英文契約書の相談・質問集354 商品が他社の知的財産権を侵害していれば売主に賠償請求できますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「商品が他社の知的財産権を侵害していれば売主に賠償請求できますか。」というものがあります。
 

 例えば,日本企業が海外企業と販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を締結して,商品を輸入し日本国内で販売展開していたとします。

 

 そして,ある時,日本国内の他社から「御社の商品は当社の著作権を侵害している」とクレームを受けました。

 

 そのため,代理店をしている日本企業は,著作権侵害の有無について調査をし,自社の顧問弁護士にも相談したところ,著作権侵害の可能性が高いと判明しました。

 

 そのうえで,クレームを入れてきた他社と交渉し,和解をすることになり,一定額の損害賠償金を払い,商品を取り扱う許可を得ることになりました。

 

 このような状況になったため,日本の代理店は,海外の仕入先に対して,この賠償額を補償してもらいたいと考えて,海外の仕入先に対し相談をしました。

 

 ところが,海外の仕入先は,締結した販売店契約書を出してきて,「当社の商品が他社の知的財産権を侵害した場合に補償をするなどという規定は一切ないので,請求には応じられない」と回答してきました。

 

 このような場合,日本企業は賠償を受けられるのでしょうか。

 

 本件の場合,契約書に知的財産権侵害があった場合に海外メーカーが補償をするのかどうかについて規定がありません。

 

 こうした場合には,契約書で解決できないので,その問題に適用される法律や判例に従って解決することになります。

 

 そのため,本件に適用される法律を確定し,その内容を調べて,それに従って解決を試みることになります。

 

 もしこのケースに海外メーカーの国の法律が適用されることになると,日本企業としては,どのような内容になっているかわからず,現地の弁護士に調査や交渉依頼をすることになってしまい,多大なコストや時間がかかるおそれがあります。

 

 また,必ずしも法律や判例を調べても今回のケースのような問題に明確に結論を出しているとは限りません。

 

 したがって,こうしたことを避けるためには,やはり事前に契約書に知的財産権侵害が侵害があった場合の処理について記載しておくべきということになります。

 

 まずは,商品等が第三者の知的財産権侵害を侵害した場合に,海外メーカーが補償をするのか,それともしないのかについて規定し,補償する場合には,次にその要件と範囲を決めるのが一般的です。

 

 このような具体的な知的財産権侵害の処理について規定しておかないと,販売店側だけではなく,メーカーの側も不利益を被るおそれがあります。

 

 なぜなら,販売店から損害賠償請求を受けることで,交渉や場合によって訴訟などの対応を余儀なくされ,コストや時間がかかってしまうからです。

 

 そのため,知的財産権侵害の処理について予め決めて契約書に記載しておくことは,双方にとって重要と言えます。

 

 これらのリスクも織り込んだ上でビジネスでの収益モデルがはじめて明らかになるとも考えられますから,事前に協議することをおすすめしています。

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英文契約書の相談・質問集353 Shall notとmay notの違いは何ですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「Shall notとmay notの違いは何ですか。」というものがあります。
 

 Shall notは,禁止を表しますので,「…をしてはならない」という不作為(何かをしない)の義務を定めるときに使用されます。

 

 端的に禁止行為が書かれると理解していれば良いかと思います。

 

 なお,英文契約書実務に携わる人の中にはshall not...よりもより明確な禁止表現として,is prohibited from...などの表現を好んで使用する人もいます。

 

 これに対し,may notは,いくつかの解釈があり得るので絶対にそうとは言い切れないところがあるのですが,通常,mayは許可を表すものとして英文契約書で使用されるので,その否定形として不許可,つまり「…することができない」,「…する権利がない」という意味になります。

 

 May notは「〜することができない」,「〜する権利がない」という意味で使用されますので,同義語としては,is not entitled to...is not permitted to...があります。

 

 ある条件を充たしたり,ある事象が起こったりした場合に,何らかの権利が生じる可能性がある(そう当事者が考える可能性がある)ときに,その権利は生じないということを明確にしておく際に,このmay notが使用されることがあります。

 

 もっとも,shall notとすれば「…してはならない」という意味になるので,実質的には,shall notの「権利行使をしてはならない」という意味と,may notの「…する権利がない」というのは同じ意味と考えて差し支えないと思います。

 

 権利がないというニュアンスが適切な場合があったとしても,その場面でshall notを使用しても,権利行使ができない,すなわち権利がないという意味であることは明らかですので,通常問題は生じないでしょう。

 

 ただ,前述したとおり,mayはいろいろな意味をもっていますので,使い方を間違えると,当事者が意図していた意味で相手方が理解していなかったり,裁判所の解釈が異なってしまったりする危険があります。

 

 そのため,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,なるべく一義的に意味が決まるような単語を使っていくほうが安全といえます。

商品が他社の知的財産権を侵害していれば売主に賠償請求できますか。

 

→next【英文契約書の相談354】商品が他社の知的財産権を侵害していれば売主に賠償請求できますか。

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英文契約書の相談・質問集1 どこにサインすればよいのでしょうか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「どこにサインをすればよいのか。」という質問があります。

 

 通常,英文契約書の最後のページなどに,By:________,Signed by:__________,Signature:______などの欄が設けられています。

 

 これらの下線部分にサインをすることになります。

 

 英語でサインするように指示がされていなければ,日本語のサインをしても通常問題はありません。

 

 サインはその人であるということを証明する手段ですので,特定の言語でなければならないということではないからです。

 

 もっとも,Printed Nameという欄には英語表記で名前を書くのが通常ですので,英語でサインするのが一般的といえます。

 

 なお,Printed Nameというのは,Masato Kikuchiのように日本語でいうところの楷書に相当する文字で,サインのように崩したりせずきちんと読める文字で書くことを指します。

 

 繰り返しますが,サインは本人であることを確認できるようにするIDの役割を果たすことが主たる役割です。そのため,読める必要はありません(読める必要があるのはPrinted Nameの方です。)。

 

 また,あるページを抜いたり,差し替えたり,挿入したりすることを防止するため,サイン欄以外のページにイニシャルサインをすることも多いです。

 

 例えば,私の場合,Masato Kikuchiですので,MKというイニシャルで,全ページの下部にサインします。

 

 相手方にも同じようにしてもらいます。

 

 なお,契約書の全ページにイニシャルサインをする者は,必ずしも契約書の署名者とは限りません。

 

 契約書の署名者は最終決裁権者がなり,イニシャルサインをするのは,契約交渉を実際に担当したものが行うこともあります。

 

 イニシャルサインの目的は,契約交渉の内容が契約書に反映されていて,それを差し替えたりできないようにすることですので,署名権限者が行わなければならないものではないからです。

 

 これに加えて,ページ表記を,例えば,10P/12Pなどとして,全体が何ページで構成された契約書であるかがわかるようにすることが多いです。

 

 ちなみに,日本では時折行われる契約書の袋とじもページの不正挿入を防止できますが,国際取引の英文契約書で袋とじが行われるケースはそう多くありません。

 

→next【英文契約書の相談・質問集2】 FaxやPDFでも契約は有効ですか。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集2 FaxやPDFでも契約は有効ですか。

 

 海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「FaxやPDFでも契約は有効ですか。」というものがあります。

 

 よくご質問を受けるのが,署名・サインをした契約書原本の郵送ではなく,Fax(ファックス)でやりとりしたり,スキャンしてPDFにして電子メール(Email)でやり取りした場合でも有効ですかというものです。

 

 基本的に多くの国が,一般的類型の契約については,一定の形式を必要とせず,意思表示が合致していれば契約を有効とし,法的な拘束力が生じるという立場をとっています。

 

 ちなみに,決まった方式や書面で合意をしないと法的な効力が生じない行為のことを「要式行為」といいます。例えば,遺言書などがこれに該当します。

 

 通常の契約は,この要式行為には該当せず,意思表示の合致さえあれば法的な拘束力を有することになります。

 

 そうすると,印刷した紙の原本の郵送によらずとも,当事者の権限あるものがサインして書面を交わしたことが明らかであれば,ファックスやEmailという方式で電子的に往復させても有効と考えられる場合が多いでしょう。

 

 こうしたことを確認的に条項として規定してある英文契約書も多いです。

 

 具体的には,ファックスやEmailなどでサインした契約書を往復させることで有効に契約が成立すると書かれています。

 

 こうすることで,原本のやり取りでなければ意思表示の合致=契約は成立していないとの主張はほぼ退けることができるでしょう。

 

 そのため,念のため,そのような条項を入れた上で,ファックスやEmailのやり取りで契約締結する方が安全ではあると思います。

 

 なお,スキャンしたデータをEmailで送る際には大きく2つの方法が使われています。

 

 1つ目は,当事者Aがまず印刷してサインをし,それをスキャンして当事者Bにメールで送ります。

 

 当事者Bがメールでデータを受け取ったら,それを当事者Bも印刷し,今度は当事者Bもサインをします。

 

 それを当事者Bがスキャンしメールに添付して当事者Aに送り返します。

 

 この方法によると,当事者Aの手元には自分がサインした原本(当事者Bのサインはない)と,当事者Aと当事者Bのサインがある写し(当事者Bがスキャンして送ってきたもの)があることになります。

 

 そして,当事者Bの手元には,当事者Aがサインした契約書の写しに自分がサインした原本があるということになります。

 

 これでも有効に契約は成立しています。

 

 2つ目の方法は,当事者Aと当事者Bがそれぞれ契約書を印刷してサインし,それをスキャンしてメールに添付してそれぞれ相手方に送付する方法です。

 

 この方法ですと,当事者Aの手元には,自分がサインした契約書原本と,当事者Bのサインした契約書の写しがあることになり,当事者Bの手元には,自分がサインした契約書原本と,当事者Aのサインした契約書の写しがあることになります。

 

 このパターンでは,当事者AとBの両方のサインがされた契約書が原本でも写しでも1通も存在していませんが,それでも契約は成立しています。

 

 同じ契約内容の契約書に当事者AとBがそれぞれサインした事実は存在し,それも証明できるの問題ないということです。

 

→next【英文契約書の相談・質問集3】 NameやTitleには何を書くのですか。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集10 秘密保持契約書があれば秘密は守られますか。

 

 英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問に「秘密保持契約書があれば秘密は守られますか。」というものがあります。

 

 確かに,英文・英語契約書において,秘密保持契約書(Non-Disclosure Agreement)を締結したり,基本契約書などに,秘密保持条項(Confidentiality)などを入れておくことは重要です。

 

 当事者は,そこに書かれた秘密保持義務を守らなければならない義務を生じさせますし,もし違反すれば,秘密保持義務違反として,損害賠償請求や情報の使用差止請求などの対象になることになるため,有意義だからです。

 

 もっとも,これで安心してよいかというと,それは別論です。

 

 世の中,約束を破る人は存在していますし,企業でもそれは同じです。また,故意に違反したのではないとしても,一度秘密情報が漏洩してしまえば,その損害はもはや回復不能という場合もよくあります。

 

 このように考えると,やはり,秘密は秘密のまま保持できる,相手に開示しなくとも取引が成り立つというのが最も良いことになります。

 

 一般にいわれる「ブラックボックス」を作っておく,相手方に開示する情報は最小限にし,肝心な部分は伝えない,情報の管理方法をこちらで指定するなどの実務的な対策が重要になってきます。

 

 商品やサービスによって,どのような情報を開示すべきか,開示方法,開示のタイミング,情報管理の方法などが異なってきますので,事前に十分に検討することが大切です。

 

 ここでは詳しくは書きませんが,情報の守り方,出さない方法というのはいくつかあります。

 

 また,当然ですが,取引相手が義務をきちんと守る企業であるかどうか,Due Diligence(デュー・デリジェンス)を行い,企業の実績や,経営者,過去の評判などについて調査することも重要です。

 

→next【英文契約書の相談・質問集11】 MOUには法的拘束力がないので義務は生じないですよね。 

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集179 Risk of damage or loss (危険負担)とは何ですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「Risk of damage or loss (危険負担)とは何ですか。」というものがあります。

 

 これは,商品の売買などをする際に,売主と買主のどちらのせいでもなく,不可抗力で商品が毀損(壊れてしまう,傷がついてしまう)したり,滅失(なくなってしまう)したりした場合に,どちらが責任を負うのかという問題だと理解すればわかりやすいと思います。

 

 海外取引では,このRisk of damage or loss (危険負担)の問題は,インコタームズというルールで定めることが多いです。

 

 インコタームズは,法律や条約ではないので,強制的に適用されるわけではなく,当事者が選択した場合にはじめて適用されます。

 

 インコタームズには,このRisk of damage or loss (危険負担)についていろいろなパターンを用意しています。

 

 当事者が契約書を締結する際に,いくつか用意してあるパターンをインコタームズから選択してRisk of damage or loss (危険負担)について合意することが通常です。

 

 例えば,FOB条件を選択したとします。

 

 この場合,Incoterms 2010やIncoterms 2020では,「商品が船積みされたとき」にRisk of damage or loss (危険負担)が売主から買主に移転するとされています。

 

 そのため,例えば,売主がトラックで輸出港まで商品を輸送しているときに,台風でトラックが転覆し,商品が壊れてしまったというような場合は,買主にまだ危険が移っていませんので売主が責任を負うということになります。
 

 具体的には,売主は,壊れていない新しい商品を調達し,約束どおり買主に引き渡さなければならないということを意味します。

 

 言い換えれば,壊れてしまった商品の代金を買主からもらえない=危険は売主が負っているということです。

 

 反対に,例えば,商品が船積みされて,海上輸送中に台風が来て商品が水没してなくなってしまったという場合は,Risk of damage or loss (危険負担)は船積み後に買主に移転しているため,買主が責任を負います。

 

 その具体的意味としては,買主は,なくなってしまった商品の代金を,未払いであれば売主に払う必要がありますし,すでに払っている場合は,返金を受けられないということになります。

 

 こういう場合に備えて,通常は,自社が危険を負っている過程について保険に加入して,リスクヘッジをします。

 

 このように,危険負担というと専門的な用語のため,難しく聞こえますが,Risk of damage or loss,つまり,商品が壊れてしまったり,なくなってしまったりするリスクをどちらが負うのかという問題だと理解すると難しくないと思います。

 

 インコタームズの貿易条件を選択すれば,このRisk of damage or loss (危険負担)も定めたことになるので,あまり意識しないかもしれませんが,この概念は,前述のとおり,非常に重要です。

 

 英文契約書にRisk of damage or loss (危険負担)の移転時期を具体的に記載することもありますし,単に貿易条件を選択して英文契約書には具体的な危険の移転時期は書かないということもあります。

 

 なお,インコタームズは,Risk of damage or loss (危険負担)については規定していますが,商品の所有権(Property,Ownership,Title)については何ら規定していません。

 

 したがって,インコタームズで貿易条件を選択しても,所有権の移転時期について合意したことになりませんので,注意が必要です。

 

 そのため,所有権の移転時期を定める場合は,契約書に記載する必要があります。

 

 もっとも,海外取引の場合は,所有権の移転時期よりも,上記のRisk of damage or loss (危険負担)の移転時期のほうが重要な意味を持っています。

 

 所有権の移転時期を代金完済時として売主が商品の所有権を留保しておけば,代金回収を保全できると考えられているのですが,実際に買主が代金を支払わない場合,海外取引ではこの所有権留保を行使することは事実上困難なため,所有権の移転時期にこだわる意味が薄れてしまうからです。

 

 なお,所有権の移転時期についての詳しい解説記事はこちらでご覧頂けます。

 

→【英文契約書の相談・質問集180】損害賠償の予定(Liquidated Damages)はなぜ定めるのですか。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集14 英文契約書は和文契約書を英訳して作成すれば良いのですよね。

 

 英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問に「英文契約書は和文契約書を英訳して作成すれば良いのですよね。」というものがあります。

 

 結論から申しますと,英訳するだけでは危険です。

 

 英文契約書というものは,英米法(コモン・ロー)の考えに基づいて作成されていることが通常です。

 

 ところが,和文契約書は,あくまで日本の法律や商慣習に基づいて作成されているため,これを英訳しただけでは,「英文契約書」にはならないのです。

 

 和文契約書を英訳して使用する場合によくあるのが,相手方が読んで意味がわからない,条項の表現に違和感があり,サインを拒絶されるというケースです。

 

 また,相手方がサインしたとしても,書かれた内容が日本の法律や商慣習で作られているため,実際にトラブルになったとき,相手方の理解がこちらの理解と異なっていたということも起こります。

 

 さらに,日本の契約書は,日本企業同士で「性善説」に立って信頼関係に基づき作られていることが多く,全体的に内容が薄い傾向にあります。

 

 他方,国際取引では,トラブルを避けるため,「性悪説」に立って,契約条件を事細かに規定し,問題が起きたときにどのように対処するかなどを詳細に規定し,意味も他の解釈がありえないように一義的に規定する必要があります。

 

 この要請に対し,性善説に立った簡素な内容の和文契約書は応えられていないことがほとんどです。

 

 したがって,和文契約書を英訳して使用する場合も,英文契約書で必要な条項は加える必要がありますし,国際取引で通用する内容に修正する必要があります。

 

 英文契約書は,和文契約書を英訳したものではなく,国際取引の標準的に通用している英米法の考え方で作られた,誤解の可能性のない契約書のことを指すのだと理解して頂ければと思います。

 

→next【英文契約書の相談・質問集15】 英文契約書はネットにある雛形を変更して作れますよね。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集3 NameやTitleには何を書くのですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に「NameやTitleとありますが,そこには何を書くのでしょうか。」というものがあります。

 

 Nameというのは,通常,サインする人の氏名を書く欄です。

 

 この箇所は,サインを書くところではないので,きちんと氏名が読めるように楷書で氏名を書く必要があります。

 

 ちなみに,その人がサインしたのかどうかという,人物の同一性,IDについては,サインで確認するので,サインは識別性が重要で,必ずしも読める必要はありません(楷書で書く必要はありません)。

 

 このサインはSignature...やSined by...となっている欄に記入します。

 

 Titleという欄には,通常,役職を記載します。例えば,日本の代表取締役でしたら,通常,Presidentと表記します。

 

 各国によって,役職の表現は様々です。CEOManaging Directorなどの表記を見たことがあるかもしれません。

 

 重要なのは,サインする人が,契約の効力を発効させる権限を有している人かどうか,きちんと確認することです。

 

 契約の発効については,取締役会の付議事項である場合があります。

 

 その場合には,取締役会の議事録の写しを求めたり,表明保証条項(Representation and Warranty)を設けて,取締役会の承認決議が存在する旨を表明保証させるということが必要になることがあります。

 

→next【英文契約書の相談・質問集4】 契約書はいつ発効するのですか。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集4 契約はいつ発効するのですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「いつ契約が発効するのですか。」というものがあります。

 

 多くの英文契約書では,Term of Agreementなどという条項があり,当該契約がいつから発効すると書かれています

 

 このような条項があれば,記載されている契約の開始日(Effective Dateなどと定義されることがあります。)から契約が発効するということになります。

 

 上記のような契約発効日の記載がない契約書の場合,通常は,契約書に最後の当事者がサインした日をもって契約が発効すると考えて良いと思います。

 

 例えば,3面契約の場合に,A→B→Cの順でサインした場合,最後のCがサインした日をもって契約書が発行するという考えです。

 

 通常,英文契約書では,サインする日付を記載する欄があります。Date:__________などとなっている箇所です。

 

 その個所に記載されている日付で判断されることになります。契約の発効日は時に重要な意味を持ちます。

 

 そのため,契約がいつ発行したのかという点については,正確に把握し,情報管理をしておかなければなりません。

 

→next【英文契約書の相談・質問集5】 契約書のタイトルはどうすればよいのですか。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集5 契約書のタイトルはどうすればよいのですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約書のタイトルはどうすればよいのか」というものがあります。

 

 結論から言うと,少々乱暴ですが,基本的に何でも大丈夫です。

 

 契約書のタイトルで契約内容が決められるわけではなく,本文の条項により契約内容が決められるからです。そのため,単にAgreementというタイトルにしても問題はないわけです。

 

 もっとも,例えば,売買契約書を作る際には,通常,Sales Agreementなどとしますし,製造委託契約書などであれば,Manufacturing Agreementなどとすることが多いでしょう。

 

 これは,その英文契約書がどういう取引の契約書であるのかをわかりやすくするためにそうしているということになります。

 

 無用な混乱や誤解を避けるよう,契約内容にふさわしいタイトルにした方が良いということになります。

 

 これは,条項のタイトルにも同じように当てはまります。例えば,Limitation of Liability(責任制限)などというタイトルの条項なのに,内容は損害賠償責任を負う場合のことしか書いていないとすれば,書き忘れたのか,何なのか,後で問題になる可能性を生じます。

 

 なお,ひな形などを編集して使っていると,つい前のデータを修正し忘れ,条項のタイトルが本文の内容と合わないという現象が見られることがあります。

 

 こうした事態も想定し,契約書のタイトルや条項のタイトルは,参考にすぎず,契約書の内容の解釈は,常に条項の中身をもって判断するという内容の条項を入れることがあります。

 

 こうしておけば,万一タイトルが誤解を生じるようなタイトルであったとしても,契約書の解釈に影響することは避けられることになります。

 

→next【英文契約書の相談・質問集6】 取引開始前に現地法の調査もしなければなりませんか。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集6 取引開始前に現地法の調査もしなければなりませんか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「海外展開を実行する前に,進出先の現地法の調査まで事前に行わなければならないですか。」というものがあります。

 

 いわゆる直接進出(独資や合弁により現法を設立して進出する形態)の場合は,現地の会社法や外資規制法などの適用を受けますので,通常は,進出前の現地法調査は必須と思われます。

 

 よく聞かれるのは,間接進出(現法を設立するのではなく,例えば,現地に販売店や代理店などのパートナー企業と取引をし,現地企業を介して間接的に自社製品の販売展開を行う形態)の場合です。

 

 現地企業と販売店契約(Distribution Agreement)や代理店契約(Agency Agreement)などを締結して海外進出する場合,現地の販売店/代理店保護法に注意する必要があります。

 

 販売店契約や代理店契約を締結して取引を継続していると,いずれこの契約を何らかの理由で終了させる必要を生じます。

 

 その際に,現地の法律等で,販売店や代理店が保護されている場合があります。

 

 販売店や代理店にとってみれば,自社のコストで,外国の商品を自国に広めるために販促・マーケティングなどの努力をし,ようやく商品の認知度を高め,ブランディングに成功し販売チャネルを確保したところで,契約を解消されたのでは困るわけです。

 

 特に,販売店や代理店の売上げの占有率が当該メーカーに依存していたり,販売店等の規模が小さかったりすると,問題は深刻となります。

 

 そのため,現地の法律や判例で,こうした販売店や代理店を一定の要件の下に保護している場合があるのです。例えば,契約解消のためには一定の猶予期間を設けなければならなかったり,補償金の支払いが必要だったりします。

 

 したがって,リスクアセスメントとリスクマネジメントの観点からは,進出前に現地法を調査し,こうした販売店保護法等の内容を把握しておくのが望ましいことになります。

 

 しかし,現実には,予算の問題,現地の法制度の充実性の問題,現地弁護士の信頼性の問題等,様々な観点から,現実には,特に中小企業の間接進出においては,事前にそこまでは実行せずに進出しているケースもあります。

 

 このような場合でも,上記のような法令や,例えば,競合品の取り扱いを禁止したり,販売地域を限定したりする場合には,独占禁止法や競争法の類の法令による規制などについてリスクを最低限把握しておくことは必要となってきます。

 

→next【英文契約書の相談・質問集7】 裁判管轄はどこにしたら良いでしょうか。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集7 裁判管轄はどこにしたら良いでしょうか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「裁判管轄はどこにしたら良いでしょうか」というものがあります。

 

 これは,結論としては,ケースバイケースということになるのですが,検討する際に一応指針となるような考え方はあります。

 

 一般的には,自国の裁判所の方が訴える場合を考えても,訴えられる場合を考えても有利ということになるでしょう。準拠法が自国となっていれば,慣れ親しんだ法律に基づき,自国の弁護士に訴訟対応してもらえるということになるからです。

 

 なお,仲裁手続きを選択するということも考えられますが,ここでは,便宜上,裁判の管轄を念頭において検討したいと思います。

 

 しかし,契約をするということは,常に相手方がいます。そして,相手方も自国の裁判所における解決を望むことが多く,交渉が平行線をたどるということはよくあります。

 

 こうした場合にどうしたら良いかという質問をよく受けます。

 

 他の条件を交渉材料にしながら,自国の裁判所の管轄権を譲らないという交渉もありえます。しかし,相手が頑なである場合,管轄条項がネックとなり,ビジネスが前に進まないこととなってしまいます。こうしたことは避けたいものです。

 

 このような場合の選択肢としては,例えば,第三国の裁判所に管轄権を付与したり,被告となる当事者の地の裁判所に管轄権を付与したり,逆に原告となる当事者の地の裁判所に管轄権を付与したりということが考えられます。

 

 なお,管轄を自国の裁判所とするという規定を置くと,相手方の国次第では,この条項が無効となったり,準拠法を日本法とするという規定が無効となったりということもありますので,このようなことも考慮する必要もあります。

 

 第三国の裁判所に管轄権を付与するというのは,フェアであり,受け入れやすいということはあるかもしれません。

 

 被告となる当事者の地の裁判所に管轄権を付与する(被告地主義)というのは,どちらが訴訟提起の必要性や可能性が高いかという視点で検討することがあります。

 

 例えば,日本側のクライアントが売掛金の回収などの必要性から,相手方を訴える可能性が高いということであれば,一般的には,訴訟提起の難易度を下げるため,自国の裁判所に管轄権を付したいとなるかもしれません。

 

 しかし,最終的な現地での強制執行のことを考えれば,現地の裁判所で判決を得,そのまま執行をかけるために,あえて被告地主義を採用するということもあるでしょう。

 

 逆に日本のクライアントが訴えられる可能性を考える場合には,訴訟提起のハードルを高くするため,被告地主義にするという視点もあるでしょう。

 

 そもそも裁判ではなく,仲裁を選択するなら,ニューヨーク条約による執行を考えて,被告地主義は避けるという考えもあるでしょう。

 

 このように,当該事案を離れて,一般的・抽象的にどこに裁判管轄権を付与したら良いのかということを考えるのではなく,当該取引の性質・内容,取引規模,相手国の司法制度や強制執行制度,訴訟提起の可能性とその内容などを総合的に考慮して,ケースバイケースで交渉するというのが現実だと思います。

 

→next【英文契約書の相談・質問集8】 準拠法と裁判管轄を日本にしておけば安全ですよね。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集8 準拠法と裁判管轄を日本にしておけば安全ですよね。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「準拠法と裁判管轄を日本にしておけば何かあっても大丈夫ですよね。」というものがあります。

 

 これは,一言で回答すると,「大丈夫ではありません。」ということになります。

 

 もちろん,ある取引で問題や紛争が生じた場合に,これらに適用される法律を日本法とし,紛争解決機関として日本の裁判所を選定しておけば,日本企業にとっては,紛争時の対応がしやすいということはあるでしょう。

 

 しかしながら,例えば,日本で裁判をして勝訴判決を得たところで,相手方がその判決に従って義務を履行しない場合に,勝訴判決に基づき相手方の国で強制執行などをしなければならないとき,それは可能であるか,どの程度の費用や時間がかかるのかなどについては,国によってまちまちです。

 

 また,裁判には,弁護士費用も相当にかかります。確かに,海外で裁判するよりは,日本での裁判の方がどの程度の費用が裁判にかかるのかは読みやすいでしょう。

 

 しかし,たとえ,準拠法と裁判管轄を日本としていても,相手方が現地の裁判所に訴えて,当該裁判所がこれを認めて訴訟を受理してしまうこともありえます

 

 そうなれば,現地の弁護士を雇って,当地での裁判に対応しないと敗訴してしまう可能性があります。

 

 このような場合は,弁護士費用も高額になりがちです。海外での裁判となると,ケースバイケースですが,現地の弁護士費用だけで,少額でも数百万円,紛争の内容によっては,千万単位,億単位になることも珍しくありません。これは中小企業にとっては,相当に高コストといえます。

 

 また,日本気が洋画海外で訴訟をする場合は,現地の弁護士だけではなく日本の弁護士も雇って対応するのが通常でしょう。そうなれば,日本の弁護士費用もかかってきます。

 

 さらに,相手方の国の法律によっては,契約書で日本の裁判所を管轄とすると合意していても,その合意管轄の規定を無効とするという場合もあります。

 

 したがって,準拠法と裁判管轄を日本にしておけば安全であるということはないのです。

 

 そもそも,日本であれ,海外であれ,訴訟などの法的手続きにより紛争を解決するとなると,程度の差はあれ,時間と費用が相当にかかります。

 

 そのため,知的所有権関係などの特殊な場合を除き,中小企業が国際取引を行う場合は,訴訟等によらずに紛争解決をすることを前提に考えることをお勧めしています。

 

 まずは契約の段階で,契約書をきちんと交わす,売掛を残さない取引条件とする,事前調査を十分にしてトラブルが生じそうな相手と取引しない,トラブルにならないように商流を考える,模倣などを避けるためにブラックボックスを残す…など事前の対応策を検討する方がはるかに現実的です。

 

→next【英文契約書の相談・質問集9】 契約書のドラフトは売主・買主のどちらが作るのでしょうか。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集9 契約書のドラフトは売主・買主のどちらが作るのでしょうか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約書のドラフトは売主・買主のどちらが作るのでしょうか。」というものがあります。

 

 もちろん,どちらが作っても問題はありません。しかしながら,やはり自社で作成したほうが有利な内容を作れるので,極力自社で作成したほうが良いでしょう。

 

 ただ,バーゲニングポジション(どちらの当事者が有利な立場にいるか)の関係や,例えば,ライセンス契約など,基本的にライセンサーが条件を決める契約など,いつも自社がドラフトを作成できるとは限りません。

 

 バーゲニングポジションは,一般的には,その取引をより欲している方が,立場が弱くなります。

 

 なお,都合により相手方が英文・英語契約書のファーストドラフトを作るということになった場合でも,必ず,自社で内容を精査し,必要な修正要求はしなければなりません。

 

 決して,読まずにサインしたり,読んでも修正は無理だろうと自社で判断して,そのままサインしてはいけません。

 

 修正ができないケースももちろんありますが,その場合でも,どこにどういうリスクがあるのかをしっかりと把握し,そのリスクが顕在化した場合の対処法を自社で検討し,場合によっては,相手方にそのような場合の協力体制について確認しておくことが有効な場合もあります。

 

 なお,これはマナーレベルの話ですが,修正をするときはどこをどのように修正したのかが相手方にわかるように履歴をつけるのが良いと思います。

 

 たまに,ドラフトの修正を複数回往復しているとき,相手方が,こちらにわからないように重要な条件や数字をいつのまにか変更しているということがあります。

 

 見落としてサインしてしまうと危険な状況になりますので,注意が必要です。

 

 まとめると,ドラフトは,できるだけ自社で作るほうが良いが,相手方が作成する場合には,内容を精査し,可能な限り修正要求をするということになります。

 

→next【英文契約書の相談・質問集10】 秘密保持契約書があれば秘密は守られますか。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集11 MOUには法的拘束力がないので義務は生じないですよね。

 

 英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問に「MOUには法的拘束力がないので義務は生じないですよね。」というものがあります。

 

 確かに,一般的には,Memorandum of Understanding(MOU)(「覚書/予備的合意書」)には法的拘束力がないともいわれています。

 

 しかし,安易にそのように解釈するのは危険です。

 

 例えば,準拠法が日本法になっている場合,英米法圏とは異なり,日本には,契約準備段階の過失や契約締結上の過失など,まだ当事者が正式契約に入っていない段階でも,信義則(英米法でいうところのGood Faithに相当)上一定の義務を負うとされていますので,この法理との関係で問題がある場合があります。

 

 また,仮に日本法における上記のような法理がなかったとしても,MOUの書きぶり・内容いかんによって,全体的または部分的に法的拘束力があると解釈される余地はあります。

 

 そのため,法的拘束力を発生させたいのか,発生させたくないのか,部分的に発生するものとそうでないものを分けたいのか,きちんと考え,そのとおりに書くほうが無難です。

 

 部分的に法的拘束力を生じさせたい場合は,法的拘束力を生じる条項を列挙すれば大丈夫です。

 

 もちろん,MOUである以上,各当事者の権利義務が明確でないなど様々な事情からこのように明確にできない,または,明確にすべきでないということも現場ではあります。

 

 ただ,あくまで,原則論としては,曖昧にしないほうが良いでしょう。

 

→next【英文契約書の相談・質問集12】 英語ができるので契約書は自分で作ったり修正すれば良いですよね。 

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集12 英語ができるので契約書は自分で作ったり修正すれば良いですよね。

 

 英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問に「英語ができるので契約書は自分で作ったり修正すれば良いですよね。」というものがあります。

 

 英語ができる方の場合,英文・英語契約書を読んで,書いてある内容はわかると思います。

 

 特にService AgreementやSales Agreementなどの条件面の内容などは,ビジネスの中身そのものであるため,よく理解できると思います。

 

 そして,そのビジネス上の条件が交渉の内容に合っているのか,自社に有利なのか不利なのかもビジネス上の判断として可能だと思います。

 

 もっとも,英文・英語契約書は,基本的に英米法・コモンローの考え方に基づいて作成されています。

 

 そのため,法的な権利義務に関する内容になると記述がかなり専門的になり,英語ができる方もそもそも読むのに苦労するとよく聞きます。

 

 また,読んで意味を理解したつもりでも,英語の意味と,英米法での意味が異なることがあるため,間違った理解をしていたり,危険性を軽く見てしまっていることもあります。

 

 さらに,その英文・英語契約書に適用される法律を英米法以外の国(例えば日本)などにしていると,英米法を基礎として書かれた内容が,日本法(選択した準拠法)の下でどう解釈される可能性があるか,どのように理解すべきかという問題も生じます。

 

 また,英文・英語契約書を読んで,自社に不利な内容があるのを発見し,修正したいと考えた場合にも,貴社に有利な内容にするために本当にその表現で合っているかということも法的な観点から見る必要があるので,単に英語で表現すれば良いというわけではないことがあります。

 

 そのため,英文・英語契約書に関しては,できれば,英語が得意な方でも,専門家にレビュー・チェックしてもらったほうが安全だと思います。

 

 レビュー・チェックは,和訳とは異なるので,上記のような法的な見地から,契約書をどのように解釈すべきか,どの程度のリスクがあるのか,どのように修正すべきかなどについてアドバイスを受けられます。

 

 レビューによりアドバイスを受ける成果物のイメージは下記をクリックして頂ければつかめるかと思います。

 レビュー・チェック業務の概要は動画でも説明しています。

 

 

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英文契約書質の相談・問集13 海外の取引先と揉め事が起こった場合どうすれば良いでしょうか。

 

 英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問に「海外の取引先と紛争などが生じた場合,どのように対応すれば良いでしょうか。」という質問があります。

 

 これは,当然ではありますが,紛争の内容や紛争のレベル,どの程度の時間が経過しているかなどの状況によって,対処法が異なります。

 

 例えば,輸入者である日本企業が購入した商品に欠陥があり,欠陥について売主にクレームを入れているが,なかなかまともに取り合ってくれないという場合があったとします。

 

 まずは,訴訟などの法的手続きを考えるのではなく,当然ですが,当事者間において交渉を試みます。

 

 前提として,製品に欠陥があった場合にどのような救済手段があるのか,英文・英語契約書見て,どのように記載されているかを確認する必要があります。

 

 製品の売買契約においては,一般的に,買主の救済手段としては,1.商品を欠陥のないものと交換する,2.代金を減額(返品)する,3.欠陥を補修するなどが定められていることが多いです。

 

 これらの救済手段は,売主がどの手段を使うのかについて選択権を持っていると定められていることがあります。

 

 もし,売主が欠陥の存在について争っているような場合は,欠陥があることを証拠によって証明し,きちんと契約書に定められた救済をするよう求めていくことになります。

 

 証拠としては,写真を撮影したり,実際の欠陥品の幾つかを売主に送付したり,第三者に調査してもらいレポートを提出するなどが考えられます。

 

 このようにして,説得していくことがまずは大切です。欠陥がある程度立証できるもので,取引額もそれほど多額ではないケースであれば,ある程度の段階で売主と和解できることが多いでしょう。

 

 より深刻なケースで,欠陥の存在について確たる証拠がなく(または,欠陥にあたるかどうかの許容範囲について双方の見解が異なるということもよくあります。),双方の主張が対立したまま長期間が経過するような場合は,当事者同士の交渉は終了させ,正式に弁護士からクレームレターを送付することが考えられます。

 

 この場合,英文/英語契約書において準拠法がどこの国と定められているかによって,選任すべき弁護士が異なってきます。

 

 日本になっていれば,日本の有資格弁護士を雇い,主に書面にて売主本人または売主の代理人弁護士と交渉をしていきます。

 

 なお,たとえ日本法が準拠法とされていたとしても,現地の弁護士をさらに選任し,日本の弁護士と現地の弁護士と協力して相手方弁護士と交渉していくということも多いです。

 

 日本法が適用されるとはいっても,現地の弁護士間の紛争解決についての「常識」やプラクティスがありますし,時差もあるため,現実には現地の弁護士にも動いてもらいながら,日本の弁護士がハブ的な役割を果たすということもよくあります。

 

 一般的には,弁護士間の交渉に至れば,紛争はどこかで着地し,和解により解決することが多いと思います。私のイギリスの経験でも9割以上は和解で終わっていたという印象です。もちろん,紛争内容,業界の種類にもよりますが,多くが和解で解決しています。

 

 訴訟や仲裁は,長期化しやすく,長期化すればするほど弁護士費用などのコストが膨大になります。また,裁判所や仲裁人の判断を予測するには困難が常にあり,当事者が予想した範囲を超える結論になることもあるため,まずは和解を目指すのが実務の常識となっています。

 

 一般に,国際取引では,訴訟よりも仲裁が選択されている方が多いでしょう。理由はいろいろとありますが,一般によくいわれるのは,ニューヨーク条約により,異国での執行が容易な場合が多い,非公開である,上訴ができないという点でしょう。

 

 もっとも,強制執行を考える(その可能性が現実的にある)のであれば,あえて相手方の地の訴訟にした方が適切だという場合もありますし,仲裁を選択するにしても,どこの地で行うのかにより有利不利が大きく変わる場合もありますので,最終的には個別の案件ごとに判断すべきということになります。

 

→next【英文契約書の相談・質問集14】 英文契約書は和文契約書を英訳して作成すれば良いですよね。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集15 英文契約書はネットにある雛形を変更して作れますよね。

 

 英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問に「英文契約書はネットにある雛形を変更して作れますよね。」というものがあります。

 

 弁護士の中には,ネットの雛形を利用するのは危険だという人も多いと思います。

 

 もちろん,ネットにある雛形の出来がどうなのかという根本問題はありますが,中にはきちんとしているものもあるのも事実です。

 

 反対に,まったく何もない状態から,英文契約書を作成するとどのような問題があるでしょうか。

 

 まず,書きたい内容について表現のミスをする可能性が高まります。検証されていない文章をゼロから作成するので,それだけミスが起こる可能性が高まります。

 

 また,条項漏れの可能性も高まります。英文契約書では,種類ごとにリスクなどがある程度定型化されています。要するに,どの条項がどういう契約に必要かというのは,最低限のレベルである程度決まっているといえます。

 

 それなのに,ゼロから作るということは,本来ゼロから書く必要のない条項の作成に多くの時間を要し,また,本来最低限必要であるのに,その条項を入れ忘れるなどというミスが起こりえます。

 

 そのため,結論としては,ネットにあるものでも標準的なレベルにある契約書である限り,私はドラフトを編集して作成するほうが,ミスする可能性を減らす,時間を節約するという観点で,妥当だと思います。

 

 実際,イギリス留学中にソリシターの養成講座でもそのように習いました。

 

 英文契約書は,小説などの作品とは異なり,必要な内容を正しい表現で表すべきであり,独自の表現の美しさなどは求められていません。

 

 そのため,既存のものを利用するのは間違いとは言えないでしょう。

 

 もっとも,既存のドラフトは最低限の内容を担保するというにすぎませんので,本件取引,貴社の立場に合わせて,今回の取引にフィットする契約内容に変更することが最も大切であることは言うまでもありません。 

 

→next【英文契約書の相談・質問集16】 不可抗力で振込ができなかった場合ペナルティはないですよね。

 

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英文契約書の相談・質問集16 不可抗力で振込ができなかった場合ペナルティはないですよね。

 

 英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問として,「不可抗力で振込ができなかった場合ペナルティはないですよね。」というものがあります。

 

 不可抗力というのは,自然災害など当事者がコントロールできない事由のことを指します。

 

 日本法の場合,当事者が債務不履行責任により損害賠償や契約解除を請求するには,相手方に不履行について責めに帰すべき事由が必要とされていますので,不可抗力による場合,基本的に免責になります。

 

 もっとも,各国によって,この考え方は異なっていて,例えば,英文契約書の基礎的概念として採用されている事が多い英米法においては,債務不履行責任を生じるのに当事者の帰責事由は原則として不要(厳格責任)とされています。

 

 したがって,例えば,英国法を準拠法とするような契約の場合,不可抗力による免責を認めるためには,不可抗力免責の条項(Force  Majeure)が必要となります。

 

 ただし,金銭債務については,このような不可抗力免責とは無関係としている国が多いと思います。

 

 日本法においても,当事者に帰責事由がなくとも,金銭の支払債務については債務不履行責任が生じます。

 

 したがって,例えば台風によって銀行が閉まっていて振込ができなかったと言うような場合でも,多くの場合は,遅延損害金という賠償責任が生じたり,相手方に契約を解除されたりするということになります。

 

 このことを明確にするため,不可抗力条項を作成する際,念のため,金銭債務については,不可抗力によっても免責されないと明記することもあります。

 

→next【英文契約書の相談・質問集17】 販売店・代理店に独占販売権を与えるべきでしょうか。

 

 

 

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英文契約書の相談・質問集17 販売店・代理店に独占販売権を与えるべきでしょうか。

 

 英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問に,「販売店・代理店に独占販売権を与えるべきでしょうか。」というものがあります。

 

 貴社が,海外の事業者を販売店や代理店として指名し,販売店を通じて自社商品を海外で販売展開するということがあったとします。

 

 その場合,販売店としては,貴社の商品を独占的に販売し,他社を販売店に指名したり,貴社が直接現地の顧客に商品を販売できないようにしたいと考えることが多いです。

 

 いわゆる総代理店(販売総代理店/一手販売店)というものです。

 

 貴社と販売店との間にすでに取引が行なわれていて,一定期間の付き合いがあるという場合であれば,頃合いを見て,独占権を与えるということはありうるでしょう。

 

 問題は,これから初めて取引をする場合に,最初から販売店に対し独占販売権を与えてよいかどうかです。

 

 この点は,売主側からすると,慎重になったほうが良いというべきでしょう。
 

 まだ販売店の実績もなく,パフォーマンスがわからない状態で,独占販売権を与えてしまうと,販売店のパフォーマンスが悪かった場合でも,契約期間中は,他の販売店を指名したり,自社で販社を設立して自社で販売展開するなどもできないことになってしまいます。

 

 特に商品がまだよく認知されていない導入期にあるような場合はより注意が必要です。

 

 テストマーケティングを繰り返し,実際に販売をしてもらい,現地での販売で貴社が十分に利益を確保できる状態になってから独占販売権を与えるのが理想といえるでしょう。

 

 もちろん,いつも理想的な流れで取引ができるわけではありません。ときには,最初から独占販売権を与えなければならないという事情もあります。

 

 その場合は,契約期間を考慮する,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity)を定める,競業避止義務を定める,解除の条件を明確にするなどして,十分に貴社商品の販売に集中するような体制を作り,パフォーマンスが悪ければ契約から離脱できるようにしておくことが必要であることはいうまでもありません。

 

→next【英文契約書の相談・質問集18】 準拠法を定めておけば他の法律は適用されないですよね。

 

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