty to..., is required to... などを使用するようにしましょう。

 

 ときどき,英文契約書で義務を表す表現として,shouldやmustを使用しているケースを見ますが,shouldは法的義務として解釈されないおそれがありますし,mustは厳密には用法が限られていますので,助動詞を使用して義務を表したいときは,shallかwillを使うようにしましょう。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際にto be...という表現が出てきたら,ポイントとしては,「将来のことで義務的な内容が受け身で書かれている」と理解することかと思います。

 

Affidavit(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際に登場する英文契約書用語に,Affidavitがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「宣誓供述書」という意味で使用されます。

 

 英文契約書では,このAffidavitという用語そのものを見ることはあまりないかもしれませんが,イギリスやアメリカなどで,こうした宣誓供述書というものがよく使われます。

 

 企業間の取引などで使われることはあまりないかもしれませんが,相続などの手続きで裁判所に関わるときには,外国の弁護士からこのAffidavitの作成を要求されることはよくあります。

 

 書面上でOath(宣誓)した上で,一定の内容を記載し,その記載内容が真実であることを宣言するという書面で,日本語でいうと「陳述書」が近いと思います。

 

 日本では,訴訟においては「宣誓」があり,偽証すれば罰せられますが,書面における宣誓というものはなされないのが一般的です。

 

 ただ,海外ではOathという宣誓をした上で,書面を作成するということは珍しくありません。

 

 主に裁判所関連,訴訟(Litigation)において登場するものですので,契約段階であまり意識することはないかもしれません。

 

 ただ,海外取引においては,このような日本ではあまり馴染みのない書面も存在し,ときに作成を求められるということは知っておいたほうが良いかと思います。

 

 このように,海外取引では,日本の実務にはない書面を作成する必要が出てくることもありますので,注意が必要です。

 

 知らずにいると作成に躊躇することになったり,理解するのに長期間を要したりということになってしまいます。

 

 海外から書面作成を求められたら,その内容や必要性について相談できる法律の専門家などを普段から知っておくと良いかと思います。

 

Toll(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Tollがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「…を停止する」という意味で使用されます。

 

 例えば,Confidentiality(守秘義務)条項で,秘密情報を秘密として保持する義務が,契約終了後も3年間は存続すると契約書に定められていたとします。

 

 この場合,当然ですが,契約終了から3年が経過すれば,守秘義務は終了することになります。

 

 ところが,当事者が実は守秘義務期間中に守秘義務に違反して相手方の秘密情報を不正利用していたとします。

 

 それにもかかわらず,契約終了から3年間が経過してしまえば,そこから先は守秘義務自体が消滅するので,もはや守秘義務違反に問われないのかという問題を生じます。

 

 これを防止するために,もし当事者が守秘義務違反をしていたのであれば,その違反中は上記の3年間の経過は進行を停止すると契約書に定めることがあります。

 

 こうすることで,守秘義務違反の状態が続いている限りは,守秘義務の消滅はないということになり,違反者が不当に守秘義務違反の責任から免れることはないということになるのです。

 

 守秘義務に期間を設けるのは,当然,違反をせずに義務を遵守している当事者を前提に,守秘義務が永遠に存続するとすると負担が大きすぎるというのがその理由です。

 

 そのため,守秘義務に違反している当事者が一定期間経過後に,義務違反の責任を免れるというのは上記の趣旨から外れてしまうため,上記のような規定を設けることがあるのです。

 

 この期間の進行を「停止する」という表現をするときに,tollが使用されることがあります。

 

 頻出する英文契約書用語ではありませんが,登場したときは上記のように重要な内容が絡んでいる可能性ああるので,注意しましょう。

 

Reduction(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Reductionがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「減額」という意味で使用されます。

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)売買契約(Sales Agreement)では,サプライヤーや売主が販売店(Distributor)や買主(Buyer)に対して商品を卸します。

 

 この商品に欠陥(Defect)があった場合,通常,売主は買主に対して品質保証(Warranty)をしていますので,買主はこれに基づき何らかの救済措置(Remedy)を求めます。

 

 この救済措置の一つとしてよく契約書に書かれているのが,このreduction(代金減額)措置です。

 

 返金(Refund)ではなく,減額(Deduction)なので,代金全部を返すという意味ではなく,欠陥相当額を正規代金から差し引くということを意味しています。

 

 つまり,商品自体は返品せずそのまま使用し続ける前提で,まともな商品ではなかったのですから,その分値引きをするということになるのです。

 

 減額を受けた分で,第三者に補修を発注したり,自社で修理したり,欠陥の程度によってはそのまま使用したりするということになります。

 

 他によく選択される救済措置としては,①商品の交換(Replacement)②補修(Repair)があります。

 

 これらの救済措置は,一般的には,売主側が自らの裁量により(at its sole discretion)選択できると定められることになります。

 

 もちろん,当事者が合意すれば,買主がこれらの救済措置のどれを選ぶかの決定権を持つことも可能です。

 

 一般的には,買主が救済措置を選択できるとすると,売主側のその際の都合や状況を無視して,商品の交換,修理,返金,代金減額などを一方的に決定されてしまうという不都合があるので,売主側が選択すると定めることが多いと思います。

 

 当然ですが,商品の品質などに問題があったときに,どのように売主が対処するのかは,買主にとって重大な問題です。

 

 Reductionは,こうした品質保証に関する救済措置の一つとして書かれていることが多いので,この用語が登場した場合は,他の救済措置とともに,製品保証の内容が十分であるかを確認する必要があるでしょう。

 

Representative(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Representativeがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「代表者/担当者」という意味で使用されます。

 

 これと決まった意味があるわけではなく,文脈によってどういう人を指しているのかを考える必要がある用語の一つといえるでしょう。

 

 例えば,契約書に最後に署名する人を指してrepresentativeと呼んだ場合,会社を代理して契約を締結する権限を持つ代表者という意味なので,日本であれば代表取締役を通常指します。

 

 Representative directorと表現すれば,「代表取締役」という意味になります。

 

 これは,会社を代理/代表する権利を持っている人を指していることになります。

 

 これに対し,sales representativeのように表現した場合,こちらはセールスの「担当者」という意味で理解したほうが理解しやすいでしょう。

 

 Sales representativeは,日本語で「セールスレップ」や「レップ」とも呼ばれています。

 

 こちらの意味は,その会社を代理/代表する権利を与えられているわけではなく,その会社のために一定の活動を許可されている立場にある者を指します。

 

 上記の例のsales representativeであれば,依頼した会社のためにセールスの営業活動をする個人や法人を指すことになります。

 

 依頼した会社の商品について営業・販促活動を行い,商品が顧客に売れたら,その代金の一部を手数料(commission)としてもらえるというのがsales representativeの典型的なパターンになります。

 

 ここで問題になるのは,セールスレップに対し,顧客が商品を買いたいと言ってきた場合に,セールスレップがその商品を顧客に売却する代理権を持っているかということです。

 

 もしセールスレップが代理権を持っているとなると,セールスレップが依頼した会社(売主)に代わって商品を顧客に売ってしまうことができます。

 

 これに対し,代理権を持っていない場合は,あくまで商品を売るのは売主であり,売主が商品を売るという判断をしない限り,セールスレップは売主を代理して商品を売ることはできないことになります。

 

 そして,通常,sales representative(セールスレップ)は売主を代理する権限は持っていません。

 

 そのため,セールスレップが売主に代わって商品を売ることはできないと考えられています。

 

 つまり,representativeという表現がされた場合,代理権がある場合とない場合の両方の可能性があるため,注意してチェックしたほうが良いということになります。

 

 上記の例でいうと,representative directorにはその会社の代理権(代表権)がありますが,sales representativeには通常依頼した会社を代理する権利はありません。

 

 ちなみに,似て非なる用語としてagentがあります。

 

 こちらは英文契約書で使用される場合,通常は代理権を持った人を指します。

 

 例えば,sales agentとした場合,売主に代わって売主のために顧客と売買契約を締結する権限をもった代理店を指すことが一般的です。

 

 もっとも,このような用語は必ずしも厳密に区別して使われていないのが現場ですので,要するに何が言いたいのかを大筋で捉えるという姿勢も大切になってきます。

 

Faulty(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Faultyがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「欠陥のある/不完全な」という意味で使用されます。

 

 Faulty productで「欠陥製品」という意味になります。

 

 商品の欠陥を表す用語はほかにもあります。例えば,defectdeficiencyなどもfaultyと同じく名詞ですが「欠陥」という意味を持っています。

 

 売買契約(Sales Agreement)販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)において,faultyやdefect,deficiencyなど欠陥を表す表現が登場した場合,その対策について書かれていることが多いです。

 

 英文契約書では,保証(warranty)条項検収・検査(inspection)条項において,欠陥商品に対する対策が書かれていることが多いです。

 

 検収・検査(inspection)条項においては,一般的に外から見て容易に発見できる欠陥について規定されています。

 

 このような欠陥を,外から見える欠陥ということで,visible faultyと言ったりもします。

 

 これに対し,保証(warranty)条項においては,一般的に外から見て容易に発見できず,商品を使用してみたりしてはじめて発見できる欠陥について規定しています。

 

 こちらは,外から見えない欠陥なので,invisible faultyと呼ぶこともあります。

 

 また,faultyに関する規定には,欠陥についてのクレームを買主がどういう条件で言えるのかという要件が書かれていたり,クレームを出せる期間が書かれていたりします。

 

 当然ですが,商品に欠陥があった場合の効果については,サプライヤーにとってはどのように対処する義務があるのかという点で重要ですし,買主にとってはどのような救済(remedy)が受けられるかという点で重要です。

 

 このように,faultyという用語が登場した場合,当事者双方にとって重要な内容が含まれている可能性が高いので,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には注意しておくべき用語といえます。

 

Under no circumstances(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Under no circumstancesがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「どんな場合でも…ない」という意味で使用されます。

 

 強い否定表現の一つと考えておけば良いかと思います。

 

 英文契約書では,免責(Disclaimer)責任制限(Limitation of Liability)の規定で登場することがあります。

 

 例えば,「売主は買主に対し,いかなる場合であっても,買主に生じうる間接損害または結果損害については責任を負わない」などとして,責任を否定するという内容で使われます。

 

 間接損害や結果損害の賠償は多額になる可能性があるため,国際取引においては免責規定を設けることがよくあります。

 

 当然ですが,免責や責任制限は,それにより利益を受ける側(上記例では売主)にとっても,不利益を受ける側(上記例では買主)にとっても重大な影響がある条項です。

 

 そして,under no circumstancesという表現が登場した場合,たいていは責任を否定する内容になっていることが多いです。

 

 そのため,under no circumstancesという用語が登場した場合は,免責や責任制限に繋がる内容になっているものとして,注意深く内容の妥当性を判断する必要があります。

 

Address(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Addressがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「…に対処する」という意味で使用されます。

 

 …の部分には「問題」などが入れられ,問題などに対処する,取り組むというような意味で使用されることが多いです。

 

 例えば,address the breach of this Agreementとすると,「本契約違反に対処する」というような意味になります。

 

 契約違反や何らかのトラブルが発生したときに,当事者がこれに対処するという義務を契約書で課すことはよくあります。

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)で,「販売店(Distributor)が第三者から商品に関し,第三者が保有している知的財産権を侵害するとのクレームを受けたときは,サプライヤーが責任をもってこれに対処する」などと定めるとき,このaddressが使われることがあります。

 

 このように,どちらかの当事者が問題に対処するという義務を定めるときは,ほとんどの場合,その相手方はその問題やクレームから免責されるという内容も書かれています。

 

 英文契約書では免責はdisclaimerなどと呼ばれています。

 

 上記の例ですと,サプライヤーが第三者からの知的財産権侵害クレームに対処するという義務を負うということですから,逆に販売店はこのクレームに関する責任から免れるという関係になることが多いということです。

 

 このように,サプライヤーが第三者からのクレームに対処(address)し,かつ,サプライヤーが販売店に対して責任を負って補償をする=販売店は責任を負わないという内容は,英文契約書ではindemnify and hold harmless...という表現でよく規定されます。

 

 Supplier shall indmnify and hold harmless Distributor from and against...(サプライヤーは販売店に対し,…について保証し損害を与えないようにする…)というように規定されます。

 

 これは,英文契約書では補償条項(Indemnity Clause)と呼ばれています。

 

 したがって,Address(対処する)という義務を課された側は自らの責任と費用負担において問題を解決する必要があるということになりますので,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際に,この用語が登場したら自社と相手方の義務と責任の範囲を精査する必要があるでしょう。

 

Conceive(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Conceiveがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「(発明などを)思いつく」という意味で使用されます。

 

 例えば,業務委託契約(Service Agreement)研究開発委託契約(Research and Development Agreement)で,業務を遂行している間に発明(Invention)を受託者が思いつくということがありえます。

 

 その場合に,お金を出している委託者のほうがこの発明に関する知的財産権を取得するということにしたいということはよくありますし,通常はそれが合理的だと思います。

 

 こうした内容を取り決めるときに,...invention conceived by Service Provider...(受託者が思いついた発明)などとしてconceiveが使われることがあります。

 

 研究開発委託契約(Research and Development Agreement)の場合は,委託者が受託者に報酬を払って,研究開発を委託しているのですから,受託者に発明等に関する知的財産権が帰属するというのはいわば当然でしょう。

 

 ただ,その他の契約類型では,特に研究開発を予定していたわけではないものの偶発的に発明がなされ,その場合の知的財産権の帰属が問題にならないように手当しておくという側面が強いです。

 

 そのため,このような言わば偶然の産物として発明がなされることもありうるという契約類型では,必ずしも委託者に権利が帰属すると定めるとは限りませんので,目的に応じて丁寧に協議することが大切です。

 

 また,秘密保持契約(NDA)においても発明がなされた場合の権利帰属について定められることがあります。

 

 開示当事者が開示した情報を基礎にして情報の受領当事者が発明をしたような場合は,開示当事者としてその発明に関する知的財産権を取得したいと考えることが多いためです。

 

 当然ですが,知的財産権は,企業の経営資源の重要部分を担う存在ですから,このような知的財産権がどのような条件でどの当事者に帰属するのかは重要な問題です。

 

 もちろん,取引の度にいつも知的財産権が発生するわけではないですし,発生する可能性も極めて低い場合もあると思います。

 

 ただ,どのような場面でも,このような問題があるということは常に意識して契約書の作成・審査をするようにしましょう。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際は,inventionやconceiveという用語が登場したら注意してその内容を精査する必要があるでしょう。

 

Award(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Awardがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「仲裁判断」という意味で使用されます。

 

 もう少し丁寧な言い方をすると,arbitral awardという表現になるかと思います。

 

 仲裁判断というのは,仲裁(Arbitration)手続きにおける判決(Judgement)に相当するものです。

 

 裁判(Litigation)でいうところの裁判官(Judge)に相当する仲裁人(Arbitrator)と呼ばれる人が下す裁定のことを仲裁判断と呼んでいます。

 

 仲裁は裁判とは異なる手続きで,いくつかのメリットがあるため,国際取引では裁判よりも好んで仲裁が利用されます。

 

 最も大きなメリットとしてよく挙げられるのは,ニューヨーク条約加盟国においては,判決よりも仲裁判断のほうが強制執行手続きが容易であるという点です。

 

 もちろん,仲裁といえども国際紛争で仲裁手続をすること自体が容易ではないですし,その後,強制執行手続きまで必要となると,大変な時間と費用がかかるので,特に中小企業にはハードルが高いです。

 

 ただ,国際紛争では,日本ではまだ一般的な訴訟手続ではない仲裁のような手続きもよく使われるということは理解しておいたほうが良いかと思います。

 

 ちなみに,裁判以外の紛争解決手続きのことを裁判外紛争解決手続=Alternative Dispute Resolution(ADR)と呼びます。

 

 仲裁をするには,当事者の合意(仲裁合意)が必要ですので,事前に契約書で仲裁条項を入れて合意しておくか,トラブルになったときにその案件を仲裁に付することを合意する必要があります。

 

 仲裁判断が出されると,裁判とは異なり,原則として上訴ができないため,その判断が終局的であり争えない判断となりますので注意が必要です。

 

Recur(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Recurがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「再び起こる/再発する」という意味で使用されます。

 

 英文契約書で使用される場合は,あまり良い意味では使用されず,どちらかというと悪い意味で使用されることが多いかと思います。

 

 例えば,売買契約(Sales Agreement)販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)で,「商品に不具合や欠陥(Defect)があった場合に,これが再発することがないように,売主が対応策を講じなければならない」などと規定するときに,このrecurが使われることがあります。

 

 同様の意味を表す用語としては,re-occurがあります。

 

 Occur「起こる」という意味ですので,それに繰り返しを意味するreをつけてre-occurでrecurと同様の意味を表すことができます。

 

 こちらも「再発する」という文脈を表したいときに使える用語です。

 

 このように,契約書では,問題の商品を交換して現状の問題を解決するだけではなく,上記のように将来また同じことが起こらないように対策をする義務が課されることもありますので,注意が必要です。

 

 再発防止策,つまり,同じことを繰り返さないようにする対策が求められている場合,どの程度行っていれば,仮に再度同じことが生じたとしても免責されるのかはケース・バイ・ケースでしょう。

 

 この点は,再発防止への努力義務の程度を契約書に記載することも考えられます。

 

 Commecially reasonable efforts(商業的に合理的な努力)best efforts(最善の努力)という定め方が例として考えられます。

 

 ちなみに,best efforts(最善の努力)という用語を英文契約書で使用すると,実務的には日常用語の語感よりもかなり重い義務を意味することになるので,注意しましょう。

 

 すなわち,国際取引の実務上は,best endeavours(efforts)(ベストエンデバー/ベストエフォート)は,「目標を達成するために,一切の可能な努力を行わなければならず,かつ,利用可能なすべての財源を使うことを含む」とかなり重い義務に解釈されるおそれがあります。

 

Patent marking(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Patent markingがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「(商品に表示される)特許表示」という意味で使用されます。

 

 例えば,商品の売買契約(Sales Agreement)や,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)で商品やパッケージに特許表示をすることが義務付けられていることがあります。

 

 このような規定において,「特許表示」を表すためにpatent markingという用語が使われることがあります。

 

 言うまでもありませんが,特許権は知的財産権(Intellectual Property Rights)の一つで企業の大きな経営資源となりうる重要な権利です。

 

 そのため,この特許権がどの当事者に帰属しているのか,そして,実施許諾がされた場合は,特許権の使用方法や範囲はどのようなものかという内容は非常に大切です。

 

 したがって,英文契約書に,特許権(Patent)をはじめ,商標権(Trademark)や著作権(Copyright),意匠権(Design),実用新案権(Utility Model Right)などの各種知的財産権(Intellectual Property Rights)についての取扱いを定めておく必要があります。

 

 これら特許権(Patent),商標権(Trademark),著作権(Copyright),意匠権(Design),実用新案権(Utility Model Right)などの権利の表示を商品やパッケージに刻印するということがあり,それに関連する内容を契約書に記載することがあります。

 

 そして,この刻印という表現をmarkingで表しています。

 

 以上述べたように知的財産権のmarkingという行為は重要な権利に関する内容を表したものですので,英文契約書をチェックしている際に登場したときは注意しましょう。

 

Trade secret(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Trade secretがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「営業秘密/企業秘密」という意味で使用されます。

 

 営業秘密というのは,一般に,その内容が企業に利益をもたらすもので,もしそれが外に漏れればその秘密を保有している企業の損害に繋がるような価値ある情報のことをいいます。

 

 日本では,不正競争防止法が「営業秘密」を定義し,これを保護しています。

 

 日本の不正競争防止法上の営業秘密として保護されるには,①秘密管理性,②有用性,③非公知性の3つの要件を充たす必要があります。

 

 もっとも,契約書で登場するtrade secret(営業秘密)は,必ずしも上記の不正競争防止法上の営業秘密を差すものではありません。

 

 特に日本企業が海外企業と取引する際には,準拠法を日本法として,trade secretを日本の不正競争防止法上の「営業秘密」を意味するなどと規定しなければ,まず相手は日本の不正競争防止法上の「営業秘密」であると合意したつもりはないでしょう。

 

 そうなると,理解の前提に齟齬があるため,営業秘密の管理などにおいて運用上支障を生じるかもしれません。

 

 したがって,不正競争防止法の「営業秘密」の内容を取引の前提とするなどという危険な発想はやめるべきで,きちんとその中身を定義すべきです。

 

 もっとも,現場ではtrade secretが明確に契約書で定義されていることはそう多くありません。

 

 契約上の営業秘密をどのような内容とするかは当事者が決めることですが,通常は,秘密保持契約書(NDA)などの契約書において,秘密保持義務の対象となる秘密情報を定義しており,その中にtrade secretも入っているなどとされることが多いかと思います。

 

 つまり,実務的にはtrade secretの定義を具体的に契約書で行うことはそう多くなく,秘密情報の例として挙げられていることが多いように思います。

 

 この場合は,不正競争防止法上の営業秘密よりも,広い意味で使用されていると一般的には考えられます。

 

 すなわち,情報として価値があり,一般に知られている情報でなければ契約書上のtrade secret,すなわち,秘密情報として取り扱われるものと考えられます。

 

 当然ですが,trade secretを有する企業としては,その漏洩は大損害に繋がる可能性があります。

 

 また,営業秘密の提供を受ける側の企業にとっても,仮に漏洩させれば多額の損害賠償義務を負う可能性があります。

 

 そのため,trade secretという用語が登場した場合,その内容について慎重に審査する必要があるでしょう。

 

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