英文契約書の相談・質問集288 販売店契約の購入ノルマは数量か金額どちらで決めるべきですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店契約の購入ノルマは数量か金額どちらで決めるべきですか。」というものがあります。
 

 例えば,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)において,販売店(Distributor)がサプライヤーから,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)として,年間1万個を購入しなければならないと数量(Quantity)で定めるのか,5,000万円分購入しなければならないと金額(Amount)で定めるのかという話です。
 

 例として,日本企業がサプライヤーで,外国企業が販売店(Distributor)として商品代金は日本円で払うということになっていたとします。
 

 そして,ここでは,商品1万個が5,000万円に相当していると仮定します。
 

 この場合,一見,数量で定めようが,金額で定めようが,ノルマとしては同じであるように思えます。
 

 ただ,当然ですが,両者の意味合いは実質的には全く異なります。
 

 例えば,個数で定めた場合,サプライヤーが契約期間中に商品の値段を上げても,販売店(Distributor)は1万個買わなければなりません。
 

 そのため,個数で定められた場合,商品の値上げ時にはサプライヤーが有利で販売店(Distributor)は不利ということになります。
 

 商品の価格は値上げはあっても値下げはあまりされないので,個数で定めるのは一般的にはサプライヤーに有利となります。
 

 では,金額でノルマを定めた場合はどうでしょうか。
 

 この場合,商品を5,000万円分購入すればノルマを達成できるわけですから,仮に商品の代金が値上げになっても,販売店(Distributor)の負担金額に変更はありません。
 

 そのため,値上げに対しては,金額でノルマを定めたほうが販売店(Distributor)にとって有利であり,サプライヤーにとって不利ということになります。
 

 では,上記とは異なり,商品代金が日本円ではなくUSドルで定められている場合,どうなるでしょうか。
 

 この場合,日本企業が販売店(Distributor)で,サプライヤーがアメリカの企業であるとしましょう。
 

 ノルマは数量で年間1万個,金額で50万ドルとしましょう。
 

 まず,数量でノルマが定められている場合はどうなるでしょうか。
 

 販売店(Distributor)は1万個のノルマがあるので,1万個の商品を年間で買わなければなりません。
 

 この際,USドル決済なので,為替リスクを日本企業が負うことになる点が,冒頭の例と異なる点です。
 

 1万個を購入するのに,円安に為替レートが進むと,当然ですが,日本企業の実質負担額は大きくなります。
 

 逆に,サプライヤー側は1万個をUSドルで発注してもらえますから,為替レートの影響は受けません。
 

 もちろん,為替レートが円高に進めば,日本企業に有利になりますので,為替レートはどちらにも振れるリスクがあるギャンブル的要素となるといえるでしょう。
 

 さらに,販売店(Distributor)は冒頭の日本円決済の例と同様,サプライヤーが商品の値段を上げた場合,その値上げ分の負担も増大することになり,この点もリスクも販売店(Distributor)が負っていることになります。
 

 つまり,USドルでの決済の場合,値上げの危険は前半の例と同様ですが,為替レートがどちらに振れるかわからないというリスクも販売店(Distributor)は負担することになるのです。
 

 次に,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)が金額で定められている場合はどうでしょうか。
 

 販売店(Distributor)は,年間50万ドル分購入する義務がありますから,50万ドルをサプライヤーに支払うことになります。
 

 この場合は,商品の値上げは関係なく,とにかく50万ドルをサプライヤーに支払えばノルマは達成できるので,値上げリスクは関係ないですが,為替レートの変動リスクは販売店(Distributor)が負うことになります。
 

 為替レートが円安方向に進行すれば,日本企業の支払金額は円ベースでは増大しますので,負担が大きくなります。
 

 逆に,為替レートが円高に進行すれば円ベースでの実質負担が減り日本企業には有利になります。
 

 このように,外国通貨決済の場合,為替レートの変動により日本企業(販売店(Distributor))が有利になるのか不利になるのかという要素が加わってくることになります。
 

 以上のとおり,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)において,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)を数量で定めるのか,金額で定めるのかにより違いが生じることになります。
 

 一般的には,個数で決めるほうが,商品の値上げを想定できるのでサプライヤーに有利になり,金額で決めるほうが,商品の値上げの影響を受けないので販売店(Distributor)にとっては有利という傾向にあるといえると思います。
 

 もちろん,個数で決めた際に商品価格が値下げされれば,販売店(Distributor)にとって有利になるので,一概には言えないと思われる方もいらっしゃると思いますが,私の経験から商品価格の値下げがなされることは滅多にないので,やはり金額で定めたほうが販売店(Distributor)にとっては危険は少ないと思います。
 

 いずれにせよ,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)は,数量で決めるのか金額で決めるのかで違いはないように見えるかもしれませんが,実際には大きな違いを生むことがあるので,慎重にどちらかを選択しなければなりません。
 

→next【英文契約書の相談・質問集289】海外取引では判例は大切ですか。

 

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英文契約書の相談・質問集289 海外取引では判例は大切ですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「海外取引では判例は大切ですか。」というものがあります。
 

 もちろん,大切です。判例は,具体的な過去の紛争に対して下した裁判所の判断ですので,類似のケースがあれば,裁判所が類似の判断をしてくれる可能性が高く,それが当事者に有利であれば,強力なバックアップになります。
 

 ちなみに,判例は英語ではPrecedent(プレシデント)といいます。
 

 ただ,国際取引において判例に頼るのは非常に危険です。
 

 まず,そもそもその判例はどこの国の裁判所の判断でしょうか。例えば,日本の裁判所の判例なのであれば,契約書で準拠法が外国法,紛争解決も外国の裁判所となっているとその判例は役に立ちません。
 

 また,仮に,準拠法が日本法で,紛争解決も日本の裁判所で行うとなっていても,判例はあくまでその事例での判断です。
 

 そして,言うまでもありませんが,紛争の事案というのは1件1件事情が異なっています。
 

 例えば,契約書で最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)(ノルマ)の定めがあり,それを達成できなかった場合にペナルティとして,契約解除は書かれているけど,損害賠償請求までできるのかは書かれていないという場合を考えてみます。
 

 仮に,過去の判例では,損害賠償請求も認められ,例えば,5年契約で5000万円のノルマなのに2年目に3500万円しか到達していないとなった場合,差額の1500万円から製造原価を引いた額の損害賠償請求と,3年目の1年間の逸失利益(1年間は次の販売店が見つからないだろうという判断)の損害賠償請求が認められていたとします。
 

 しかしながら,これが今回のケースにも当てはまるかはわかりません。
 

 取引の実態も違うでしょうし,取引に至る経緯や,交渉時に今回の当事者間でどのようなやり取りがあったかも違うでしょう。
 

 契約書にEntire Agreement(完全合意)条項があるかないかで,契約書外の事情がどこまで考慮されるのかが異なってくることもあるでしょう。
 

 裁判所は,契約時の当事者の合理的な意思解釈によって,どこまでの救済措置を認めていたのかを判断しますが,判断の基礎になる事情が全く同じということはありえません。
 

 そのため,今回のケースにも以前の判例と同じような判断が適用されるかは,現実には未知数なところがあるわけです。
 

 以上から,判例に頼るのは危険だということがわかると思います。
 

 さらにいうと,特に国際取引に関する紛争では時間やコスト面から,裁判で紛争解決するケースはまれです。
 

 ほとんどが当事者同士の交渉による解決を目指すことになります。ところが,取引先は日本の判例など知らないでしょう。
 

 そうすると,ノルマ未達の場合に,サプライヤーの日本企業が日本の判例を持ち出して説得しようとしても,取引先は異国の裁判所の判断に歩み寄ろうとの理解を示さないのが普通でしょう。
 

 それでも日本の判例を根拠に戦いたいとなれば,最終的には訴訟を提起する他ないという結論になることもあると思いますが,訴訟は多大なコストと時間を要しますので,多くの中小企業にはハードルが高すぎて非現実的な選択肢になってしまいます。
 

 ですから,訴訟を前提に判例を拠り所にするのはあまり現実的な方策とは言えないのです。
 

 それよりも,契約書に明確にペナルティとして損害賠償請求が可能で,その範囲もこの範囲だと書かれているほうが,それを見せれば明らかなのですから,交渉における説得の武器として強いわけです。
 

 このように,判例(Precedent)(プレシデント)が重要なのは当たり前ですが,それに頼るのではなく,特に国際取引ではきちんと書き漏らしがないようにすべての事態を書き込んで,トラブルになったときに契約書の内容をもって相手を説得できるようにしておくことがより重要です。

 

→next【英文契約書の相談・質問集290】販売店に在庫をダンピングされないためにはどうすべきですか。


 

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英文契約書の相談・質問集294 英文契約書のドラフトのやり取りでの注意点は何ですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書のドラフトのやり取りでの注意点は何ですか。」というものがあります。

 

 当事者のどちらかが契約書のドラフトを作り,それを相手に渡して,相手が内容を検討し修正をします。

 

 これをお互いに何度か繰り返して,最終的に内容をフィックスさせてサインに至るというのが一般的な契約書締結の流れです。

 

 では,このやり取りで注意すべき点は何でしょうか。

 

 まず,ドラフトを修正するときはどこをどのように修正したのかがすぐに分かるようにマーキングしたり,修正履歴を施したりしましょう。

 

 また,なぜその修正をしたのかが一読して明らかではない場合は,コメントに修正の理由も書くと良いでしょう。

 

 これをお互いにすれば,検討の時間を短縮できますので,お互いにとってメリットがあります。

 

 こうした修正箇所を明らかにするということをしないと,どこを修正したのか毎回全体を読まなければいけませんし,修正の理由も書いてないといちいち質問したりしなければならず,時間がかかってデメリットが大きいです。

 

 弁護士を使っていれば,タイムチャージもかさみますし,時間だけではなく費用もかかってしまいます。

 

 そのため,無駄な時間と費用を節約するために,お互いに契約書の内容を検討しやすい工夫をしましょう。

 

 たまに,修正した箇所を明らかにしてこない企業や,修正後の契約書を印刷して送ってくる企業がありますが,このような企業には,修正履歴をつけることと,内容が確定するまでデータでやり取りすることを要求しましょう。

 

 もし不合理な理由でこれらの要求を拒絶するようであれば,信用に値しない取引先かもしれませんので注意しましょう。

 

 実際,私のお客様の中にも,重要な金額の部分を修正しているのに履歴を付けず,他の些末な修正箇所には修正履歴を付けて契約書を送付してきて被害に遭いそうになった事例があります。

 

 このようなこともありますので,問題がありそうな取引先の場合,相手の修正履歴を過信せず,自社でも独自に修正箇所を確認することをおすすめしています。

 

 このようなやり取りをして最後に内容が固まったら,印刷してサインするという段階になりますが,ここでも注意が必要です。

 

 印刷する直前に,合意した内容とは異なる内容に修正した上で印刷をし,サインをして送ってくるという企業もたまにあります。

 

 売買代金やロイヤリティの金額や契約期間など重要な数字を印刷直前に変更して送ってくるのです。

 

 こうなるとほとんど詐欺ですが,英文契約書にはEntire Agreement(完全合意)条項が入っているので,最後にサインしたものだけが効力を有するとされてしまいます。

 

 そのため,メールのやり取りで印刷の直前で合意したファイルの内容が本来の合意内容だと主張しても負けてしまう可能性があります。

 

 こうしたことをされる危険があることは理解しておきましょう。

 

 このような不正行為を避けるためには,自社のほうで先に印刷して相手方に送付するほうが良いかと思います。

 

 その際には,ページの差し替えを防止するために各ページにイニシャルサインをすることも忘れないで下さい。

 

 もしこのようなことを自社がすれば,業界内で悪い評判が立つなど,中長期で問題を生じる可能性が高いので,自社がこうした行為をするというのは当然ですが避けましょう。

 

 海外企業にはこのような不正行為をしてくる企業も中にはあるということだけは理解して取引に臨んで下さい。

 

→next【英文契約書の相談・質問集295】販売店契約終了後も競合品の取扱いを禁止できますか。

 

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英文契約書の相談・質問集295 販売店契約終了後も競合品の取扱いを禁止できますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店契約終了後も競合品の取扱いを禁止できますか。」というものがあります。
 

 例えば,日本企業がサプライヤーとなって,販売店(Distributor)と独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)を交わし,商品を販売展開するとします。

 

 この場合,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)なので,サプライヤーは,通常,①最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)の条項と,②競合品の取扱禁止(Non-Competition)の規定を契約書に入れます。

 

 サプライヤーとしては,販売店に一定の地域内での商品の独占販売権を渡すことになるので,それ相応の制約を販売店に課して,パフォーマンスを最大化したいという思惑があるためです。

 

 商品の独占販売権を与えながら,競合他社の競合品も同一の販売店が販売してよいとなると,サプライヤーの商品販売に不当な悪影響が出る可能性があるので,競合品取扱いを禁止するのが一般的です。

 

 この競合品の取扱禁止(Non-Competition)は,契約期間中であれば,独占禁止法や競争法(Competition Law)上も問題を生じにくいのですが,契約終了後も競合品の取扱いを禁止する内容の場合はどうでしょうか。

 

 このような内容の規定は,一般的には独占禁止法や競争法に違反し無効となる可能性が高まります。

 

 ただ,サプライヤーが特殊な営業ノウハウなど機密情報に該当するような情報を販売店(Distributor)に提供していて,その機密情報を守るために,契約終了後も一定期間競合品の取扱いを禁止するような場合は例外的に有効になる可能性があるかと思います。

 

 例えば,サプライヤーの扱う商品が特殊なもので,競合他社も少なく,マーケットが小さいような場合に,サプライヤーが新規顧客の獲得方法と顧客の維持方法について特殊なノウハウを販売店(Distributor)に提供していたとします。

 

 そして,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)終了後に,販売店(Distributor)が,他社製品を売るためにそのノウハウを利用して顧客を獲得・維持していたとなれば,サプライヤーは不当な打撃を受けてしまうといえます。

 

 こうしたことを防ぐために競合品の取扱いを禁止するのであれば有効になる可能性があるということです。

 

 もちろん,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に守秘義務条項が入っていると思いますが,機密情報の該当性を証明するのに一定のハードルがあったり,秘密保持義務違反をサプライヤーが立証するのが困難であったりという問題があるのです。

 

 そのため,秘密保持義務違反の立証ではなく,「競合品を販売した」という立証が容易な事実の証明をすれば損害賠償請求等ができるように,このような規定を入れることがあります。

 

 もちろん,販売店に対する規制が広すぎると独占禁止法や競争法の問題を生じますので,合理的な期間内に抑える必要があります。

 

 準拠法によりますので一概にはいえませんが,一般的には半年から最大でも2年位と思われます。

 

 このように,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)における競合品取扱禁止規定は,原則契約期間中に限定していたほうが無難ですが,一定の要件を充たせば契約終了後もなお有効と考えられることもあると理解しておきましょう。

 

→next【英文契約書の相談・質問集296】知的財産権と産業財産権の違いは何ですか。

 

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英文契約書の相談・質問集298 例外的に後払い対応をしても良い場合はありますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「例外的に後払い対応をしても良い場合はありますか。」というものがあります。

 

 日本企業が外国企業に商品を卸す場合,基本的には全額前払いをおすすめしています。

 

 出荷前に100%代金を払ってもらい,支払いが一部でもなされなければ出荷を停止するということができるようにするためです。

 

 また,受注生産などの場合は,注文時・生産開始前にも製造原価分くらいは払ってもらい,残りを出荷前に払ってもらうということにすることをおすすめしています。

 

 そうしないと,サプライヤーが製造コストを負担したのに,買主が何らかの事情で製品が不要となったという理由で代金を払わないと,サプライヤーとしては出荷を停止したところで対抗措置にならないからです。

 

 買主も事情が変わり商品が要らなくなったということであると,買主は出荷停止をされても痛くも痒くもないため,出荷停止という措置に意味がなくなってしまうのです。

 

 また,損失回避のためにサプライヤーが製品を転売できればまだ良いですが,受注生産品だと転売も難しく,大きな損失を被る可能性があります。

 

 そのため,受注時に製造原価分くらいは払ってもらって赤字にならないようにしなければなりません。

 

 ただ,例外的に後払いをすることが可能になる方法が一応あります。

 

 それは,買主に保証金・預り金を預託してもらうことです。

 

 例えば,取引の3−6ヶ月分相当くらいの金額をあらかじめ預託してもらっておけば,もし買主の支払いが滞っても,保証金から充当できますので,後払いでも対応可能です。

 

 支払いサイトにもよりますが,90日とか120日とかのサイトでも,6ヶ月程度に相当する取引分くらいの預託を受けておけば,後払いにしてもキャッシュフロー上耐えられるかと思います。

 

 買主が後払いを求める理由は,商品に問題があった場合の保険的な意味合いの他に,資金繰りのことが多いです。

 

 そのため,まとまった資金が事前に必要になる保証金の支払いに応じてもらえることは少ないとは思いますが,買主が資金繰り以外の理由で後払いを求めるケースなどでは使えることがあります。

 

 まとまった金額の保証金を預託できる会社であれば,財務状態も良好と判断できるので,個々の取引の支払い遅延もそれほど心配しなくても良いということにもなります。

 

 もちろん,一時金を用意できることと,キャッシュフローが良好であることはイコールではないですが,保証金を積めるということを与信判断の一つとしても問題はないでしょう。

 

 例外的なケースではありますが,一定の預託金を条件に後払い取引を行うということはありうると思います。

 

→next【英文契約書の相談・質問集299】裁判する前に知っておいたほうが良いことはありますか。


 

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英文契約書の相談・質問集296 知的財産権と産業財産権の違いは何ですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「知的財産権と産業財産権の違いは何ですか。」というものがあります。

 

 知的財産権産業財産権は,契約書によく登場する用語ですが,2つは似て非なる用語です。

 

 「産業財産権」といった場合は,特許権,実用新案権,意匠権,商標権の4つの権利の総称を意味します。

 

 これに対し,「知的財産権」とは,上記4つの権利に著作権を加えた概念を指します。 

 

 つまり,知的財産権のほうが広い概念で,産業財産権を包含する用語といえます。

 

 なぜ,産業財産権に著作権が含まれないかというと,産業財産権に分類される権利は,すべて登録手続きが必要とされているところ,著作権は,著作物が創られた時点で自動的に権利を取得する無届方式の権利だからです。

 

 著作権のみが知的財産権として保護されるために登録を必要とせず,これを含めた概念が知的財産権というわけです。

 

 要するに,産業財産権と知的財産権は,財産権としての保護を受けるために登録を必要とする権利のみで構成されているのか,登録不要の権利も含んでいるかで違いがあるということになります。

 

 上に挙げた権利のうち著作権だけが登録を受けずに,権利を取得できるものであり,これを除いたものを産業財産権と称し,これを加えたすべてのものを知的財産権と呼んでいます。

 

 ただ,特にこれらの呼称により何か法的な意味合いで違いを生じるということでもありません。

 

 そのため,どちらに分類されるかが特に重要な意味を有するというわけではないのですが,一応区別して理解するようにしたほうが良いでしょう。

 

 ちなみに,英文契約書では,産業財産権は「industrial property rights」と英訳して使うのが一般的です。

 

 これに対し,知的財産権は「intellectual property rights」と英訳されています。

 

 ただ,外国でも産業財産権と知的財産権を法的に意味がある区別をして理解しているわけではないのが一般的です。

 

 そのため,英文契約書では,産業財産権(industrial property rights)という用語を使用せず,知的財産権を表す英語として,intellectual property rightsを統一的に使用するのが通常です。

 

 当然ですが,産業財産権や知的財産権が,どういう条件で,誰に帰属するのか,誰に使用が許されるのかというのは重大な関心事です。

 

 したがって,英文契約書にこれらの権利が登場するときは,産業財産権なのか知的財産権なのかということはさておき,権利の帰属先や使用許諾の範囲などについて間違いがないか契約書を精査する必要があります。
 

→next【英文契約書の相談・質問集297】取引自体を断ったほうが良い場合はありますか。

 

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英文契約書の相談・質問集293 英文契約書と和文契約書の根本的な違いは何ですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書と和文契約書の根本的な違いは何ですか。」というものがあります。

 

 言うまでもないですが,英文契約書は英語で書かれている一方,和文契約書は日本語で書かれていますから,作成に使用されている言語が異なります。

 

 しかし,言語が異なるという以上に根本的な相違が両者にはあります。その点について解説したいと思います。

 

 この点,英文契約書は,基本的に英米法(コモン・ロー)の概念や考え方が基礎になって作成されていることが多いです。

 

 これに対して,和文契約書は,日本法の考え方に従って作成されているのが普通です。

 

 これが根本的に異なる点です。英米法に従って作られた英文契約書は,理由は色々あるのですが,長文であるという傾向があります。

 

 理由の一つとしては,英米法は,裁判所が具体的な事例において判断を示すという判例法で法体系ができあがってきたという歴史があるので,どういう場合にどのような結論になるのかがそれほど明確でないという特徴があることから,当事者が事細かに条件を取り決めることになり長文となるということが挙げられます。

 

 これに対し,日本法は大陸法の法体系に分類され,議会の制定法によって体系的にルールを制定する傾向にあるということと,日本の信頼関係を重視するという文化的な要素も相まって,和文契約書は短い傾向にあります。

 

 これらの違いから,英文契約書を和訳して契約書にすると,日本企業には長すぎて意味がわからないとなったり,逆に,和文契約書を英訳して契約書として使おうとすると短すぎて何も決めていないに等しいとして外国企業に拒絶されたりということが起こります。

 

 このように,英文契約書と和文契約書はその背景にある法体系や考え方の相違から,単に言語を置き換えても使えるようにならないということがよくあることを理解しておく必要があります。

 

 なお,英文契約書を和訳して契約書として使おうとすると,前述のように長文がゆえに意味不明であるとして,相手の日本企業から内容を簡略化するよう求められることがあります。

 

 ただ,英文契約書がMaster Agreement(マスターアグリーメント)となっており,海外本社の意向により,和訳の内容が英文契約書の内容と相違してしまうような変更はできないこともあります。

 

 このように,英文契約書と和文契約書の性質の違いから簡単に両者の言語を置換して使用できない場合があるので,なるべく原文を契約書として使用し,訳文はあくまで参考資料として添付するに留めるなどの工夫も必要となる場合があります。

 

 なお,この場合は,言語条項(Language Clause)を契約書に挿入し,あくまで法的効力を有するのは原文の言語で作成された契約書で,その他の言語については参考までに添付された訳文に過ぎず法的効力はないということを確認しておきましょう。

 

 ただ,必ずしも訳文を契約書として使用することが問題であるということではないと思っています。

 

 例えば,準拠法を日本法としつつ,和文契約書を英訳して英文契約書として使用する場合,英米法を背景にする契約内容にするより,準拠法が日本法である以上は日本法に従って作成したほうが妥当であるともいえます。

 

 また,準拠法が日本法になっているのに加えて,裁判管轄が東京地裁とされている場合も,日本の裁判は日本語でしかできないため,結局は契約書を和訳して証拠として提出することになります。

 

 この場合,もともとの和文を出せば済むことになるので,この点でも適切かと思います。

 

 実際,とりわけ相手が英米法圏の国の企業ではない場合,日本語の契約書を英訳した契約書でも受け入れられることがあります。

 

 そのため,準拠法次第では,あえてオリジナルを母国語で作成してそれを相手が理解できる別の言語に置換して契約書を作成するという方法もあながち誤りではないといえます。

 

→next【英文契約書の相談・質問集294】英文契約書のドラフトのやり取りでの注意点は何ですか。

 

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英文契約書の相談・質問集287 口頭でも問題なく契約は成立しますよね。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「口頭でも問題なく契約は成立しますよね。」というものがあります。

 

 日本も,私が留学していた英国も含め,多くの国では,一部の例外を除いて契約は書面ではなく口頭でも有効に成立します。

 

 では,わざわざ契約書のような書面にしなくても口頭の合意で十分なのでしょうか。

 

 結論としては,口頭での合意は非常に危険です。

 

 まず,当たり前ですが,言った言わないの世界になりやすいです。こうなると何を合意したのかが証明できなくなってしまいます。

 

 では,録音や録画があれば合意の存在と内容を証明できるので問題ないのでしょうか。

 

 もちろん,何もないよりは録音や録画があったほうが良いですが,書面に比べて証明力は弱いと考えるべきでしょう。

 

 録音や録画は編集が容易で,一部だけを切り取られている可能性があります。

 

 その合意意外に条件を合意していないのか,脅されていっているだけではないか,その話題をしていないときの言動なのではないかなどいろいろな反論が思いつきます。

 

 また,仮に言動としては何らかの約束をしていたとしても,それは,あくまで交渉過程での発言で,最終的に法的拘束力を持たせても良いという結論としての約束であるのかというのもわからないことがあります。

 

 交渉は一定期間何度もやり取りが繰り返されるため,その日の言動をもって必ずしも最終的な合意内容だということはできないからです。

 

 例えば,1月5日に合意した内容を撤回して,1月14日には全く別の内容で合意がされていても,14日の記録がなかったり破棄されていたりすれば,まるで5日の交渉内容が最終合意のように見えてしまいます。

 

 また,英米法にはParol Evidence Rule(口頭証拠排除法則/原則)(パロール・エビデンス・ルール)というものがあり,最終的に契約書のような書面を交わすと,それまでの口頭やメールなどによる合意はすべて排除されるという法則/原則があります。

 

 さらに,英米法が適用されない場合でも,英文契約書には通常Entire Agreement(完全合意)条項が挿入されているため,これにより,契約書締結以前の口頭合意の効力が排斥されることにもなります。

 

 つまり,最終的に契約書のような書面を締結するとそれまでの口頭での約束は意味がなくなってしまうのです。

 

 口頭での約束はこのような弱い意味合いしか持たないのが契約実務だといえるのです。

 

 したがって,口頭でも契約は成立するというのは正しいですが,だからといって,契約は口頭ですれば足りるというのは現実的には誤りだということがおわかり頂けると思います。

 

 合意は,きちんと書面にして締結することを心がけるようにしましょう。

 

 以上のように,書面でなされた合意には,①どういう内容の合意をしたのかという合意内容を証明し,かつ,②その合意内容が当事者が合意した約束事の最終形であることを示す役割があるのです。

 

→next【英文契約書の相談・質問集288】販売店契約の購入ノルマは数量か金額どちらで決めるべきですか。

 

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英文契約書の相談・質問集297 取引自体を断ったほうが良い場合はありますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「取引自体を断ったほうが良い場合はありますか。」というものがあります。

 

 例えば,日本企業がサプライヤーとして,海外の企業を販売店(Distributor)に指名して現地で自社商品を販売展開したいと考えたとします。

 

 この場合,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)締結に向けて交渉をするわけですが,あえて契約を締結せずに取引を断ったほうが良いという場合はあるのかというのがこの記事のテーマです。

 

 契約書は,その内容についてお互いがそれなりに譲歩をして最終的には調印に至ることが多いです。

 

 そのため,お互いが譲歩をせずに交渉が決裂し,最終的に取引自体が開始されないということはそう頻繁に起こることではありません。

 

 ただ,契約書の内容の中には重要なものもあり,その条項を拒否してきたり,重要な契約内容を販売店(Distributor)に有利に変更しようとしたりするのであれば,そもそも信頼できないため,交渉を打ち切り取引を開始しないほうが良いというケースも存在します。

 

 例えば,秘密保持義務(Confidentiality)を拒否してきたり,守秘義務に違反した場合の妥当な違約金(損害賠償の予定/Liquidated Damages)の支払いを拒否してきたり,違約金の金額を非常に少なくする修正要求をしてきたりする場合です。

 

 秘密保持義務は,言うまでもなく非常に重要な義務です。これに違反した際に,小額の違約金の支払いしか約束しないというのは,ある意味,その金額を払ってサプライヤーの機密情報をこれを不正利用すると言っているようなものです。

 

 理論的には,予定された賠償金額を支払いさえすれば,秘密情報を買えるということに等しいからです。

 

 そのため,このような条項に合理的な理由なく賠償金の上限を設けるように修正要求をしたり,損害賠償の予定条項を削除要求をしたりする取引先は簡単に信用しないほうが良いでしょう。

 

 なお,損害賠償の予定条項で賠償金が高額すぎる場合(損害賠償請求を狙った詐欺的なケースもあるくらいです)は,逆に問題がありますので,このような場合に,合理的な賠償金額に変更するよう求めてくることは問題ないでしょう。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,通常,契約終了時に販売店(Distributor)がサプライヤーに対し,契約終了についての補償金の支払いを要求できないという条項を入れます。

 

 これは,契約終了時にあたり,補償金の支払いを要求されるかもしれないということでは,そもそもサプライヤーが適切な販売店(Distributor)の選定をできなかったり,今まで上げた利益を確保できなくなったりするという不都合が生じるからです。

 

 この契約終了時の補償金の不払いに関する条項に過剰に抵抗する販売店(Distributor)も取引相手としては不適切な場合があります。

 

 もちろん,販売店保護法などで補償金の支払いが強制されているような場合は別ですが,そうではないのに,こうした条項の挿入に抵抗してくるということは,最終的に販売店が消費した販促コストなどをサプライヤーに払わせようという思惑が販売店(Distributor)にあることがあります。

 

 契約終了後に補償金の支払いを要求できるのであれば,それまでに販売店(Distributor)が負担した販促費用などを回収できることを意味するからです。

 

 一般的に,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,販売店(Distributor)が販促費用やマーケティング費用を負担しますので,このような姿勢には問題があることが多いです。

 

 販売店は,マーケティングコストなどに加えて,自社負担で商品を仕入れ転売するため,手数料ビジネスである代理店に比べリスクが高いです。その分,一般的には得られる利益も代理店よりも高くなっています。

 

 それにもかかわらず,販促コストを負担しないとなれば,リスクは減るのに得られる利益は変わらず大きいことになり,アンフェと考えることもできます。

 

 この点をいくら説明しても理解しない販売店にはそもそもビジネスのリスクの取り方についての考え方に問題があることがあります。

 

 そのため,こうしたケースで交渉を重ねても販売店(Distributor)の態度が軟化しない場合には,取引自体中止したほうがケースもあります。

 

 要するに,契約交渉過程で相手の要求があまりに不合理だということが判明した場合は,そうした信頼できない相手との取引は見合わせたほうが良いことがあるということです。

 

 海外企業から魅力的な引き合いがくると嬉しくなってできるだけ取引を実現させたいと思われることもあるでしょうが,そこは冷静になって,取引先が信用に値するかを十分に吟味するようにしましょう。

 

→next【英文契約書の相談・質問集298】例外的に後払い対応をしても良い場合はありますか。

 

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英文契約書の相談・質問集281 英文契約書を理解するには英米法の知識は必須ですか。

 

 海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書を理解するには英米法の知識は必須ですか。」というものがあります。

 

 私は,英文契約書には,大きく分けて2種類あると思っています。ちなみに,私の経験に基づくただの私見ですのでご注意下さい。

 

 1つ目は,「広義の英文契約書」で,単に英語で書かれた契約書のことです。

 

 2つ目は,「狭義の英文契約書」で,英語で書かれただけではなく,英米法(コモンロー)の概念に従って書かれた契約書のことです。

 

 前者の広義の英文契約書の場合は,特に英米法(コモンロー)の知識がなくとも,英語がわかれば問題ないかと思います。

 

 例えば,準拠法(Governing Law)が日本法とされていて,裁判管轄(Jurisdiction)も日本の裁判所とされていて,もともと日本語の契約書だったものを英訳したような契約書が前者の英文契約書に該当します。

 

 この場合は,日本法を前提に作られていて,特に英米法(コモンロー)が入り込んでいませんから,英語が読めて日本法の知識があれば足りると考えて一応良いかと思います。

 

 これに対し,後者の狭義の英文契約書の場合,英米法(コモンロー)の知識があったほうがベターです。

 

 なお,巷に出回っている英文契約書のほとんどは後者の狭義の英文契約書ですので,注意して下さい。

 

 そして,狭義の英文契約書の場合,どうしてその条項が挿入されているのか,必須条項は何なのかなど,条項の意味や背景まで理解しようとすると,どうしても英米法(コモンロー)の知識が必要になります。

 

 具体的には,例えば,Consideration(約因),Parol Evidence Rule(口頭証拠排除原則/法則),Misrepresentation(不当な表示),Strict Liability(厳格責任),Liquidated Damages(損害賠償の予定),Penalty(罰則)などの概念がわからないと,狭義の英文契約書の本来の意味を理解するのは難しいと思います。

 

 これらはいずれも日本法にはない概念ですので,新たにこれらについて理解しておかないと狭義の英文契約書がなぜそのような内容になっているかが理解できないのです。

 

 このように,一口に英文契約書といっても,上記の2種類のどちらかによって,意味内容は変わってきますし,備えておくべき知識レベルも違ってきます。

 

 より正確に英文契約書を理解するためには,両方の英文契約書に対応する必要があるので,ある程度英米法(コモンロー)の知識があったほうが良いということにはなるかと思います。

 

→next【英文文契約書の相談・質問集282】弁護士が「大丈夫です」と明言しないのはなぜですか。

 

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英文契約書の相談・質問集283 取引開始前に最も重要なことは何ですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「取引開始前に最も重要なことは何ですか。」というものがあります。

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などを締結して継続的な取引関係に入る前にやっておくべき重要なことがあります。

 

 それは,取引先の調査です。これは,単に取引先の財務状態などの信用面の調査だけではなく,およそ取引先は信用できるかという広い面での調査を意味します。

 

 調査方法としては,①経営者に面会する,②相手の事務所や工場などを見学する,③従業員の働いている様子を見たり,インタビューしたりする,④会社の登記簿謄本,過去の決算資料や帝国データバンクなどからの情報を取り寄せる,⑤試験的に小ロットの取引をしてみる,⑥業界内での評判を聴取するなどが考えられます。

 

 もちろん契約書の締結,契約書の内容も重要なのですが,契約書の交渉以前に勝負は始まっています。

 

 契約書を交わす前に,どれだけ時間をかけられたかによってビジネスの成否が大きく左右されると言っても過言ではありません。

 

 実際に,私の経験でも,取引先の事務所や工場も見学することなく発注をして大きな失敗をした日本企業も見ています。

 

 そのため,取引開始前にきちんと相手の情報を入手し,できる限りの調査をして信頼できる相手かどうかをチェックすることは非常に重要です。

 

 契約書によって相手を法的に縛ることは可能ではありますが,結局約束は破る人は破ります。

 

 また,そもそも信用することができない相手と継続的な取引をすると,細々とした問題も含めて対応に追われ,非常にストレスフルな状況に陥ることが多いです。

 

 したがって,契約書で縛れば良いという考えだけに頼ることなく,相手が信用に足るものであるかどうかをきちんと事前に見極めることも非常に大切です。

 

 契約書は守ってほしいことを相手にわからせて,もし違反があれば法的に対応できるようにするという意味で非常に大切なものですが,現実的にはそれだけで安全ということはできません。

 

 やはり,そもそも約束はきちんと履行をする,契約を破ったりしないという信頼に値する企業や経営者を見極めることが出発点として重要です。

 

 このあたりをおろそかにして取引開始を急ぐと,後で大きな痛手を被ることがありますので,十分注意しましょう。

 

→next【英文契約書の相談・質問集284】基本売買契約と長期売買契約の違いは何ですか。

 

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英文契約書の相談・質問集286 契約書は正直どう役に立つのですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約書は正直どう役に立つのですか。」というものがあります。
 

 英文契約書に限らず,和文契約書でも契約書全般は,実際どのように役に立つのかという根本的な話をしてみたいと思います。

 

 契約書には,通常,当事者の権利と義務,義務に違反した場合に生じる効果や責任などが記載されます。

 

 当然ですが,契約書に書かれた権利義務を実現できるように当事者が期待して契約書を作成するわけです。

 

 ただ,残念ながら契約書といってもそれ自体はただの紙切れやデータにすぎませんので,当然契約書の約束を破る人や企業も現実にはいるわけです。

 

 その場合,どうなるのかというと,契約書には国家=司法権の後ろ盾があるので,強制力があります。

 

 多くの国で,契約書に書いてある権利を実現すべく,契約書を重要な証拠として,裁判所に訴えれば勝訴判決をもらえてその権利を強制的に実現するということができるようになっています。

 

 例えば,売買代金1,000万円を買主が約束どおり支払ってくれないのであれば,売主は買主を訴えて,勝訴判決を得れば,強制執行により買主の財産を無理やり差し押さえて競売にかけるなどして売却し,代金を回収することができるわけです。

 

 この司法権の裏付けがあるからこそ,契約書を守ろうという動機が当事者に生まれるわけです。

 

 裏を返せば,この司法権の裏付けがなかったり,弱かったりすると,契約書の内容を守ろうという動機も小さくなってしまうということでもあります。

 

 実際,新興国や発展途上国の一部の国では,司法権の後ろ盾が弱いため,当事者のコンプライアンス意識が低く,契約書の内容を尊重しないという傾向も見られます。

 

 そのため,国際取引においては,相手国の司法制度の成熟度や実効性も考慮に入れて,相手のコンプライアンス意識を推し量るということも必要になってきます。

 

 では,司法権が弱いということは,契約書を守らずとも「痛くない」ということになるのでしょうか。

 

 そうともいい切れないでしょう。そのような企業はいずれ信用を失い,大きな取引はできなくなったり,国際社会での信用を得られないためにグローバルな成長は見込めなかったり,資本提携などのアライアンスが組めなかったり,消費者に見放されたりする可能性が高まるからです。

 

 現代では,高度に情報化社会が進んでいるので,企業の不正などもガラス張りになりつつあります。

 

 また,情報はインターネットを通して国の垣根を越えてすぐに世界中に拡散されるため,悪評はあっという間に世界中に広がります。

 

 そのため,契約書を遵守しないなどの態度は明るみに出やすいですし,そのような企業が信用を落とすことは想像に難しくありません。

 

 こうした観点からも今後は契約書や法律の内容を守るという前提が国際的に浸透していくものと思われます。

 

 このような背景があれば,ますます契約書の機能は実効性を持つことになり,契約書に書かれた内容は現実に実現されるものという前提が浸透していくことになるでしょう。

 

 これが契約書の機能だということができると思います。

 

 まとめると,契約書は,当事者の権利義務を記載することなどを通じて,当事者が考えているビジネスの内容を描き出し,それを国家権力の強制力を背景に守らせることを目指す書面であり,かつ,もし守られなければ国家権力をもって権利を実現するための証拠であるということができると思います。

 

→next【英文契約書の相談・質問集287】口頭でも問題なく契約は成立しますよね。

 

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英文契約書の相談・質問集291 競合品の取扱禁止は違法ではないですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「競合品の取扱禁止は違法ではないですか。」というものがあります。

 

 例えば,日本企業が販売店(Distributor)となり,海外のサプライヤーから商品を仕入れて日本で販売展開するという販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を考えてみます。

 

 この場合に,海外のサプライヤーが,日本企業に対し,サプライヤーが卸す商品と競合する商品を販売してはならないという競合品の取扱禁止(Non-Competition)条項を契約書に入れようとしているとします。
 

 これは違法にならないのかというのが今回のテーマです。

 

 日本の法律としては独占禁止法(Anti-Monopoly Act)が問題になります。類似の法律としては,ヨーロッパには競争法(Competition Law)があり,アメリカにはAiti-Trust Lawがあります。

 

 では,日本の独占禁止法により,競合品取扱禁止規定は違法になるのでしょうか。

 

 回答としては,場合によって違法になるということになります。順番に見ていきましょう。

 

 ① まずは,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)なのか非独占的販売店契約(Non-Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)なのかを見て下さい。

 

 もし,非独占的販売店契約(Non-Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)なのであれば,販売店(Distributor)は,日本市場を独占できるわけではなく,同一商品にほかの販売店も競合他社として登場します。

 

 それなのに,海外のサプライヤーの商品以外の商品を扱えないとなれば,不当に競争が阻害されます。

 

 そのため,非独占的販売店契約(Non-Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)の場合には,販売店(Distributor)の競合品の取扱を禁止することは独占禁止法上問題を生じます。

 

 これに対し,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)なのであれば,販売店(Distributor)は市場独占という利益を得ていますので,競合品禁止も一定の合理性があると考えられ,独占禁止法上,有効になりえます。

 

 ② 次に,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)だとしても,競合品の取扱禁止が,契約期間中にとどまっており,契約期間後は対象外としているかについて確認します。

 

 契約期間中の競合品取扱禁止であれば,販売店(Distributor)には,契約期間中,独占販売権が与えられており,期間中日本市場を独占できますので,その間,他社の競合品を販売できないというのも合理性があります。

 

 これに対し,すでに契約が終了しているにもかかわらず,他社の競合品を扱えないというのは,規制に合理性がありません。

 

 契約の終了によりその販売店がもはや市場を独占している状態ではないにもかかわらず,競合品の取扱いについて制限されては原則自由であるべき市場競争が害されるからです。

 

 そのため,契約期間後も競合品を販売できないという規制になっている場合には,独占禁止法上問題を生じます。

 

 ③ さらに,競合品取扱禁止規定が,販売店(Distributor)がすでに取り扱っている製品についても禁止しているかどうかを見ます。

 

 もし競合品取扱禁止規定が,販売店(Distributor)がすでに販売している商品も今後販売を禁止するという内容になっているのであれば,規制が強すぎるため,独占禁止法上問題を生じます。

 

 その販売店がある商品について独占販売権を取得する前からすでに取り扱っていて,販売チャネルもある製品なのですから,新たに規制するのは規制として強すぎるわけです。

 

 反対に,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)締結後新たに競合品を扱えないという程度の規制なのであれば,独占禁止法上問題ないということになりえます。

 

 ④ 最後に,販売店(Distributor)が,関連市場において市場占有率10パーセント以上,または,順位が上位3位以内に該当するような有力な事業者かどうかをチェックします。

 

 事業者がこれに該当するようであれば,独占禁止法上問題を生じる可能性があります。

 

 このようなシェア率の高い企業が競合品取扱禁止を受けていると,競合品を扱うメーカーがこの販売店(Distributor)と取引ができなくなり,結果として,市場に競合品が出回りにくくなり,市場における自由競争を不当に阻害するおそれがあるからです。

 

 以上の4つのポイントについて検討してみて下さい。

 

 非常にざっくりとした説明ではありますが,もし,上記のいずれかに問題があるようなのであれば,サプライヤーが規定する競合品取扱禁止条項が法律に違反し違法になる可能性がありますから,その場合はまずは交渉をして条項の内容を変更をするようにしてみて下さい。

 

→next【英文契約書の相談・質問集292】限定列挙と例示列挙の違いと見分け方は何ですか。

 

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英文契約書の相談・質問集292 限定列挙と例示列挙の違いと見分け方は何ですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「限定列挙と例示列挙の違いと見分け方は何ですか。」というものがあります。
 

 「限定列挙(制限列挙)」というのは,契約書で例(事由)が挙げれられている場合に,挙げられている例に限定するもので,それ以外は認められないという場合をいいます。

 

 A,B,C,Dのいずれかに該当すれば効果が生じるというような場合に,EやFが含まれるかというと,含まれないというのが,限定列挙です。

 

 これに対し,「例示列挙」というのは,契約書で例(事由)が挙げられているけれども,それらはあくまで例に過ぎず,そこに記載されていないものも認めるという場合をいいます。

 

 A,B,C,Dのいずれかに該当すれば効果が生じるというような場合に,EやFが含まれるかというと,含まれる(可能性がある)というのが,例示列挙です。

 

 これは大きな違いを生みます。挙げられている事由に該当すれば利益を得る側にとってみれば,例示列挙のほうが,挙げられている事由より広がる可能性があるので有利です。

 

 これに対し,挙げられている事由に該当すると不利益を受けるほうの当事者にとっては限定列挙のほうが,該当事由が狭まるので有利だからです。

 

 では,これらはどう見分ければ良いのでしょうか。

 

 通常は,契約書を見れば,どちらなのかが書かれています。

 

 例えば,限定列挙の趣旨で記載されているのであれば,exhaustivelyexhaustiveという用語が入っていることが多いです。

 

 これらは,「(挙げられたもので)尽くされている」という意味ですので,限定列挙を表す用語です。

 

 反対に,例示列挙であれば,よく使われる表現としては,non-exhaustiveという否定語も使われますし,他にもincluding but not limited to.../including without limitationという表現があります。

 

 これらは,「事例を挙げるがそれらに限らない」という意味ですので,例示列挙を表します。

 

 なお,例示列挙であっても,例えば,A,B,C,Dと挙げられている場合に,EやFも無制限に含まれるかというと,それは場合によるということになります。

 

 一般的に,例示列挙といえども,事例が挙がっている以上,挙げられた事由には一定の意味があることが多いため,それらの挙げられた事由に類似性がある事由に限って該当性が認められると解釈されるからです。

 

 いくら例示列挙でも,何でもかんでも含まれるというのでは,具体的事由を例示した意味がなくなってしまうので,この点は理解はしやすいかと思います。

 

 類似性に限らずあらゆるものを含むとしたい場合は,英国法の下ではwhatsoeverという用語を入れることがあります。

 

 これは,文字どおり「何であっても」という意味ですので,あらゆる事由を無制限に含むという趣旨と解釈されます。

 

 こうした用語がない以上は,通常は類似性ある事由に限られますので,注意して下さい。

 

 いずれにせよ,限定列挙なのか例示列挙なのかは契約書ではっきりさせるべきですし,例示列挙の場合もどのような事由が含まれるのかをある程度予測しやすいような内容に定めるべきといえるでしょう。

 

→next【英文契約書の相談・質問集293】英文契約書と和文契約書の根本的な違いは何ですか。

 

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英文契約書の相談・質問集299 裁判する前に知っておいたほうが良いことはありますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「裁判する前に知っておいたほうが良いことはありますか。」というものがあります。

 

 ここでは,日本の裁判制度を中心に解説したいと思います。

 

 まず,裁判をするとなった場合,裁判官を選ぶことはできません(仲裁=Arbitrationは選べます)ので,注意が必要です。

 

 特殊な事件は専門部というのがあって,類似案件のみを専門的に扱っている裁判官がいますが,通常の事件は機械的に配転されますので,当事者が裁判官を選ぶことはできません。

 

 そのため,自社が従事している業界や商慣習に詳しくなく,主張をなかなか理解してもらえないということがありえます。

 

 次に,日本では,イギリスやアメリカで認められている一般的な証拠開示制度(Disclosre/Discovery)がありません。

 

 そのため,相手が持っている自社に有利な証拠は裁判に出てこないと考えたほうが良いです。

 

 こういう前提で訴訟をしなければなりません。これによる影響として,解決が遅れるということがありえます。

 

 自社に不利な証拠もすべて出さなくてはいけないということになると,証拠開示前に和解する動機が強くなるのですが,証拠開示制度がないとそのような動機が弱くなるからです。

 

 さらに,日本では,敗訴者負担制度というのがありませんので,一部の案件を除いて,原則的に弁護士費用は自腹です。

 

 相手が悪いと思い,相手を訴えて裁判に勝ったとしても,自分がかけた弁護士費用を相手に払ってもらうことはできないのです。

 

 また,裁判は一般的にかなり時間がかかります。早期に和解が成立しない限り,1ヶ月とか,3ヶ月とかで解決するということはほぼないので,通常のビジネス感覚でいるとスピード感を大きく見誤ると思います。

 

 ほかにもたくさん注意点はありますが,最低限上記のことくらいは事前に十分に知った上で裁判をするかどうかを決めることが大切です。

 

 ましてや,外国で裁判をするとなれば,その国特有の事情が必ずありますので,事前に現地の弁護士から十分にレクチャーを受けて,すべて納得の上で訴訟提起すべきということになります。

 

→next【英文契約書の相談・質問集300】弁護士費用にはどういう種類がありますか。

 

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英文契約書の相談・質問集301 販売店が相殺を主張してくる場合どう対処すべきですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店が相殺を主張してくる場合どう対処すべきですか。」というものがあります。

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を締結して,日本企業が海外に販売店(Distributor)を指名して商品を販売展開しているときに,例えば,商品に欠陥(Deficiency/Defect)があったとして,販売店(Distributor)が損害賠償請求と相殺(Set-off)を主張してくるということがあります。

 

 こうなると,サプライヤーとしては,商品の欠陥が客観的に存在するかもわからない状況で,代金の支払いを受けられないということになってしまいます。

 

 このような場合,どのように対処すべきでしょうか。

 

 相殺については,各国の法律が要件を規定しているのが通常です。日本法でも,相殺をするためには「相殺適状」という状態にならなければならず,相殺適状の要件を法律で定めています。

 

 そのため,まずは契約書の準拠法を見て,準拠法に従うと相殺ができる状態なのかをチェックし,相殺の要件を充たしていないのであれば,そのように反論していくことになるでしょう。

 

 これに対し,もし相殺適状にあって販売店(Distributor)が相殺できる状態にあるのであれば,相殺の可否ではなく,商品に欠陥があるか否かで争うしかないでしょう。

 

 こちらの場合,相手は欠陥を主張しているので,サプライヤーが欠陥の存在を否定しても,簡単に販売店(Distributor)は認めず,解決に時間がかかることになるでしょう。

 

 販売店(Distributor)が納得しない限り,代金が払われない可能性があり,これではサプライヤーの資金繰りに影響が出てしまいます。

 

 これらの問題を解決するために,予め契約書に相殺の禁止条項を入れておくことが良い場合があります。

 

 相殺を禁止しておけば,仮に販売店(Distributor)が商品に欠陥があると信じ,サプライヤーに対して損害賠償請求ができると判断しても,それと商品の代金を相殺することはできず,一旦は代金を払う必要があります。

 

 その上で,改めて商品の欠陥についての賠償責任を問うということになります。

 

 これにより,サプライヤーとしては,資金繰りに影響を受けることなく,ある程度時間をかけて欠陥の有無を調査することが可能になります。

 

 もっとも,これは販売店(Distributor)が相殺主張をするという仮定での理屈の話であり,現実には相殺禁止条項があっても,欠陥がある場合,商品の売買の個別契約の解除などを主張し,代金支払いを拒絶するということはあります。

 

 そのため,相殺禁止条項が機能する場面はそれほど多くはないでしょうが,上記のような問題もあるということは理解されておいても良いかと思います。

 

→next【英文契約書の相談・質問集302】輸出入に許認可が必要な場合の注意点はありますか。

 

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英文契約書の相談・質問集302 輸出入に許認可が必要な場合の注意点はありますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「輸出入に許認可が必要な場合の注意点はありますか。」というものがあります。

 

 当局の許認可が必要になる場合は,化粧品の輸出入や医療機器の輸出入などが多いかと思います。

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を締結し,サプライヤーが商品を販売店(Distributor)に販売する際に,当局から輸出入の許可の取得が必要となる場合に,どのような点に注意すべきかというのがこのテーマです。

 

 このような場合,基本的には,①どちらの当事者が許認可を取得するのか,②許認可取得にかかる費用はどちらの当事者が負担するのか,③許認可取得の手続きはどちらの当事者が行うのか,などについて事前に契約書で取り決めておくべきでしょう。

 

 ①と②は一致することが多いでしょう。費用を負担したほうが許認可の名義人になるということが通常かと思います。

 

 許認可を販売店(Distributor)が取得した場合,サプライヤーとしては契約終了時にその許認可をどうするのかについても販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)で定めておくべきです。

 

 独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)などで,契約が終了した際,サプライヤーは他の販売店(Distributor)を指名しようとした場合,許認可を新しい販売店(Distributor)に承継させたいと考えるでしょう。

 

 これがスムーズにできるように,許認可の譲渡(無償なのか有償なのかも含め)について契約書で定めておくことがあります。

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)が終了した場合,旧販売店は新販売店に対し許認可を譲渡しなければならないなどと定めることになります。

 

 もちろん,法律により譲渡が簡単にできないこともあると思いますので,この点も事前の調査対象になります。

 

 販売店(Distributor)としては,許認可を自社で取得しておけば,サプライヤーの都合による販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了を牽制する武器として使えることがあります。

 

 逆に,サプライヤーとしては,契約終了時に販売店に交渉の武器として許認可を使われないように,可能であれば最初から自社でコストを負担してでも許認可を取得しておくなどの対策が必要かもしれません。

 

 許認可は,取得の困難制などにより,契約終了時のトラブル発生に大きな影響を与えることがあるので,注意が必要です。

 

→next【英文契約書の相談・質問集303】NDAを締結した後に基本契約する際の注意点はありますか。

 

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英文契約書の相談・質問集253 外国の判決が強制執行できるのはどういうときですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「外国の判決が強制執行できるのはどういうときですか。」というものがあります。

 

 例えば,英文契約書で準拠法(Governing Law)と裁判管轄(Jurisdiction)が外国とされている場合に,当事者間で紛争が生じ,相手方が外国の管轄裁判所に訴訟を提起し,勝訴判決を得たとします。

 

 この判決を根拠にして相手方が日本で強制執行をしようとする場合,どのような要件を充たす必要があるのでしょうか。

 

 当然といえば当然ですが,外国の裁判所の判決はそのまま日本で執行できず,以下の要件を充たした場合にはじめて執行できるということになっています。

 

 外国裁判所の判決を日本で執行するための要件は,日本の民事訴訟法に下記のとおり書かれています。

 

 1. 法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。

 2. 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。

 3. 判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。

 4. 相互の保証があること。


 よく問題になるのが,上記4の「相互保証」です。

 

 これは,簡単に説明すると,その外国で、その外国裁判所が下した判決と同種類の日本の判決があったとして,その日本の判決が上記の日本での判決執行の条件と重要な点で異ならない要件で効力を有していれば相互保証があるとされます。

 

 要するに,日本の判決もその外国で上記の民事訴訟法が定める条件と似たような条件で執行させてくれるとしているのであれば,その外国の判決も同様に日本で執行させてあげましょうということです。

 

 外国の判決を強制執行させてあげるのであればお互い様ということで,お互いに同じような条件で可能とされている場合に認めましょうというくらいに理解しておけば良いかと思います。

 

 過去の判例で,相互保証があるとされた国(州)は,カリフォルニア州,ハワイ州,ニューヨーク州,イングランド・ウェールズ,ドイツ,シンガポール,香港,韓国などが挙げられます。

 

 逆に,過去の判例で相互保証がないとされた国は中華人民共和国が挙げられます。

 

 せっかく判決が得られても執行対象になる当事者が属している国で強制執行ができないとなると判決が「絵に描いた餅」となり意味がないということはあります。

 

 このことは自社に有利にも不利にもなりますので,外国裁判所の判決が日本で執行できるかについては海外企業と契約する前に把握しておく必要があります。

 

 もし判決の執行が難しいと判明した場合は,ニューヨーク条約の加盟国であれば仲裁(Arbitration)の場合は執行が比較的容易とされていますので,裁判を前提にするのではなく仲裁を前提にするなどの対応が考えられます。

 

→next【英文契約書の相談・質問集254】中国企業と取引するときに注意したほうが良い点はありますか。

 

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英文契約書の相談・質問集324 日本の判決を外国で執行できるかはどう決まりますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「日本の判決を外国で執行できるかはどう決まりますか。」というものがあります。

 

 例えば,英文契約書に準拠法(Governing Law)を日本法とし,裁判管轄(Jurisdiction)を東京地裁とすると記載していたとします。

 

 そして,取引先の外国企業が売掛金を払わないトラブルに巻き込まれ,取引先を東京地裁で訴えたとします。

 

 無事に勝訴して,日本企業は勝訴判決を得ました。ところが,取引先は裁判で負けたにもかかわらずまだ支払いをしません。

 

 そこで,日本企業は外国にある取引先の資産に対し強制執行をかけようと考えました。

 

 日本の勝訴判決を外国で強制執行することはできるのでしょうか。

 

 これは,仲裁判断の場合のニューヨーク条約のような統一的な国際条約は存在しておらず,基本的に各国の民事訴訟法の規定によって判断されることになっています。

 

 そして,一般的には,「相互保証主義」と呼ばれる基準を採用している国が多く,外国判決の承認・執行の請求があったときに,その国においても自国で出された判決の承認・執行が可能な法制度となっているかどうかで判断することになります。

 

 つまり,上述の例では,取引先の国の判決が日本でも承認・執行できると日本において判断されている場合には,お互い様ということで,取引先の国でも日本の判決を執行できるということになるのです。

 

 そのため,取引先の国で日本の判決が執行できるのかは,個別に過去の日本での扱いやその外国での扱いを調べないと判断できないということになるのです。

 

 例えば,この相互保証主義の観点から,中国では,日本の判決を中国で執行することはできないとされており,中国企業との間での紛争解決は仲裁が選択される傾向になると言われています。

 

 このように,仲裁判断と異なり裁判所の判決は,判決の承認・執行についてハードルが高いという問題がありますので,契約書の締結段階で紛争解決方法を決める際にはこのことを考慮する必要があるでしょう。

 

→next【英文契約書の相談・質問集325】英国の財産凍結命令(freezing injunction)とは何ですか。

 

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英文契約書の相談・質問集275 販売代理店の販売不振を理由に契約を解除できますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売代理店の販売不振を理由に契約を解除できますか。」というものがあります。

 

 日本企業がサプライヤーとして,商品の海外での販売展開を企図した際によく使う手法が海外の販売代理店を使って,現地で販売展開する方法です。

 

 この際,サプライヤーと現地の販売代理店との間で,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)が締結されます。

 

 ところが,時間が経つと,サプライヤーが販売代理店のパフォーマンスに不満を感じるようになり,販売店契約を解消して新しい販売代理店を指名したいと考えるようになることがあります。

 

 このような場合に,販売代理店の販売不振を理由に販売店契約を解消することはできるのでしょうか。

 

 まず,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)が法的義務(legally binding)として記載されている場合,その数量未達の事実があれば,契約を解除を主張できる可能性が高くなります。

 

 明確に,数量や金額で一定期間のノルマが課されていて,それに到達できなければ,サプライヤーは契約解除ができると契約書に記載しておけば,契約解除による販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了を主張しやすくなります。

 

 独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)ではよくこのミニマム・ノルマ条項が定められますので,販売店契約の解消は比較的進めやすいといえるでしょう。

 

 次に,このような最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)の定めがない場合はどうでしょうか。

 

 明確なノルマ条項がない場合は,契約書に予測や努力目標として,注文数や注文金額が定められていないかを確認しましょう。

 

 前述のような法的義務としての最低購入数量ではなくても,法的義務のないnon-binding forecast(非拘束的予測)として注文目標が契約書に書かれていることがあります。

 

 もしこれが書かれていれば,法的義務ではないにせよ,何回か予測値の未達があるような場合,契約更新をしない理由にして次回の契約期間満了時に更新しないとして交渉を有利に進めるということがありえます。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,通常,販売代理店の販促活動について努力義務が課されています。

 

 例えば,best efforts(最善努力)やcommercially reasonable efforts(商業的合理的努力)というように販売代理店がしなければならない販売努力の程度が書かれています。

 

 これに販売代理店が違反したかどうかは,程度問題なのでなかなか主張するのが難しいのですが,上記の予測値を下回っているのであれば,これらの努力義務を怠ったと主張するのに役に立つ可能性があります。

 

 そのうえで,契約解除などを主張すれば,次の契約更新時期を待たずとも契約を解除する方向で交渉することが可能になるかもしれません。

 

 なお,上記のように販売代理店の非を探して契約解除を主張しなくとも,契約書に中途解約条項(Termination without Cause Clause)があれば,特に理由がなくても契約を途中で解約することができるかもしれません。

 

 ただ,販売代理店がこのような条項をそもそも入れさせてくれるかという問題がありますし,仮に契約書に記載があったとしても,素直に販売代理店が理由もない中途解約に従ってくれるとは限りません。

 

 さらに,現地に代理店保護法のような法律があり,中途解約条項などの有効性が制限される可能性もあります。

 

 そのため,サプライヤーにとって有利な条項があればそれに全面的に依拠するのが常に正しいとは限らないです。

 

 例えば,中途解約条項があるからといって,簡単にその条項を使って契約期間の途中で販売代理店に対し何の理由も示さずにいきなり契約を解除すると通知した場合,販売代理店の反発を招きやすいといえるでしょう。

 

 これに対し,中途解約条項はあるものの,それだけを根拠にするのではなく,販売代理店の債務不履行を指摘しつつ,債務不履行解除や中途解約条項による解除が可能なことを示しつつ,合意解除に応じてもらうよう交渉するという姿勢を取れば,相手の納得を得られやすいかもしれません。

 

 あくまで,販売代理店の納得も得るように,より説得的な契約解消の筋道はないかを考えることも,円満な契約解消には必要なことがありますので,注意して下さい。

 

→next【英文契約書の相談・質問集276】Andとorの違いを教えて下さい。

 

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